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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第19号 『再び不良債権入門』

BIS基準

 さて、銀行の経営に関しては、銀行の健全性を守るため、BIS基準という国際的な基準が設けられています。単純銀行の例で言うと自己資本額を貸し出し額で割ったものを自己資本比率と呼び、最低でも国際的に活動している銀行は8%、国内だけで営業している銀行は4%以上の自己資本比率を守らなければなりません。

 単純銀行は、実は海外にも支店を持っている国際銀行です。図1では、20万円(自己資本)/200万円(貸し出し)で自己資本比率は10%ですが、図3では15万円/190万円となり、7.9%の自己資本比率となり、このままではルール違反です。そのために、単純銀行は、自己資本比率が8%になるまで、貸し出しを減らさなくてはなりません。自己資本が15万円の銀行は、BIS基準によると、187.5万円までしか貸し出すことができません(187.5万円の8%は15万円)。図3の状態では、単純銀行は、190万円の貸し出しのうち、2.5万円を返済してもらって、貸し出しを187.5万円に減らさなくてはBIS基準をクリアできません。

 日本の銀行の多くが、この単純銀行のケースとよく似た体験をしています。なぜ最近、銀行が融資を返せと言うようになったか、なぜ、銀行がなかなか融資をしてくれなくなったか、もうおわかりでしょう。日本の銀行は、不良債権のせいで、自己資本が少なくなり、融資を減らさなくてはならないのです。 そのために貸し渋り、貸し剥がしといったことが起き、新規投資のための融資もできなくなってしまうのです。

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