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ガソリン補助金
2025.11.05
ガソリンの暫定税率の廃止に向けて与野党が合意していますが、これまではガソリン価格を引き下げるために国庫から3兆円を超える多額の補助金を投入していました。
ガソリンのほかに、軽油、灯油、重油、航空機燃料などの燃料価格引き下げに使われた補助金の総額は8兆円を超えるはずです。
また、これに加えて電気代の料金を引き下げる補助金もあります。
日本は、ガソリンや軽油などの原料となる原油をほぼすべて輸入に頼っており、これが貿易赤字の大きな要因の一つであり、円安要因の一つでもあります。
本来、燃料価格が上昇すれば、燃費のよい車やEVへの買い換えが進んだり、バイオ燃料などへの開発投資が進んで化石燃料の消費量が減り、次に価格が高騰しても経済への影響を今回よりも小さくとどめることができるはずですが、補助金で価格を下げてしまうと、化石燃料の消費を減らす努力が限定的になってしまいます。
その結果、次に化石燃料の価格が高騰したときに、また同じような影響を日本経済が受けることになります。
今年の夏の気温の上昇や台風などによる風水害が大きくなっているのは、化石燃料から出る温室効果ガスによる地球温暖化の影響です。
化石燃料の価格を下げるための補助金は、化石燃料の消費を減らそうというインセンティブをもたらさず、地球温暖化を食い止めるためのさまざまな技術開発への投資意欲も損なってしまいます。
現在の我が国の財政状況を考えると、こうした補助金は一時的には国債の発行でまかなわれますが、最終的にはなんらかの税の引き上げによる国民負担に跳ね返ってきます。
減税にしても同じです。
しかもこうした補助金の恩恵は平等に行き渡るわけではありません。
しかし総務省によれば、2024年にガソリンや軽油を購入した二人以上世帯は、全体の6割だけで、残りの4割の世帯は補助金の恩恵を受けていません。
また、日本総研などの試算によれば、所得が上位2割に入る世帯では年間5477円の補助を受けていることになる一方、所得が下位2割に入る世帯では平均して2607円の補助となり、逆進性が高くなっています。
ガソリン購入量が最も多い鳥取市では世帯平均で6640円の補助額ですが、東京では世帯平均で1318円です。
燃料価格の高騰が家計や企業に影響を及ぼしているのは紛れもない事実ですが、一律で補助金を投入するのではなく、真に困っている世帯や企業にピンポイントで支援するべきでした。
また、財政を投入するならば、世帯や企業の省エネを進め、次に燃料費が高騰してもその影響を小さくし、産業競争力の強化と脱炭素の推進につながる施策が必要です。
今回のガソリン暫定税率の廃止は、補助金の一律投入と同じような効果を生みます。
そろそろこうしたばら撒きから脱却しなければなりません。









