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ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第15号 『本音の構造改革』

社会保障

 二十一世紀の日本は、ますます高齢化が進み、少子化も進みます。その結果、日本人の人口は、二〇〇七年から減少を始めます。しかし、だからといって悲観的になる必要はありません。

 高齢化社会というのは、つまり、人間が長生きする社会ですから、秦の始皇帝やエジプトのファラオ以来の人類の夢に近づいているわけです。人口の減少も、経済的にはデフレ要因かもしれませんが、限られた資源を有効に使い、環境を守りながら社会を発展させていこうとする新しい循環型経済の考えならば、むしろ良いことなのかもしれません。

 社会保障の国民負担率の問題や労働力の減少などの課題を解決するための改革を実現していけば、GDPは減少するが、一人あたりのGDPを大きくして、豊かな暮らしやすい社会を創ることができるはずです。

 年金改革については、ごまめの歯ぎしり第九号に書いたとおり、基礎年金の財源を消費税にする改革を断行する必要があります。そして、「弱者」の定義を見直すことが必要です。例えば、自動的に高齢者イコール弱者という考え方を改める必要があります。高齢者であっても、健康で、意欲があって、一定以上の資産や収入がある人はその時点では弱者ではありません。極端な例では、ありし日の松下幸之助翁や最近の宮沢喜一大蔵大臣、中曽根康弘元首相などを思い浮かべてください。ですから六十五歳を越えても、健康でしかも年収が一定額を超えている場合は、年金の支給を留保させていただき、健康に問題が生じて医療費、介護費が必要になった、あるいは収入が一定額を下回ったときにはじめて年金の支給をはじめるような制度にしていくべきです。そのために納税者番号、年金番号、健康保険番号を統一し、必要な人には定められた社会保障を、必要のない人には自己負担を求めていくようにしなければなりません。

 それと併せて障害者、子育てをする母親、労働組合にも入れないパート従業員などの「弱者」に対する社会保障と社会参加を組み直していくことが新たに必要になってきます。(つづき)

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