プラハ出張
2025.10.16
フォーラム2000という国際会議に参加するためにチェコのプラハに出張しました。
フォーラム2000は、世紀の変わり目を前にした1997年にチェコのハヴェル元大統領などが中心となって各方面の世界のリーダーをプラハに集めてこれからの世界的な課題を議論したのが始まりです。
それ以来、安全保障や人権といった課題や宗教対話などが取り上げられる国際会議へと発展しました。
これまでにこの会議に参加した主なメンバーは、オルブライト元米国国務長官、ゼレンスキー・ウクライナ大統領、ワレサ元ポーランド大統領、キッシンジャー元米国国務長官、アウンサンスーチー女史、蔡英文元台湾総統、ダライラマ、ブトロスガリ元国連事務総長、アルバート・モナコ大公、ジョージ・ソロス氏等など。
さまざまな国際会議の中でも特に人権や民主化といったテーマが重視され、台湾やチベットの関係者も多く招待され、中国が不在なのが目立ちます。
10月10日
22:55 羽田発
10月11日
06:50 ミュンヘン着
08:05 ミュンヘン発
08:55 プラハ着
午後 プラハ散策 プラハ城、カレル橋、旧市街、ユダヤ人街、共産主義博物館等
共産主義博物館

チェコは、親イスラエル、親台湾の国で、国会の建物にはチェコとEUの旗のほかにウクライナの国旗とイスラエルの国旗が掲げてあるほどです。

国家の承認という点では中国ですが、上下両院の議長が台湾を訪問したり、台湾との交流も盛んです。
プラハは戦災に会わなかったため、中世の町並みが残り、非常に美しい町です。
プラハには日本からは直行便がありませんが、韓国、台湾からは直行便が出ていて、観光客も大勢来ていました。
特に韓国からは新婚夫婦がカメラマンを連れてきて、プラハの街角で撮影するのが人気のようです。
以前にプラハを舞台とした韓国のドラマがあって、その影響が大きいそうです。
18:30 チェコ情勢ブリーフィング@大使公邸
10月12日
13:00 Forum for Democratic Cooperation (Indo-Pacific) Working Session

インド太平洋を民主化するためにどうしたらよいかというセッションでしたが、アメリカあるいは欧米の上から目線での民主化の押しつけになりかねない議論に注意喚起しました。
「そもそも何のための民主化なのか、民主化そのものが目的なのか、人権擁護や経済発展につなげるための手段としての民主化なのか、そこの議論が必要なのではないか。
そもそも今日のインド太平洋で最も国際秩序を乱しているのは民主国家のはずのアメリカではないか。
例えばASEANをみてもベトナムは共産主義体制、ブルネイは王制、シンガポールは欧米の研究者から時には「幸せな北朝鮮」と呼ばれたりするが、これはそれぞれの国の歴史が背景にあるからで、ここに一律に民主化を押しつけることは決して望ましいことではない。
むしろ「いかにこの地域での中国の影響力の進展を抑えるか」といった現実的な課題を議論するべきではないか。」
アメリカの参加者からは、「なぜインド太平洋は中国の脅威という点でまとまれないのか」という発言もありましたが、アジア各国から、「中国は脅威ではない」「中国は我が国にとって重要な貿易相手、投資元、市場だ」という声が次々と上がりました。
今の世界は民主的な西側と権威主義的な中ロに分かれてグローバルサウスの支持を得ようと競争している、いかにグローバルサウスを引きつけられるかを重視すべきという意見があり、今回の会議を通じてグローバルサウスの存在感の大きさがクローズアップされました。
権威主義的なグローバルイーストと民主的なグローバルウェスト、そして残りはグローバルマジョリティだという発言もありました。
フォーラム2000は、民主化や人権といったテーマが重視されているほかに、ダボス会議のような西側主導の会議とは少し違ったグローバルサウスの存在感がありました。
17:45 Introductive Session for New Participants
初めてこの会議に参加するメンバーのためのセッションが設けられていました。
参加者の多くは顔なじみで、NGOや研究者も多く、東中欧、中南米、インド、アフリカの参加者も多く、私がいつも参加している国際会議とは違った人脈ができそうです。
10月13日
08:00 Digital Power and Free Speech
SNSによるフェイクニュースの拡散や政府関係のアクターによるディスインフォメーションにどう対応するかという議論で、ヨーロッパと南米のパネリストを中心に議論されました。
やはり世界的な課題であることと対応の難しさを再認識しました。
09:45 Opening Plenary Session
“A Disruptive Actor on the World Stage:The Future of Relation with Russia”
チェコのパヴェル大統領とジョージアのサロメ・ズラビチビリ第5代大統領のスピーチに続いての開会パネルに登壇しました。
サロメ・ズラビチビリ・「ジョージア第5代大統領」という紹介は、本来ならば「前大統領」のはずが、直近の大統領選挙は正統ではないという認識で「前」とも「現」ともいわない絶妙な言い回しです。
パネルは、ヴェスナ・プシッチ元クロアチア副首相兼外相がモデレーターを務め、(左から)パヴェル・チェコ大統領、サロメ・ズラビチビリ・ジョージア第5代大統領、ラリー・ダイアモンドスタンフォード大学シニアフェローと私がパネリストでした。
ロシアの脅威がテーマでしたが、私は「ロシアはあくまで症状であって、根本的な問題は中国が引き起こしている。
そもそもロシアの経済は中国と比べれば圧倒的に小さい。
中国の支援がなければロシアのウクライナ侵略は続けられていないし、今や、北朝鮮の支援も重要になっている。
ヨーロッパと東アジアは今や連動している。
できればウクライナ後、プーチン後かもしれないが、ロシアを中国から引き離し、こちら側につけるという努力は必要だ。
そのためにも文化的なアプローチは続けるべきだし、SNSも駆使するべきだ。」ということを申し上げました。
中国をメインの脅威として捉え、ロシアは副次的な脅威だという私の発言は、セッション後にいろいろな参加者から賛同するコメントがありました。
ヨーロッパから見ているとロシアが大きく見えるが、中国が圧倒的な脅威だということ、グローバルサウスをどう引きつけるか、難しいがやらなければならないということはこの後の様々なセッションの根底に流れたと思います。
10:00 Storm Cloud Ahead? Geopolitics and the Global Economy’s Future
12:45 Lunch
14:00 チェコ国立博物館 故宮博物館の宝物展と「ルーシー」展
台湾の故宮博物館の宝物が旧東欧圏では初めて開催されていました。
故宮一の秘宝とされる翡翠の「白菜」も展示されていました。
また、同じくエチオピアから初期の人類「ルーシー」の骨が貸し出され、展示されていました。
この時間帯は空いていたので、「白菜」と「ルーシー」を見てきました。
故宮博物館展よりも「ルーシー」の方が人気があるようでした。
チェコの博物館では入場券の枚数を制限して入場者の数をコントロールしています。す。
週末は切符が売り切れで、月曜日のこの時間しかとれませんでしたが、特別展でも日本と比べてガラガラといえるような状況で驚きました。
15:45 Asian Perspective on Europe
17:30 China:Where Will It Stop?
19:00 Global Democracy Networking Dinner
主要な参加者が招待された晩餐会でした。
私のテーブルはスロバキアの外交研究所の理事長、デュポール大学の学部長、チベットからの参加者等でした。
10月14日
07:30 プラハ発
08:20 ウィーン着
11:25 ウィーン発
10月15日
06:55 羽田着
























