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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第19号 『再び不良債権入門』

国債

 さて、単純銀行がBIS基準を守るために、貸し出しを縮小すると、左側の箱は、貸し出しが187.5万円、現金が7.5万円ということになります(図4)。銀行は現金を持っていても全く利子が付きませんから、この現金で雀の涙でも利子が付く国債を買うことになります(図5)。今、日本政府が財政の赤字を埋めるために、多額の国債を発行しています。この国債を金融機関がせっせと買い込んでいるのです。

 景気対策で歳出を増やした日本政府は、多額の国債を発行しています。そして、不良債権のために自己資本比率が低くなってしまった銀行が、企業への貸し出しを抑え、あるいは企業への貸し出しを回収してまで、この国債をせっせと買い込んでいるのです。つまり、日本銀行から出たお金は、本来ならば、銀行を経由して、一般企業に貸し出され、そこから日本経済の血となって駆けめぐるはずなのに、傷ついた銀行が、企業に貸し出すかわりに国債を買い、企業への融資が細ってしまっているのです。

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