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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第23号 『陰謀とあなたの財布』

プルトニウム


 プルトニウムは危ない物質です。同じ核物質であるウランなどと比べてもその毒性は飛び抜けています。そして、プルトニウムは核兵器の原料であり、IAEAの厳重な監視下におかれています。

 最近、北朝鮮がプルトニウムを使って国際社会に揺さぶりをかけていますが、北朝鮮が入手したプルトニウムの量は約5Kgと言われています。それに比べてこの三十年間、核燃料サイクルの実現を言い続けてきた我が国はずっとプルトニウムを溜め続けてきました。今や、日本が所有するプルトニウムは、38トンを超えています。かたやキログラム、かたやトンです! IAEAは、毎年その査察予算のかなりの部分を北朝鮮ではなく日本が保有するプルトニウムを査察するために使っているのです。

 「もんじゅ」計画が頓挫して、プルトニウムを燃やすことができなくなったため、経済産業省と電力会社は、大あわてでプルトニウムをウランと混ぜてふつうの原子炉で燃やすために「プルサーマル」という計画を立案しましたが、この計画もまだ実現していません。仮にプルサーマルの原子炉が一基稼働しても、38トンのプルトニウムを燃やすのに、35年かかり、発電コストはウラン発電の約四倍になります。

 ウランの燃えかすからプルトニウムを取り出すことにコスト的なメリットもなくなり、しかも、国内にはこの危険なプルトニウムが余って処分ができなくて困っているというのに、なんと三十年前の計画に沿ってプルトニウムを取り出そうという計画が着々と進行しています。

 青森県の六ヶ所村にプルトニウムを取り出すために当初予算七千億円、完成してみたら二兆円のコストで「再処理」工場が完成しました。この再処理工場からは年間5トンのプルトニウムが生産されます。時々、日本は核兵器を作るのではないかという話が海外からありますが、疑われるのも無理ありません。
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