Kono Taro Official Website 印刷する

ごまめの歯ぎしり ハードコピー版

第9号 『俺達の年金改革〜1999.4〜』

年金は権利だ

 公的年金は信用できない、という若い人もいると思います。
 公的年金は、物価の上昇に応じて改定され、私的年金と比べ、実質的な価値は維持されます。私的年金は、期間が定められたものが多いですが、公的年金は、終身年金です。私的年金の原資は、自分の支払った保険料だけですが、公的年金の原資は、自分、下の世代が払った保険料、それに国庫負担が加わります。
 現行制度で、保険料が上限とされている二万四千三百円まで引き上げられる2015年を例に取ってみましょう。
 2015年に二十歳になった男子は、平均して、77・15歳まで生きることになります。四十年間国民年金の保険料を収めて、六十五歳から12・15年年金をもらうと、保険料の総額は、一一六六万円で、もらう年金は九五四万円、保険料の八十二%しかない。と思ったら、大間違い。
 保険料を四十年収めるということは、すでに六十歳になっています。六十歳まで生きた人は、平均して80・26歳まで生きるわけですから、年金を15・26年、一一九九万円もらうことになります。これは、保険料の一・一一倍になります。
 女性ならば、寿命が長いから、約二十年、一五九五万円年金をもらえて、保険料の一・三七倍。(村上清「年金制度の選択」の試算による)
 その分、積み立てして貯金したほうが得だという議論もあるかもしれません。
 しかし、この間にインフレがあっても、調整され、遺族年金や傷害年金もあるから、生命保険や傷害保険に入ったようなメリットもあります。 だから、公的年金は、権利だと考えたほうが良いのではないかと思います。ただし、未納者が増えれば、保険料が上がり、給付水準は下がっていきます。その前に制度を維持する改革が必要です。



第9号 目次へ 次へ 公的宿泊施設の問題
ウィンドウを閉じる