文科省によれば、この開栄丸の船員の平均給与は123万円/月・人だという。
もんじゅが再稼働すれば、2か月に一回、照射済み核燃料をもんじゅから東海研究所に輸送するために開栄丸を使うことを検討中というが、いつ、もんじゅが動き出すかも不明だし、仮に動いても開栄丸を使うのは最大、年に6回。
]]>今、我が家は毎月5kgのお米を食べます。
今回は家族のリクエストに応えて北海道のゆめぴりか。5kgで本体価格3500円。
さてもし我が家でゆめぴりかを年間通してずっと食べれば年間お米の消費金額は42000円。
消費税が10%なら4200円。
軽減税率が、精米だけを対象とすることになれば、2%分で年間840円になります。
もし5kg1000円のお米を年間通して食べれば年間12000円。
消費税10%だと1200円、軽減税率2%分で年間240円。
軽減税率で軽減される消費税の金額、どう思いますか。
軽減税率の問題の一つが、高いものを買う方が軽減される税額が大きくなることがあげられます。
軽減税率は低所得者を支援するために導入されるはずですが、高い食材を買う高所得者のほうが軽減される金額が大きくなるのです。
軽減税率によって政府は歳入を失いますが、低所得者を支援するためだけに歳入が減るのではなく、高所得者にも消費税が軽減されることによって、政府は歳入を失います。
これならば、給付付き税額控除の方が良い政策ではないでしょうか。
マイナンバーを利用して、確定申告をしていただいて、一定額以下の所得の場合には所得税を支払っていただくのではなく、一定額を給付します。
所得が一定額以下の場合に限り、給付が行われるので、高所得者は対象にならず、結果として、歳入減も限定されます。
軽減税率よりもこの方が、低所得者だけを対象とすることになるので、高所得者にもばらまかれることはありません。
消費額ではなく所得額で払い戻すので、「財務省案」のように、店にシステムを導入したり、マイナンバーカードを使って買い物をしたりといった必要もありません。
軽減税率を、精米だけでなく、生鮮食料品、あるいは食料品すべてにするという案もありますが、どこで線を引くのか、様々な関係者からの陳情合戦や圧力合戦になることが目に見えています。
それならば、軽減税率ではなく、給付付き税額控除にするべきだと思います。
軽減税率の問題点や給付付き税額控除のメリットをきちんと説明して、それこそ国民的議論をしなければなりません。
軽減税率で消費税が安くなったらいいよね、というだけで判断するのではなく、総合的な判断をしっかりしていきましょう。
]]>文科省の概算要求の中に、「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構運営費交付金に必要な経費」というものがある。
1642億円にもなるが、様々な事業をまとめて一つのレビューシートにしているという典型的な手抜き記載。
細かく見ていくと、この中に原燃輸送株式会社を支払先とする12億3200万円の項目がある。
「ふげん」の使用済み核燃料の輸送にあたる輸送船の維持管理に必要な予算だという。
2005年に、当時の核燃料サイクル開発機構が原燃輸送株式会社に依頼して造らせた開栄丸という船がある。
三井造船玉野事業所で2006年2月に進水、8月に竣工した全長100m、総トン数5000トンの船だ。
ふげんの使用済み核燃料、六ヶ所再処理工場からのMOX粉末、および「もんじゅ」の照射済み試験燃料の輸送を行うための船であり、なおかつ機構が利用しない期間は電力会社が利用するというのが計画だった。
建造費は47億円。これをまず、原燃輸送が負担する。そしてその90%を機構が15年かけて支払い、残りの10%はその後の10年間で支払われることになっている。
金利と固定資産税を加えると、合計60億円の負担になる。
さらに毎年9億円の維持費がかかるので、それも原燃輸送に支払う。
しめて年間12億3200万円の税金からの負担になる。
ここで誰もが妙なことに気がつくだろう。この船が運ぶはずの予定の六ヶ所再処理工場からのMOX粉末と「もんじゅ」の照射済み試験燃料は、未だに存在すらしないのだ。
存在しないものは運べない。
では「ふげん」の使用済み核燃料は何回運んだのかと尋ねると、答えは3回。
週に?、月に?、年間?
いや建造されてからの合計が3回。
2006年10月、2007年5月、2007年6月にそれぞれ5.2トンの使用済み核燃料を「ふげん」から東海研究所に輸送した。
では、機構が使わないときに使うことになっている電力会社の利用は...。
1回!
