東京入管

2025.06.08

私は、初当選の頃から入管に関する問題を取り上げてきたので、以前にも入管の現場を見てきていますが、最近の状況も見ておこうと先日、東京入管(正式には東京出入国在留管理局)を視察しました。

東京入管は、かつて大手町合同庁舎内及び北区西が丘(退去強制部門)に所在していましたが、審査事務室・待合スペース、収容施設が手狭になり、東京税関のお台場移転に伴い、2003年、品川埠頭内の跡地に新しく建てられました。

小菅の東京拘置所と同じ設計者による建物で、真上から見ると+字型であるところなどがよく似ています。

現在、本局と3つの支局(横浜、羽田空港、成田空港)と12の出張所体制です。

横浜支局は、私が法務副大臣の時に関わり、当時の松本純代議士にご尽力をいただいて収容施設などが大幅に拡充された単独庁舎への新営・移転にこぎつけた経緯があります。

東京入管管内の在留外国人数は186万人と、全国の在留外国人数377万人の約半分を占めています。

管内の在留外国人の国籍別の内訳は
中国   56万人 30%
ベトナム 25万人 13%
韓国   17万人  9%
フィリピン15万人  8%
ネパール 12万人  6%
その他  63万人 34%
となっています。

在留資格別で見ると
永住者 50万人 27%
技人国 26万人 14%(技術・人文知識・国際業務)
留学  21万人 12%
家族滞在19万人 10%
技能実習14万人  8%
その他 56万人 30%
です。

東京入管の事務量がかなり増えています。

入管の建物の中に柔剣道や逮捕術などの訓練をするための鍛錬場があります。

入管職員は、民間の飛行機で忌避者を強制送還するための特別な訓練を受けなければならないので、鍛錬場には民間航空機の座席のモックアップなどがあります。

しかし、今回、鍛錬場の半分には机が置かれて入国警備官の事務室と化していました。

また、過去に行われた在留・退去手続の書類といった個人情報の開示請求が東京入管だけで年間約8,000件も寄せられるため、それに対応する部署が肥大化し、他部門にしわ寄せが来ています。

視察当日も、難民認定の申請者が多く来庁し壁づたいに長い行列ができていました。

管内での難民認定申請数は2024年の速報値で11,727人と全国の95%を占めています。

2024年の国籍別の難民認定申請数は
スリランカ 2,406人 21%
タイ    2,099人 18%
トルコ   1,098人  9%
インド     947人  8%
パキスタン   663人  6%
その他   4,514人 39%

このうちタイは、これまで韓国で不法就労するケースが多かったのですが、韓国内の不法滞留者数が40万人余りにもなるなかで、韓国が取締りを強化し、その結果、日本に流れてきたようです。

管内での難民の認定をしない処分に対する審査請求数は2024年の速報値で2,908人と全国の89%を占めていますが、前年に比べて37%、1,732人の減となりました。

国籍別には
スリランカ  851人 29%
トルコ    565人 19%
パキスタン  371人 13%
バングラデシュ277人 10%
インド    129人  4%
その他    715人 25%

今回、鈴木法務大臣より、不法滞在者ゼロを目指す「ゼロプラン」が出されました。

まず第一に、オンラインで事前に提供された情報をもとにスクリーニングを行い、好ましくない外国人の来日を未然に防止するとともに、全く問題の無い渡航者の審査をスムーズに行うための電子渡航認証制度(JESTA)の導入を遅くとも2028年度とします。これに伴い、出入国在留管理上の諸手続についてのデジタル化(「入管DX」)を推進し、業務の効率化を図ります。

査証免除の対象となっている国からの訪日者が主たる対象となるため、現在、問題となっているタイ、トルコからの訪日もスクリーニングできるようになります。

第二に、2024年末に退去強制が確定した外国人数は3,122人ですが、この数を2030年末までに半減させるために、対象国政府に働きかけ、不法滞在者の発生を防止する取り組みを強化します。

第三に、2024年の難民認定申請の平均処理期間が22.3か月と標準処理期間の6か月を大幅に超過しています。

2026年中に、新規受理した申請の平均処理期間を6か月以内とし、誤用・濫用的な難民認定申請を抑制するために、出身国情報などを踏まえてB案件(難民条約上の迫害に明らかに該当しない事情を主張している案件)を類型化し、在留を制限するとともに迅速に処理できる体制を整えます。

さらに難民認定申請中の送還停止効の例外を設けた入管法改正の施行前に行われた複数回申請の審査を早期に進めます。

第四に、審査の迅速化のために、難民認定手続きにAIやデジタル技術を活用し、入国から出国までの情報を一元管理できるようにし、不法滞在者の把握にも活用します。

第五に、2023年の入管法の改正で送還可能となった者や重大犯罪者などを中心に、計画的かつ確実に国費で護送官付きの送還を行います。

第六に、改正入管法による出国命令制度や上陸拒否期間短縮制度を積極的に活用し、自発的な帰国を促していきます。

第七に、被仮放免者の不法就労を防止するために、動静監視に注力し、警察と協力して被仮放免者の不法就労と雇用主の不法就労助長を積極的に摘発していきます。

「ゼロプラン」については、すでに法務大臣から指示が出されており、入管も組織一体となって全力で作業にあたっています。

電子渡航認証制度(JESTA)の導入が、2028年度というのは、システム開発などの都合ですが、対象国を絞って書面での審査を前倒しで導入することもできるはずです。

また、退去強制についても、現在は自らの意思と費用で出国する場合を除き、日本側が相手国まで対象者を護送していますが、対象者が多数に上る国には、相手国から航空機を出して空港で引き取りを行わせたり、一度に多数の護送を行うために、自衛隊機を使用するなどの方策も検討するべきです。

好ましくない外国人の来日を未然防止するためには、査証審査の厳格化や査証免除の停止が必要ですが、現在、査証業務は外務省の管轄になっています。

本来、査証業務は、外交と国内社会の治安維持(出入国管理上の秩序を含む)の両面があるはずですが、近年、外務省の査証業務は治安面を軽視しすぎています。

これだけ外国からの訪日者が増えたのですから、査証業務を入管に移すべきだと思います。

日本は、観光目的で来日してから難民認定申請を出すような偽装難民には厳しく対応する必要がありますが、他方で、世界的に増えている難民の受け入れについては国際的な責任を果たす必要があります。

例えば、現在行われているタイやマレーシアに避難している難民から毎年、一定数の若者を選んで日本に受け入れる「第三国定住」を拡大することで、パレスチナやロヒンギャなど今も難民キャンプで暮らす若者に将来への希望を与えることができます。

こうした政策は拡充していくべきです。

「ルールを守らない外国人により国民の安全・安心が脅かされている社会情勢に鑑み、不法滞在者ゼロを目指し、外国人と安心して暮らせる共生社会を実現する」との法務大臣の決意を、与党としても積極的に後押ししていきます。



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