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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第11号 『トイレの無い家(原子力エネルギー政策)〜1999.11〜』

代替案

 ではどうすれば良いのでしょうか。原発をすぐに全部止めるというのは、現実的ではありません。しかし、原発の寿命というのは、約六十年。今後、原発の新設をやめ、耐用年数が終わった原発から順次これを解体するというのは可能です。そして解体される原発の電力を、天然ガスを燃料とする発電や太陽光および風力を初めとする新エネルギーで置き換えていきます。そして、全ての原発の寿命が尽きる2060年頃までに、クリーンな水素を燃料としたエネルギーシステムを構築する、という戦略を取るべきです。もちろんその間に待機電力の削減など徹底的な省エネが必要なのは言うまでもありません。
 これに対し、政府や専門家は、2010年までに太陽光と風力では日本が必要とする一次エネルギーの約1%しか供給できないと反論します。しかし、実は、政府自身が96年の7月に、自然エネルギーの潜在可能供給量は一次エネルギーの30%もあると発表しています。問題はそれを実現する予算がつけられていないことです。平成十年度の一般会計予算では、原子力関連予算が一千六百七十億円あるのに対し、新エネルギーには、たった四億円です。よん、です。それでも風力発電の事業計画は、すでに政府の2010年の目標値を超える勢いですし、欧米ではその三十倍以上の電力が風力で発電されています。太陽光でも同じ事が言えます。新エネルギーに関する議論は、できるできないの議論ではなく、やるかやらないかの議論なのです。
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