大飯原発から東海村にある株式会社ニュークリアデベロップメントカンパニー(NDC)にプルトニウムサンプルを移送した。
開栄丸は建造以来、4回しか使われていないのだ。
では、今後はどれくらい使われるのだろうか。
「ふげん」から出た使用済み核燃料のうち150トンは「ひのうら丸」という輸送船で東海研究所に輸送されている。しかし、このひのうら丸が廃船となるため開栄丸が建造され、3回で15.6トンを輸送したが、まだ、ふげんには70トン残っている。
この70トンの処理をどうするかは決まっていないが、フランスに持って行って処理するという話が有力になっている。
しかし、開栄丸は、使用済み核燃料を海外に輸送するために必要な防護措置がないため、海外には輸送できない。
つまり、今後の使用予定はない。
それでもこの使わない船のために、毎年12億3200万円の費用が税金から出ていっている。
さらにびっくりするのは、では契約解除したらどうなのかと文科省に尋ねると、日本原子力研究開発機構と原燃輸送の間の契約には秘密保持条項が入っているので、どういう内容の契約になっているのか文科省も見ることができない、と文科省の担当課長が澄まして答える。
全く使わない船を60億円の税金をかけて建造し、その維持管理に毎年9億円を税金から支払い、その内訳もわからず、契約内容も秘密ですといって開示もされないというようなことを行革本部としては当然認めない。
財務省をよんで、なぜ、財務省はこんな予算を認めてきたのかと質しても、これまでの経緯があったのでというばかりで要領を得ない。
まず、契約書が開示されない限り、税金からこの費用を支払うことはできないので、払いたければ日本原子力研究開発機構が身銭を切ることになる。
また、これまで税金で負担してきた分についても機構から国庫に払い戻しをさせるべきだろう。
文科省の原子力関連予算は、数百億円かけて建設され、何も使われず、今後も使われる予定もないRETFをはじめ、使うはずだといって作られたのに、現実には使われていないものがたくさんある。
文科省の原子力関連予算から無駄をなくすべく、行革本部の無駄撲滅プロジェクトチーム内に特命チームを立ち上げた。
]]>まず、内閣府が新たに出してきた中長期の財政見通しでは、公債等残高GDP比の数字が2023年度までしか示されていない。
内閣府の数字では、2015年度の195.1から2023年度の178.1まで、この数字は改善していく。
しかし、前回もこの先どうなるのかを行革推進本部で機械的に試算してみると、2023年度がピークでそこから再び、この数字は悪化していく。
今回の内閣府の試算に関しても、前回と同様に、機械的に2023年度以降を行政改革推進本部で試算してみると、下記になる。
2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030
178.1 177.7 177.8 178.4 179.4 180.7 182.1 183.6%
つまり2024年度まで改善傾向が続くが、その後は、前回同様に悪化の一途をたどる。やはりプライマリーバランスだけではなく、財政収支まで考慮した財政再建策が必要になってくる。
さらに8月末に出そろった概算要求に関する無駄遣い撲滅プロジェクトチームのヒアリングを進める。
PTの役員は
座長 河野太郎
事務局長 木原誠二
事務局次長 福田峰之、田中良生
主査 星野剛士、山下貴司、小倉将信、務台俊介
特命 村井英樹、小林史明、秋本真利
さらに主査ごとに数人のメンバーが参加している。
各省庁の概算要求のヒアリングをそれぞれの主査が率いるチームごとに行う。
レビューシートで見て、新規事業の合計が336。そのうち10億円以上のものが74事業、1億円以上のものが189事業。
毎年、一つの役所をピックアップして、すべての事業の棚卸を行うことにしているが、今回は、農水省の2016年度の新規要求事業、39事業すべてヒアリング対象とする。
この他に、特命案件が3つ。
プライマリーバランスの黒字化に向けて、来年度予算に向けてしっかり作業を進めていく。
]]>相変わらず厚労省は、免除者は納める義務がないのからと、厚労省のいう「納付率」の計算からは除外している。
行革本部の要請は、免除者を含め、すべてが対象になった数字で厚労省は「全額免除月数等を分母に加えて機械的に算出した率」と勝手に名づけている。
