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社会保障改革2025-1
2025.01.10
2024年の年金の財政検証に基づいた年金の改正が2025年に予定されています。
しかし、これまでに厚労省が提示した改革案は、厚生年金の積立金を勝手に国民年金のために使ってしまおうというこれまで以上に年金に対する国民の信頼を損なうようなもの等であったり、与党としても到底受け入れられない、また、受け入れるべきでないものです。
わが国の年金制度は、明確なビジョンを欠いたまま小幅な修正が繰り返されてきたこともあり、極めて複雑なうえに実態がありのままに説明されておらず、かつ、合理的ではない仕組みが随所に見られます。
例えば、国民年金と基礎年金の違いやマクロ経済スライドの仕組みを正確に答えられる人が果たしてどれだけいるでしょうか。
また、夫(妻)が第2号被保険者であればその妻(夫)は第3号となりえるのに対し、夫(妻)が第1号であれば妻(夫)は第3号となり得ないことや、そもそも保険料を全く支払わない第3号被保険者が満額の年金を受給できること、年金受給年齢に達しても収入が一定額を超えれば年金額が削減される在職老齢年金の仕組みなど、今の年金制度に納得のいかない方も多いでしょう。
制度は、理解が容易で合理的なものでなければなりません。
それによってはじめて国民は制度に信頼を寄せ、政治家も制度をガバナンスできるようになるのです。
超長期にわたって維持すべき年金制度の抜本改革には与野党の歩み寄りが欠かせません。
福祉国家として有名なスウェーデンでは「社会保障は与野党の政争の具にしない」という合意があります。
日本でも同じような合意をつくるべきです。
連立政権が少数与党となった今こそ、年金制度や将来の年金の財源を、与野党の議員も含めた開かれた場で議論し、次世代の若者につけを残さない年金の今後のビジョンを国民に明確に示し、国民から信頼され、国民の納得を得られる年金制度に改革していく絶好の機会が来たと言えます。
2025年を年金だけでなく社会保障改革の元年とすべく、私の考えをこれから順次、述べていきたいと思います。