Kono Taro Official Website 印刷する

ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第24号 『みゅ』

『一人っ子と名字』

 私の友人に島聖子さんという人がいます。彼女のおじいさんとおばあさんが結婚した時の両家の約束で、最初に生まれた男の子、つまり島聖子さんのおとうさんは、おばあさんの家の名字の島を名乗りました。ところが結局子供は一人しか生まれませんでした。そこで、孫にあたる私の友人の島聖子さんが、戸籍上おじいさんの養子になり、姓を島からおじいさんの姓に改めました。

 そんな自分の経験から、彼女は夫婦別姓を認める法律の制定に熱心に取り組んでいます。彼女が提案する夫婦別姓を認める法案は、家の姓を存続させるため又は仕事上旧姓を続けることが必要な場合に家庭裁判所の許可を得て、夫婦別姓を名乗ることができるという内容です。

 しかし法律が成立する前に彼女は恋に落ち、職場結婚したのです。ところが、相手も仕事の都合上彼女の姓を名乗るわけにはいかず、さりとて養子縁組までしたおじいさんの姓を変えることもできない彼女は、式は挙げたけれど婚姻届を出さない事実婚の道を選びました。

 年齢を考えてもそろそろ子供がほしいけれど、夫婦別姓を認める法律が成立していないので婚姻届はまだ出せないし、さて、どうしたらよいのかと旧姓島聖子、元郵政大臣野田聖子は悩んでいます。出生率1・29と一人っ子があたりまえになりつつある我が国では、彼女の悩みは他人事ではありません。私は野田聖子代議士の提案する夫婦別姓法案を支持しています。

 残念ながら「政党」が中心になる今の国会運営の中では、夫婦別姓法案のような政党の枠組みを超えて賛否が分かれる法案が審議され、採決されることはほとんどありません。唯一の例外が国会史上極めて珍しく党議拘束を全て外して本会議で採決した臓器移植法案です。

 価値観が多様化している今の日本社会では、このような個人の価値観に基づいて賛否を決めるような法案がますます増えていくと思います。何が何でも政党の枠組みで賛否を決めて党議拘束をかけるのではなく、臓器移植法案や夫婦別姓法案のようなものに関しては、徹底的に議論した上で議員それぞれが自分の価値観や良心に従って投票をするような国会運営ができなければ、国権の最高機関としての役割を国会が果たしていくことは難しくなります。
第24号 目次へ 次へ シーズン制
ウィンドウを閉じる