納付率の低い方からトップ5は
大阪 難波 17.7%
沖縄 コザ 17.9%
沖縄 平良 19.7%
沖縄 浦添 20.4%
沖縄 名護 20.7%
このうち難波、コザ、平良 浦添は昨年20%を切っていた。
納付率トップ3は
東京 千代田 63.7%
岐阜 高山 62.1%
富山 砺波 60.7%
厚労省のいう「納付率」でみると
千代田 78.4%
高山 82.1%
砺波 83.4%
難波 33.0%
コザ 43.2%
平良 47.1%
浦添 47.9%
名護 47.6%
となる。
免除された月数分は、国負担分、つまり満額の2分の1の年金しか支払われない。
そして未納分は全く年金として支給されない。
このままでいくと、高齢者の生活保護世帯が飛躍的に増えていくことになる。財政にも大きな影響を与えることになる。
1300億円という予算がどう決まったのかも検証の対象の一つです。
2012年3月末に、新国立競技場の「基本計画を策定するための資料作成支援業務」をJSCが公募し、都市計画研究所と久米設計の2社が応札し、都市計画研究所が受注しました。
設計条件の策定と都市計画の手続きへの対応が主な業務で、4月下旬に契約が行われました。
2012年5月に、JSCの有識者会議の下に設置された施設建築WGが、安藤委員長の提案を受けて、国際的なデザインコンペを行う意向を固め、最初の契約にはなかったデザイン競技の支援が都市計画研究所との契約に追加されます。
デザインコンペが追加された理由として、元のスケジュールではデザインが決まるのがオリンピックの立候補ファイル提出後になってしまうため、インパクトのあるデザインを持ったメイン会場を立候補ファイルに載せるために、デザイン競技でデザインを決める必要があったことがあげられます。
そのため、JSCから都市計画研究所に対して、7月初旬までに新競技場の規模及び費用を出すように指示が出ました。
本来は、6か月程度の期間をかけてやる業務を2か月でやらねばならないため、同じような競技場を参考にして坪単価を出して、安全側に見積もるという対応を都市計画研究所はしました。
新国立競技場は、東西で8mのレベル差があり、それを埋めるためのデッキが必要になるので、同じようなデッキを持っている日産スタジアムを主に参考にし、必要に応じてその他のスタジアムも調査しました。
7.2万人の日産スタジアムの規模を8万人に拡大し、ロッカールームその他の施設を積み上げていくと29万平方メートルになり、その規模でも神宮の敷地には入ることを確認しました。
日産スタジアムが建設された1997年の建設コストを100とすると、建設コストは88と算出されました。1997年と比べてコストは安くなっていますが、資材や労務単価はすでに上昇し始めていました。
日産スタジアムのスタンド全体(屋根と電光掲示板等は入っていません)とフィールドの基礎については、建設コスト586億円を述べ床面積で割った坪単価34.5万円にデフレーター88%を掛けて30.3万円。それに29万平方メートルをかけて878億円。
人工地盤に関しては、日産スタジアムの人工地盤が8.5mなので、これを参考にして、98.5億円を延べ床面積で割って坪単価26.6万円にデフレーター88%を掛けて23.4万円。これに2.7万平方メートルを掛けて64億円。
さらに人工地盤上の立体公園の費用5.5億円と東京都体育館との間の道路などの道路をまたぐ人工地盤の費用が24億円で、人工地盤合計で94億円。
球技場として使用するときの機械式可動席の費用が33億円。
陸上競技のフィールド表面等の整備が8億円。
開閉式の屋根に関しては、軽量屋根を前提として大分スタジアムの24.4万円にデフレーター88%を掛けて21.4万円。面積を掛けて132億円。
開閉式の屋根が幕を前提とするようになったのはザハ案が採用されてから。
ホスピタリティは、日産スタジアムでは不十分ということだったので、ウェンブリーを参考にして13億円。
絵画館側の外構が9億円、大江戸線との直通の出入り口が10億円等を合計して、消費税5%でコンペ要項の1300億円をはじき出されました。
求められるスペックに対して1300億円というコストをはじき出した過程は、時間の制約の中では特に問題視するようなところはないように思えます。
問題は、JSCがまとめた新競技場のスペックにあります。
