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社会保障改革2025 消費税か保険料か
2025.04.14
グラフは1980年度からの税と社会保険料の推移です。
1980年度からの税と保険料の変遷を見ると、税の引き上げは政治的なコストが大きいのでなかなか引き上げられず、その分を保険料の引き上げでカバーしたために保険料が非常に上がってきたのがよくわかります。
しかし、保険料は、国民年金のように収入にかかわらず一定額を負担するか、厚生年金のように給与収入に対して一定率を負担するものになります。
そのため保険料を引き上げたことで、給与収入に頼る現役世代の負担が増え続けてきました。
また年金も医療も保険料を算定するための報酬月額には上限があり、どんなに給与収入が多くとも、その報酬月額上限以上の給与収入には保険料がかかりません。
そのため給与収入が多い者の負担は割合で見ると少なくなっています。
現在の国民健康保険料は、ほとんどの自治体が資産割を取り入れていないため、多額の資産を持っているが給与収入が少ない者の負担は軽くなっています。
保険料負担は、あまり公平ではありません。
他方、税とくに消費税は、消費額に対してかかりますから、収入や資産が多く、多く消費することができる者が多く負担することになります。
消費税ならば、元が給与であろうが、配当であろうが、利息であろうが、家賃であろうが、お金を使って消費をすれば消費税を負担することになります。
また、消費税は、現役世代だけでなく、子どもでも高齢者でも、税について優遇される宗教法人でも、暴力団のような反社会的勢力でも、消費すれば負担することになります。
同じ収入を確保するならば、給与収入に一定割合で課せられるために現役世代に負担のしわ寄せが来やすい保険料よりも、消費額に課税する消費税のほうが広く薄く集めることができます。
そのため、現役世代の負担を軽減するならば、保険料を圧縮して、消費税を引き上げるべきです。
だから現役世代は、保険料の引き下げと、その分を消費税に切り替えることを主張するべきです。
反対に物価高対策で消費税を引き下げることを主張する声もあります。
しかし、消費税を引き下げると、例えば数十億円、数億円単位で消費する高額所得者が、消費税を引き下げたおかげで数億円、数千万円の得をすることになります。
食料品に限ったとしても同じことです。
高い食料品を買う高額所得者が最も金額的に恩恵を受けることになります。
消費税の引き下げは、消費の多い者、つまり収入や資産が多い者が最も恩恵を受けることになり、極めて不公平です。
また、消費税を引き下げた減収分を補うために、他の税を引き上げたり、保険料を引き上げたりすれば、現役世代の負担が増えてしまいます。
国債を発行して借金をすればよいではないかというかもしれませんが、国の借金は、いずれ若い世代、次の世代が負担することになります。
物価高で困る世帯を救うためには、所得に応じて必要な給付をするべきです。
そのために、勤労税額控除、あるいは給付付き税額控除を取り入れるべきです。
この仕組みでは、収入が一定以下だと負の所得税がかかる、つまり給付を受取ることになり、所得が上がると給付が逓減し、一定以上の水準になると所得税を支払っていくことになります。
マスコミや一部の政党が消費税を目の敵のようにしていますが、現役世代の負担軽減、公平な負担を考えたときに、保険料と消費税のバランスをもっと論理的に考えるべきです。