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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第19号 『再び不良債権入門』

不良債権の後に来るもの

 これまでの十年間、日本経済を蝕んできたのは不良債権問題でした。そして、今後の十年に解決しなければならない最大の経済問題は、「人口問題」です。

 二〇〇〇年十月一日に実施された国勢調査によると、日本の人口は、1億2692万5843人。男性6211万人、女性6482万人、女性100人当たり男性の数は96人。

 この調査から推計すると、日本の人口は二〇〇六年まではゆるやかに増え、1億2774万人のピークに達します。しかし、二〇〇七年には1億2773万人へと初めて減少し、その後、二〇一五年には1億2627万人、二〇三〇年に1億1758万人、二〇五〇年にはなんと1億59万人まで減少します。

 高齢化も急速に進み、二〇一四年には、六十五歳以上の人口は3199万人と、総人口の四人に一人となります。同時に、生産年齢人口と呼ばれる十五歳から六十四歳の人口は減り続けます。その結果、生産年齢人口3・9人で1人の高齢者を支えている二〇〇〇年の日本の社会は、二〇一四年には2・4人で1人を支える社会へと変わっていきます。

 このままでは年金、医療、福祉等の社会保障制度を維持していくことができません。そして、老後が心配な社会では、誰もが貯蓄に一生懸命になり、消費が落ち込みます。あるいは市場の規模という観点から見ても、人口の減少を、このままに放置しておくことはできません。

 1人の日本人女性が生涯に産む子供の数の平均が1・36人という現状を考えると、思い切った少子化対策を導入することはもちろん必要ですが、それに加えて、海外からの移民を受け入れる政策に関する議論を今すぐにでも始める必要があります。

 ピラミッド型から釣鐘型になり、ひょうたん型になろうとしている日本の人口構成では、これからの年金制度を支えきることはできません。そこで、この国を愛し、日本の社会と経済に貢献しながら、この国で人生を築いていこうという海外の若者を、新しい日本人として二十一世紀の日本に受け入れていくことが必要になってきます。

 ちなみに現在、日本に滞在している外国人(観光客と在日米軍、外交官及び不法滞在者を除く)の数は、約170万人、日本の総人口の一・三%になります。

 どんな人を日本人として受け入れていくのか、どの程度の人数からスタートして、何人ぐらいまで増やしていくのか、新しい日本人が日本社会に溶け込んでいくためには何が必要なのか、そもそも日本人になりたいと海外の若者が思う国であるためには日本はどうあるべきか等の議論を早急に始めるべきだと思います。

 健保法や年金の改定は、これまで必要に迫られて、数年に一度行われてきました。しかし、どれも根本的な解決策の提示というよりも制度の崩壊を国民負担増で防ぐという意味あいのものでした。そろそろ、この問題を「日本人とは」というところにまでさかのぼって議論するときだと思います。

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