本来はオリンピックに必要ない8万人の収容人員が、規模を不必要に拡大させ、それがコストに直接跳ね返っています。
6万人のスタジアムにして、オリンピックに必要な追加分は仮設にすれば、面積が小さくなり、外構工事その他も縮小することができたはずです。
こうしたことを考えれば、1300億円というコストは、もっと安くすることができたはずですし、開閉式の屋根も、すでに前例のある方式で132億円の見積もりになっていました。
JSCが新国立競技場の要求項目の絞り込みができなかったことが、その後のコストの肥大化につながったことがはっきりしました。
ゼロの会のメンバーが国会で、質問を繰り返したこともあり、厚労省は、8月26日に「東京電力福島第一原子力発電所における安全衛生管理対策のためのガイドライン」を策定、公表しています。
福島第一原発構内で作業する労働者数は、1年前の1日当たり3500人から大幅に増え、1日7000人にも上ります。
しかも、最近では、毎月500人の新規労働者が採用され、ほぼそれと同数の労働者が辞めていきます。
厚労省は、全労働者の被曝線量の総計は高止まりしていると懸念を示し、被曝線量が5mSvを超える労働者の数は減少していません。
被曝も問題ですが、8月には作業員が3人死亡しています。
8月1日にはその日の凍土遮水壁の連結管用の穴掘り作業を終えた30代の男性作業員が、Jヴィレッジに戻ったところで体調不良を訴え、病院に運ばれる途中で意識不明になり死亡。
8日には50代の男性作業員がバキューム車のタンクのふたに頭を挟まれて死亡。
21日には60代の男性作業員が機材を1号機のタービン建屋に搬入した後、意識を失って倒れ、死亡。
東京電力が設置した「原子力改革監視委員会」のデール・クライン委員長も死亡事故を含めた事故が相次いでいることに、「東電が安全を確保し、安全向上を図る責任を担っている」と警鐘を鳴らしています。
原発ゼロの会では、福島第一原発構内に限り、東京電力を特定元方に指定するように主張しています。
また、自民党の原子力規制に関するプロジェクトチームの吉野正芳座長と井上信治事務局長が、衆議院、参議院の議運委員長に対して、国会事故調が収集し、国会図書館が保管している資料の開示ルールを早急に制定することを求める自民党からの要請を行いました。
開示ルールの原案をプロジェクトチームで作成し、提案していくことを求めていきます。
]]>退職給付に関する会計基準の適用指針には「退職給付債務等の計算における割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定するが、この安全性の高い債券の利回りには、期末における国債、政府機関債及び優良社債の利回りが含まれる。
優良社債には、例えば、複数の格付け機関による直近の格付けがダブルA格相当以上を得ている社債が含まれる。」とある。
国際的な企業の場合、外国の債権の金利などが影響する可能性があるので、一概にどうだとはとは言えないというが..。
金融庁と事業年度ごとの東芝及び日立、NEC、富士通の退職給付金割引率を調べてみると
東芝 日立 NEC 富士通
2006 2.5% 2.5% 2.5% 2.5%
2007 2.8% 2.5% 2.5% 2.5%
2008 3.3% 2.6% 2.5% 2.5%
2009 2.7% 2.5% 2.5% 2.5%
2010 2.6% 2.4% 2.5% 2.5%
2011 2.2% 2.1% 2.5% 2.5%
2012 2.1% 1.6% 1.4% 1.7%
2013 1.8% 1.2% 1.4% 1.7%
となった。
たしかに東芝の2008年の割引率が高い。
調べると、公認会計士の細野祐二氏が雑誌『世界』の九月号で、この問題を指摘している。ちょっと長いが引用してみる。
「(東芝では)09年3月期末以前の早い段階で、この決算では5000億円を超える株主帰属包括損失の計上が避けられないという報告が経理部門より上がっている。...
一方、5000億円の損失計上の結果、東芝は連結決算上で資本欠損になる。資本欠損になると、監査法人が繰延税金資産4000億円強の計上についてぐずぐず言うかもしれない...
こうして東芝は、09年3月決算において、借入金以外では最大の負債項目である退職給付債務に手を付けることにしたのではないか?
