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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第3号 『誰が法律を作っているか〜1997.4〜』

初質問

 2月 28日
予算委員会の第二分科会(外務省予算)で初めての質問をすることに決まった。
そのとたんに外務省から質問内容に関する問い合わせがくる。
「質問内容の通告はしません」と回答したら、いろいろの筋の人から「お手柔らかにやってあげてよ」とのアドバイスがきた。
結局、「ペルー事件に外務省経費がいくら使われているか」という質問はあらかじめ計算しておかないと即答できないだろうからこの質問は事前通告した。
もう一つ、日韓交渉に関して、韓国で出版された本についても質問すると通告。
数時間後に在ソウル大使館から、大使館にその本を読んだ者がいないし、日本語訳もないので今回は勘弁して下さいと電話が入る。
質問時間が30分だし、勘弁してしまった。
 3月3日
外務省会計課からペルー事件に関する経費の詳細について説明。1日あたり約350万円かかっているとのこと。
こんな内容でいいか、と聞かれたので充分ですと答える。
 3月4日 
院内の第二委員室にて10時から初質問。結構緊張する。昨日会計課長からもらった資料を目の前に置いておもむろに、「自民
党の河野太郎でございます。まず外務大臣にお伺い致します。今回のペルー事件への対応で1日当たりいくらの経費がかかっていますか」。
原口官房長が手を挙げて立ち上がる。
「外務省原口官房長」。
「えー、河野委員のご質問にお答え致します。現在、予算の範囲内でやりくりをいたしておりますが、1日当たり経費がいくらかかるかという
ことは、まだ計算しておりませんのでわかりかねます」。
「えっ」。聞き間違えたと思った。深呼吸してもう一度質問を繰り返した。
原口官房長。「1日当たりの経費は、計算しておりません」。
じゃあ、この目の前にある資料は何なんだ。
昨日の会計課の説明は何だったんだ。
初質問で緊張しているところに、見事なカウンターパンチ。30秒ほど棒立ちになって口ぱくぱく。
中川委員長代理が心配そうな顔つきになっていく。あとはしどろもどろ。
長い30分だった。
後日わかったのは、外務省が大蔵省に対してペルー事件で経費が結構かかっていると説明していたため、1日当たり350万円ではどうも数字が少なすぎるということになったらしい。
そこで土壇場で「数字はないことにする」ということになったようだ。

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