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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第18号 『国会議員は詐欺師か』

「再編に向けて」

 今年の通常国会で、重要法案と言われた四つの法案がありました。成立した郵政改革法案と健保法改正案、継続審議となった個人情報保護法案と有事法制です。

 しかし、この通常国会の本当の最重要テーマは、今の日本の経済をどうするのかということであったはずです。構造改革を進めていくのか、国債増発、公共事業による景気下支え路線に戻るのかという議論、銀行を国有化してでも不良債権の処理を進めるのかどうか、ペイオフはどうするのか、規制緩和と地方に対する財源の移譲をどの程度のスピードで進めていくのか等など、ここできっちりと議論するべき問題が先送りされた感があります。

 こうした経済問題は、自民党の中でも意見が分かれていますし、野党第一党の民主党の中でも、旧社会党左派グループ、旧自民党グループ、若手の世代などの間で意見が一致しません。

 このままでは、小泉総理と抵抗勢力のいる自民党と小沢自由党から土井社民党までの野党の対立になりかねません。つまり、どちらの陣営にも、同じようにバラバラな経済政策を主張するグループが存在することになります。

 党としての政策がまとまらず、役職についている政治家がそれぞれの意見を言い出すようになると、国会という開かれた公式な場での議論ではなく、党内の会議や料亭での会談のような密室の話し合いになってしまい、また、決定した人間と責任を持っている人間が別ということにもなりかねません。

 こうなってしまうと、『党』として有権者と契約できるほどしっかりとした経済政策を、どの党も打ち出せないことになってしまいます。

 そろそろ日本にも、これまでの政党を前提とせず、政策を中心に新たに政党を創る時代が近づきつつあります。秋の小泉政権の内閣改造が、自民党の中をはっきりと区別することができれば、再編の第一歩となるはずです。そして、コップの中の嵐で終わっていた『若手』の活動も、政策を中心に、これまでの枠を越えたダイナミックなものにしなければなりません。

 明確な政策の違いで分かれた政党が、国会で議論を戦わせることになれば、たとえば予算委員会は、今回の通常国会のように、スキャンダルを叩き合う場にならず、今後の予算をどう組み立てていくか、国債の発行高をどうするか、地方への税源移譲をいくらにするかといった議論の場になるはずです。国民の皆様には、その論戦を見ていただいて、何が争点なのか、自分はどの意見を支持するのかということを考えていただけると思います。

 有権者としっかりとビジョンや政策で契約を結ぶことができる政党による政治を行うことが、政治への信頼回復の道だと思います。

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