東芝の連結貸借対照表には、09年3月期末現在、7193億円の退職給付債務が計上されている。この退職給付債務は、予測給付債務1兆3808億円から年金資産6607億円を控除し、その他会計上の数理差異等を調整して計上されたものである。
要は従業員に対する将来の退職給付債務が1兆3808億円あるものの、退職給付の支払いのために年金資産を6607億円積立ててあるので、その差額の7201億円が東芝負担額となるところ、数理差異等の調整を行って7193億円を負債計上したということである。
年金資産6607億円は、年金資産として運用している株式や債券を時価評価したもので動かし難いのに対して、予測給付債務1兆3808億円の方は、従業員の将来の退職給付債務を昇給率や脱退率等の様々な仮定により数理計算上推定計算し、それを現在価値に割り引いた仮定的理論値に過ぎない。
したがって、仮定値の置き方によって数字は大きく変動することになるが、その中でも決定的に影響力が大きいのは割引率である..
割引率が変われば数理差異等も変わってくるので正確な数字を出すことはできないが、それでも、東芝が09年3月期決算において、割引率を07年以前の許容できるものを適用していれば、東芝が負債計上すべき退職給付債務は7193億円ではなく、あと2331億円多い9524億円となっていた。
この負債が計上されれば、資本欠損額は1228億円から3559億円へ膨張し、それだけ大きな資本欠損となれば、さすがの新日本監査法人も繰延税金資産4939億円の計上など認めないので、そうすると資本欠損額はさらに8498億円へと膨らんでいた。」
こうなると行革推進本部の業務ではないので、こうした情報をまとめて金融庁と証券取引等監視委員会に委ねた。
]]>総額で102兆4000億円になる。
これを最終的には99兆6000億円まで切り詰めていかなければならない。
内閣府が新たに出した中長期の財政試算では、2015年度の名目成長率が2.7%から2.9%へ、2016年度の名目成長率は2.9%になっている。
2016年度は、これまで経済成長ケースでは3.3%、ベースラインケースでは1.6%と二通りに分かれていたが、来年度の見通しということで今回の試算では2.9%に一本化された。
2017年度以降は経済再生ケースで名目3.6%、ベースラインケースでは名目1.4%が2023年まで続くことになっている。
今回の試算では、現実の税収増を織り込んで、2020年度では1.4兆円の税収増を新たに試算に加えている。
さらに歳出面では、前回の試算で物価上昇率分で伸びるとした一般歳出のうち、人件費を過去のトレンドに引き直すなどして、2020年度で1.8兆円の歳出減を盛り込んでいる。
この歳入増と歳出減で、2020年度のプライマリーバランス赤字を前回試算の9.4兆円から6.2兆円まで小さくなるとしている。
この新しい中長期試算では来年度のプライマリーバランス対象経費は73.6兆円としている。
今年のプライマリーバランス対象経費が72.9兆円なので、来年度予算で歳出を増やすための枠は全部で7000億円。
しかし社会保障費の増加が5000億円と見込まれているので、実際に社会保障以外の予算増に反映できるのは2000億円しかない。
もちろん新国立競技場を建設するならば、毎年の国負担分が、毎年の歳出に組み込まれてくる。総額いくらになるんだっけ。
73.6兆円に国債費26兆円を加えると、一般会計の総歳出は99.6兆円になり、国債費がそのうち26%と4分の1を超える。
そして2020年度のプライマリーバランスの黒字化は必達しなければならないが、この試算では、それでも財政収支の対GDP比は、2018年以降、悪化する。
つまり2015年の名目長期金利は0.9%だが、経済再生ケースでは2018年には2.7%、2020年には3.9%、2023年には4.5%へと上昇していくと推計されている。
今回の中長期試算の最大の問題点は、公債等残高対GDP比率が前回と同じく2023年までしか示されていないことだ。
前回の試算後、自民党の行革推進本部で機械的に試算してみると経済再生ケースでも2024年からこの比率が悪化していく。
前回の試算後に、行革本部では、2023年までの数値しか示さないのは極めて恣意的で、問題が多いと指摘したが、今回も都合が悪い数値を隠している。
やはり、独立した推計機関の設置が必要だし、それも急いでやらなければならない。参議院で進められている議論をぜひ、急いで詰めていただきたい。
