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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第17号 『構造改革はできるか』

日本を採点する

  スイスにあるIMDというビジネススクールが、世界の先進国、中進国を競争力という視点から点数をつけて、ランキングにしている「世界競争力年鑑」というものがあります。

 かつて日本は、この競争力年鑑で、堂々一位、つまり、この地球という惑星の上で、最も競争力がある国として評価されていました。ほんの十年前、つまり1992年には、日本は、最強の競争力を誇っていたのです。しかし、93年にアメリカに抜かれ、二位に落ちると、94年から96年まではトップ5にいたものの、97年には一七位、98年には二十位以下と坂道を転げ落ち、2001年版ではとうとう評価の対象の49カ国中二十六位になってしまいました。(IMDによれば2001年の競争力のトップ5は、アメリカ、シンガポール、フィンランド、ルクセンブルグ、オランダ。反対に四十五位から四十九位はロシア、コロンビア、ポーランド、ベネズエラ、インドネシア。)

 IMDは、各国の競争力を評価するために、三百近い項目を分析し、それぞれについて、国別に評価しています。その評価を見て、うーん、と唸ってしまいました。なんと日本が四十九カ国中最下位の評価を受けたという項目が随分あるのです。


  たとえば、「事業を興すこと」がその国ではごく普通に行われているか、管理職が「起業家精神」を持っているか、の二つの項目は、ここ数年連続して最下位ですし、「株主の権利と責任」は明確か、「大学教育」は競争力のある経済に必要な人材を輩出しているかという項目も最下位。「政府の政策意図」が国民にしっかり伝わるか、と「内閣」は一体となって政策を遂行しているかも、最下位です。

 他にも「政治システム」が今日の経済問題に対処できるようになっているか、「政府」は経済環境の変化に柔軟に対応しているかという項目の評価は四十八位です。

 よく考えてみると、これらは、我が国の問題としていつも指摘されては、対応が先送りされてきたものばかりです。一度冷静に外から日本を見て、日本の抱える問題の大きさをきっちりと認識する必要があると思います。そうすれば、今のままで良い、あるいは若干の手直しで良い、とは言えなくなるのではないでしょうか。やっぱり今、日本を思い切って変える時なのです。

 ごまめの歯ぎしり
  力のない者が、やた
  らにいきりたつこと
   (広辞苑より)

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