年金を考える

2024.12.04

私は、初当選以来、年金改革を訴え続けてきました。

ここでもう一度、年金問題を取り上げます。

国民年金加入者(第一号被保険者と呼ばれます)は基礎年金(国民年金)を受け取ります。

厚生年金加入者は、基礎年金(国民年金)と厚生年金を受け取ります。

また、厚生年金加入者を夫(妻)に持つ専業主婦(夫)は、第三号被保険者として、保険料を納付することなく基礎年金(国民年金)を受け取ることができます。

基礎年金は、満額で月額68,000円です。ところが国民年金にだけ加入していた人が、今、実際にもらっている年金額の平均は、51,607円しかありません。

それは現役時代に保険料の免除や未納があったためです。

年金の保険料免除を受けると、その期間に相当する年金は減額されます。

全額免除された期間相当分の年金は満額の二分の一、半額免除された期間は四分の三だけ受け取ることができます。

基礎年金の財源の半分が保険料、半分が税となっているため、保険料を免除されても税の分は受けられますが、未納にしてしまうと税の分も受け取れません。

2023年度のデータによると、国民年金加入者1,367万人のうち、規定の国民年金保険料を満額納めている人は660万人と加入者の48%にすぎません。

他方、加入者の44%、約596万人が国民年金保険料を全額免除または猶予され、32万人が保険料一部免除、79万人が保険料を未納にしています。

保険料方式の基礎年金では、年金保険料の免除が必要なほど現役時代の所得が低いと、将来の年金金額も下がってしまいます。

そのため老後の最低限の生活を保証するという年金の機能が果たせていません。

国民年金加入者の場合、所得に関係なく16,104円の保険料を負担しなければなりません。

2,000万円の歳費をもらう国会議員(国会議員は第一号被保険者です)も、アルバイトで生計を立てている人も負担する金額は同じです。

また、全国で686万人いる第三号被保険者は、年金保険料を負担せずに、満額の年金がもらえます。

老後になっても収入がある人や資産がある人は年金に頼らず生活ができるかもしれませんが、多くの高齢者は年金が頼りです。

年金保険料の支払いに応じて年金を給付する制度では、保険料の支払いを忘れる人や保険料を支払いたくてもお金がなくて支払えない人が必ず発生します。

だから保険料方式の年金では、将来の低年金者が必ず発生します。

しかも現在、生活保護を受けている六五歳以上の単身高齢者世帯の生活扶助額は、例えば東京の品川区では76,880円と満額の基礎年金よりも大きくなっています。

年金保険料を支払わず、将来は生活保護に頼ればいいと思う人もでてくるでしょう。

基礎年金ならば、財源の半分は保険料ですから税負担は半額ですみます。

しかし、生活保護になると財源は全額税金です。

年金保険料の未納や免除は年金財政には微々たる影響しか与えませんが、国の財政には大きな影響を及ぼします。

老後の最低限の生活を基礎年金で保障するためには、基礎年金の財源を年金保険料ではなく、税でまかなう必要があります。

税を基礎年金の財源とする方式であれば、未納や免除の問題は生じません。

また基礎年金の年金保険料徴収業務が不必要になり、現在、年間数百億円かかっている徴収コストが不要になります。

例えば消費税ならば、現役世代だけでなく高齢者も負担していますから、世代間格差の是正にもつながります。

専業主婦(夫)ももちろん消費税を負担していますから、第三号被保険者問題も解消します。

そろそろ年金についての抜本的な改革の議論が必要です。



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