]]>銚子市は、財政状況が悪く、財政再建団体転落一歩手前です。
一般会計のお金が足らず、水道特別会計から四億二千万円を借り入れるという荒技でつなぎましたが、水道特会もお金があるわけではないというのが、今日の仕分けで市民にもわかりました。
構想日本が、すでに銚子市では二回、事業仕分けをやっていて、私は一昨年の仕分けにも参加させていただきました。
今回は、銚子市の施設に焦点を当てた事業仕分けになりました。
私の入った第一班は、東京都や浜松市の自治体職員と小田原から夕張に住民票を移したビルメンテナンス会社の代表取締役と私の四人が仕分け人を務め、そして構想日本の伊藤伸さんがコーディネーターでした。
最初の対象事業は、斎場管理運営事業。
火葬をするだけの施設なのにプロポーザル公募方式で指定管理者が決められ、結果として、焼却炉メーカーがそのまま指定管理者となり、コストが高くついていました。
さらに斎場使用料が安く、受益者負担になっておらず、一般会計の負担が大きくなっています。
コストの見直しと受益者の負担の適正化、そして長期的には近隣自治体との共同での施設に移行すべきという判定になりました。
二つ目は青年館管理運営事業です。
銚子市には、青年館と呼ばれる集会施設が94館あります。そのうち38館は銚子市が保有するもので、築50年から30年近いもの。56館は町内会が保有しているが、同様に古くて耐震も不十分です。
これらの改修や建て替えをどうするかということですが、そもそも利用頻度が月一回程度から二、三回のものばかりで、お祭りの太鼓をしまう倉庫代わりでしょうか。
さらに銚子市にはコミュニティセンターがあり、憩の家をはじめとする同様の公共施設もあり、小、中学校だって放課後に利用することもできるのだから、市が保有する青年館は全廃、町内会が自ら管理運営するならば引き渡す、町内会が運営するものについては、市の助成はなしにするべきというのが大勢でした。
青年館を担当している部署では憩の家については関知していないなど、似たような施設を縦割り管理していることから施設の無駄が生じています。
午後一番の事業は、消防団消防庫管理運営事業。
銚子市内の消防団九分団四一部の拠点整備の費用です。毎年、二千万円近くかけて一つを新築し、四十年という計画ですが、そもそも消防団の配置が適正なのか、市の他の施設が新築、改築されるときにそこへ複合化など、長期的な必要性の見直しをすべきということになりました。
次の水道施設管理運営事業が、今日一番の問題でした。
まず、水道特別会計は、一般会計にお金を貸せるほどの余裕はなく、貸した四億二千万円も五年間できっちり返してもらわないと困るという状況です。
四億二千万円も単年度で足らない一般会計が、翌年から一億円ずつ、返済ができるのだろうかという疑問を、今日の市民判定人の皆さんはきっと思ったでしょう。
銚子市は、自らの水道事業の他に、旭市や東庄町と一緒に、東総広域水道企業団を設立し、そこからも受水しています。ところが昭和五六年に締結された覚書の申し込み水量に対して、銚子市はその二割しか使用していません。
ところが受水費の基本料金は、この申し込み水量で計算されるため、銚子市は申し込み水量の二割しか使っていないのに、毎年五億円も負担しています。しかも、それがほとんど問題視されて来ませんでした。
この東総広域水道企業団との関係を明確にし、覚書を締結し直して負担を下げるのか、覚書まで受水量を増やし、自らの水道事業を縮小するのか、長期的な戦略をはっきりとさせることと、短期的には、現在は非常に安い水道料金を長期的に見て適正な設備投資ができるところまで引き上げるという両方を市民に示し、了解を得るべきというのが仕分け人の意見であり、市民判定人も合意してくれたようです。
最後の事業は高等学校管理運営事業で、市立銚子高校をどうするべきなのかという議論でした。たしかに歴史のある市立高校かもしれませんが、現在の銚子市に、市立高校を運営していくだけの理由と財政能力があるのかどうか。
また、市立銚子の高校生のうち、市内から通学するのは四割ですが、市外から来る高校生に何も追加負担を求めなくてもよいのかどうか議論になりました。一般会計から七千万円ぐらいの持ち出しになっていますが、それを銚子市民が税金という形で負担するのがよいのか、そこは市外からの通学者に受益者負担という形で求めるのか。
また、市立銚子高校の施設の管理運営はPFI事業として公募プロポーザル方式で入札されたが、やはりコストが極めて高くなっていることが問題視されました。
