社会保障改革2025 医療費階級別の患者数及び医療費

2025.10.20

健康保険料の負担を軽減するためには、その裏側の医療費の削減が必要です。

無駄な医療を削減する、効果の薄い医療を見直すということが必要になりますが、医療保険でどこまでカバーするのかという議論も必要になります。

その第一歩として、現状がどうなっているのかを把握する必要があります。

厚労省の出している医療給付受給対象者の受診動向(医療費階級別の患者数及び医療費)という資料があります。

これは2024年3月に医療機関を受診した者のレセプトを名寄せして合計し、個人単位のデータにして集計したもので、かなりの力仕事です。

ここでいう医療費には薬剤の支給費用、医科・歯科の入院時の食事・生活費用額が含まれます。

このデータを見ると、協会けんぽ、健保組合では、受診なしの割合が約五割、国保では約四割に対して、後期高齢者ではその割合は16%と大きく下がります。

協会けんぽでは、医療費の高い方から0.3%の患者で18%の医療費、約二割の患者で医療費の七割を、健保組合では医療費の高い0.3%の患者で約16%、約二割の患者が医療費の三分の二を占めています。

国保では、医療費の高い0.8%の患者で医療費の23%、約16%の患者で七割の医療費、約三割の患者で八割の医療費を占めています。

後期高齢者では医療費の高い1.6%の患者で医療費の約四分の一、約13%の患者で七割の医療費、約三割の患者で八割の医療費を占めています。

  • 若年層中心の制度(協会けんぽ・健保組合)では、受診率が低く、医療費も比較的軽度。
  • 国民健康保険は自営業者や非正規雇用者が多く、受診率・医療費ともに中間的。
  • 後期高齢者医療制度では、受診率が高く、医療費も高額化、制度の持続可能性が課題。
  • 後期高齢者医療制度では受診なしの割合が大幅に低く、15.6%と、高齢者は継続的な医療ニーズが高いことが反映され、医療費が1万円以下で済む割合は12.2%と少なく、医療費が高額化する傾向が強い。
  • いずれの制度でも、少数の重症患者が医療費の大部分を占めている構造が明確です。

医療費に関する議論のベースとなるようなこうしたデータを引き続きお知らせしていきます。

協会けんぽ 患者数の構成割合 医療費の構成割合
加入者に占める受診なしの割合 49.2%
1万円未満 30.8% 5.8%
1万円以上-2万円未満 31.8% 13.1%
2-3万円 15.8% 11.0%
3-5万円 12.4% 13.5%
5-10万円 5.8% 10.9%
10-20万円 1.4% 5.5%
20-40万円 0.8% 6.6%
40-70万円 0.6% 9.4%
70-100万円 0.3% 6.1%
100万円以上 0.3% 18.0%

 

健保組合 患者数の構成割合 医療費の構成割合
加入者に占める受診なしの割合 49.3%
1万円未満 31.3% 6.5%
1万円以上-2万円未満 32.4% 14.7%
2-3万円 15.9% 12.2%
3-5万円 12.2% 14.5%
5-10万円 5.3% 11.0%
10-20万円 1.2% 5.3%
20-40万円 0.7% 6.3%
40-70万円 0.5% 8.5%
70-100万円 0.2% 5.4%
100万円以上 0.3% 15.7%

 

国民健康保険 患者数の構成割合 医療費の構成割合
加入者に占める受診なしの割合 41.6%
1万円未満 24.7% 2.9%
1万円以上-2万円未満 28.1% 7.3%
2-3万円 16.2% 7.1%
3-5万円 15.0% 10.2%
5-10万円 8.9% 10.6%
10-20万円 2.5% 6.1%
20-40万円 1.4% 7.7%
40-70万円 1.8% 16.0%
70-100万円 0.6% 8.9%
100万円以上 0.8% 23.2%

 

後期高齢者医療 患者数の構成割合 医療費の構成割合
加入者に占める受診なしの割合 15.6%
1万円未満 12.2% 0.9%
1万円以上-2万円未満 20.7% 3.3%
2-3万円 16.8% 4.4%
3-5万円 20.7% 8.6%
5-10万円 16.1% 11.7%
10-20万円 4.9% 7.0%
20-40万円 2.4% 7.8%
40-70万円 3.1% 17.7%
70-100万円 1.4% 12.6%
100万円以上 1.6% 25.9%


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