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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第7号 『まず大臣のたらい回しをやめよ!〜1998.10〜』

ODAの不正流用

韓国政府は、国際化時代に対応するために毎年二百人以上の官僚を海外留学に派遣している。一方、日本政府による官僚の正式な海外留学への派遣は七十三人。人事院は毎年、この予算の大幅増を要請しているが、大蔵省に却下され続けてきた。ところが、ところがその大蔵省は、人事院の予算の増額は認めないくせに、自分のところの人間はちゃっかりとODAを利用して裏金をつくり、それを使って留学させている。
 この件を、大蔵省に問い合わせるもほとんど無視。そこで、一年かけて裏金留学した官僚全員の名前、年度、留学先を調べあげ、決算行政監視委員会で、大蔵省と対決することになった。
 そこでふと思ったのは、ストレートに質問してもきっとまともな回答は返ってこない。さあ、どうすればよいか。
 当時の大蔵省には、塩崎恭久という逸材がいる。大蔵政務次官でありながら、ひたすら大蔵省分割と権限の縮小を唱え、広い政務次官室に座っているものの大蔵省の人間は誰も会いにこない。そこで自ら、大蔵省の建物のあちこちに出没しては大蔵官僚にけんかを売りつづけている。
 「そうだ、塩崎さんを使おう!」早速、決算行政監視委員会の質問相手に塩崎政務次官(当時)を指名する。そして、政務次官にこの問題の概要とこっちの質問内容を伝える。「それで俺にどうしろっていうんだ」「これはとんでもないことだから、早速改めさせる、と言って下さればそれで結構です」「おい、政務次官に大蔵省はとんでもないと言わせるのか」「だって、毎日そう言ってるじゃないですか」「人聞きの悪いことを言うな」「じゃ、頼みましたよ」
 しばらくしたら、向こうから電話が来た。「おい、今、役所の説明をきいたけど、こりゃひどいじゃないか」「だから言ったじゃないですか」「よしわかった」
 普通は委員会の前に役所の人間が、大臣、政務次官にどうやってその日の質問をかわすかをレクチャーする。今回は、全くその逆で、どうやって質問に真正面からぶつかるかを質問者と答弁者が打ち合わせているのだから、□□□□。(あてはまる四文字熟語を入れよ)
 とうとうこの委員会だけではおさまらず、官房長官が談話を発表することになり、この件は、毎日新聞の一面トップはもとより、三大紙、地方紙、おまけにシンガポールのストレートタイムズにも載った。
 原田昇左右決算行政監視委員長は、手放しでほめてくれたが、某先輩は一言、「国税庁の仕返しに気をつけろよ」。本気だったのか、ただの冗談だったのかわからなかった。
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