また、将来的に、高校の生徒数が減少していくことが予想される中で、長期的に施設管理コストがPFI事業として固定されているため、銚子市の負担額が大きくなることも問題として取り上げられました。
なぜ市立高校が必要なのかという問いに対して、行政からは、かつて創立の時の考え方はこうだったという返答がありましたが、これから銚子市が、この財政状況の中ででも市立高校を維持していくのはなぜなのか、考えられているとは思えませんでした。
銚子市民の皆さんが、市立高校に対しては、答えを自ら出さなければならないと思います。
財政が破綻すれば、現状よりも、行政が提供できるものははるかに少なくなります。行政サービスは極めて限定されます。
銚子市の行政にその危機感があるかといえば、ないといわざるを得ない一日でした。
]]>九月八日告示、二十日投票日が提案され、本来、選挙管理委員会で決めるはずの日程が、マスコミにすでに報道されているのは問題であり、日程変更をするべきと主張する。
しばらくこの議論になるが、国会日程やシルバーウィークに入ってしまうことなどを考えると、ここが一番妥当だということになった。
選挙管理委員会の報道担当役員に任命され、候補者の記者会見やテレビ出演の取り仕切りをすることになった。
会議の席上、必要書類の確認があり、サンプルとして前回の候補者の選挙公報が配布される。
そのなかのエネルギー政策を見てみよう。
安倍晋三
脱原発依存。「新エネルギー戦略」へチャレンジ。
石破茂
記述なし。
町村信孝
福島に再生エネルギーの拠点を創設
安定した電力・エネルギー供給体制を確立し、節電・省エネ・再生可能エネルギーの活用を強力に進め、原発は個別に十分な安全審査
石原伸晃
エネルギー:安全第一の原則、新たなエネルギー安定供給構造へ
当面の最優先課題として、3年間、再生可能エネルギーの最大限の導入、省エネの最大限の推進を図ります。
原子力については、安全第一の原則の下、原子力規制委員会の専門的判断により、安全性を厳しくチェック、再稼働の可否を判断します。
これらの状況を踏まえ、原子力の未来を見極めつつ、10年以内に新たなエネルギーの安定供給構造を構築します。
林芳正
原子力発電の位置づけ、地球温暖化対策については、安全性の確保、雇用の維持、国内産業の活力など総合的な観点を踏まえ対応します。
安倍晋三候補の前提条件なしの「脱原発依存」が際立っていた!
さて、今回は?
]]>六万八千人の収容人員、仮設のサブトラックを持つ陸上競技場で中央にサッカーのピッチを持つ。総工費は1540億円。
常設のサブトラックのめどがたたないため、オリンピック後には陸上競技用のトラックをつぶすことも明確になった。
稲田政調会長と相談し、自民党としてはこのプランを了承しないことにした。
関係閣僚会議事務局は、政務に対して、このプランでみんな賛成するなどとでたらめな情報を上げていたこともわかった。
自民党は、政府に対して、1540億円を上限とし、今後の設計などでさらなるコストダウンを求めるとともに、1540億円の財源を明確にすることを求める。
実はこのプランには隠された狙いがある。
固定席六万八千人に加え、トラックをつぶした後に一万二千人分の仮設席を設ければ、FIFAのいう招致ルールの八万人のスタンドという条件をクリアできるというスケベ心が見え見えだ。
招致が決まったオリンピックのための競技場ならば、建設するというオプションもあるが、招致するかどうかもわからないワールドカップのためにコストを増やすというのは、行革推進本部長として、到底受け入れられない。
関係閣僚会議には、サッカーのワールドカップ招致には前向きの声が強いという情報が挙げられたようだ。
サッカー協会にしてみれば、身銭を切らずに競技場が整備されることに反対する理由はない。サポーターもワールドカップ招致には反対しないかもしれない。しかし、招致にかかるコストは考慮されていない。
以前に書いたように、日本のサッカー界が直面する問題は、ワールドカップ招致とはずれている。
2020年のプライマリーバランス黒字化という財政目標を掲げているなかで、「できたらうれしい」というだけで予算を使うわけにはいかない。
今回の競技場は、固定席六万人に仮設席八千人で十分なはずだ。その場合、総床面積を削減し、建設コストをさらに削ることができる。
]]>2013年8月の時点で、ザハ案に基づき、複数のプランが作成され、その中には1300億円に近いコストのものも含まれていたのがわかった。
2013年8月19日の検討資料を見ると
# 0 1 2 3 4 5 6
面積 22 22 22 22 22 29 29
万平方
メートル
可動 X X X ○ ○ ○ ○
屋根 なし あり
屋根 35 50 68 ○ ○ ○ ○
千平方
メートル 全面
可動 X ○ ○ ○ ○ ○ ○
席 なし あり
可動 X X X X X X ○
ピッチなし あり
立体 X X X X ○ ○ ○
通路 なし あり
キール△ △ ○ ○ ○ ○ ○
アーチ短い 長い
アーチ△ △ ○ ○ ○ ○ ○
スパン250m 350m
工事費1358 1464 1552 1689 1861 2244 3031上限
億円 1570 1746 2020 2365 2748 3535下限
と複数の案が検討され、もっともコストダウンしたものは概算で1358億円と、予定コストの1300億円に近付いている。
ただし、可動屋根なし、屋根は観客席のすべてを覆わない35000平方メートルのみ、キールアーチは地上に達しない長さで、250mスパン、立体通路も可動ピッチも可動席もなしというシンプルなものになっている。
しかし、この1300億円プランは取り上げられなかった。
8月下旬に、再度複数プランが検討されたが、今度は上記の#6からさまざまなものを外してコストダウンする手法がとられている。
その結果、キールアーチスパン300m、外装パネル半減、立体通路縮小、可動ピッチなし、面積22万平方メートル、屋根の遮音性能見直し、設備・音響見直し、1428-1851億円というプランが選ばれている。
最終的にこれが総工事費1852億円として提示されたプランになる。
この作業は4社からなる設計JVによって行われ、ザハ氏は途中のいずれの案も見ていない。
コンペで最優秀をとったザハ案だが、コンペの条件を逸脱していたブリッジを修正するという条件が付いたので、ザハ氏はそれを受け入れて修正すると同時に、南北を逆転させている。
さらにコンパクト化の指示に基づき、ザハ氏から350mのスパンを300mに縮める提案も出され、面積が29万平方メートルから22万平方メートルに小さくなった。
設計JVとザハ氏の間のやり取りは、面積を減らす、駐車場の台数を減らす、商業施設・博物館の面積縮小といった「機能」を落とさざるを得ないというJVからの提案をザハ氏側が受け入れるといったものに限られ、コストがいくらになりそうかといった数字のやり取りは一切なかったという。
1852億円のプランについては、ザハ氏側に対して提示され、ザハ氏が同意したという。
なぜ1300億円までコストダウンできなかったかといえば、そこまで変えてしまうともはやザハ案ではなくなってしまうからだという。
オリンピック招致の成功にあのザハ案が果たした役割が大きいと関係者の多くは考え、国際公約だととらえていたので、財務省はまったくみとめていない1300億円のコストをさらに超越してもザハ案をやらなければならないという雰囲気だったことがわかってきた。
オリンピックの招致をIOCは、建物のデザインで決めているのだろうか。だとしたら、IOCはオリンピック招致のためのルールをもっとまともなものに変える必要がある。
日本サッカー協会は、いまだにワールドカップ招致といっているが、自民党の行革推進本部は、招致のためのルールが変更されない限り、ワールドカップ招致に手を上げることには反対する。
もちろん、8万人規模のスタジアムにもだ。
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公開書簡
2015年8月14日
関係閣僚会議 遠藤利明議長殿
自由民主党 行政改革推進本部長 河野太郎
新国立競技場に関する関係閣僚会議について
8月14日に開催された関係閣僚会議で決定されるべき内容「再検討に当たっての基本的考え方」が、8月13日付けの特定の新聞で報道されるという事態が起きました。
これまでの行革本部での検証作業の中で、かつてのJSCの有識者会議は、問題を議論せず、単に決定を追認するだけであったことがわかっています。そしてそれが旧「新国立競技場」問題の混乱を招いた一因になったことは否めません。
8月13日の報道は、関係閣僚会議が二つの問題に直面していることを示唆しています。
一つは、関係閣僚会議の事務方が一部メディアと癒着し、情報がリークされていること。今回だけでなく、これまでも関係閣僚会議に関する情報がたびたび特定のメディアで報道されてきました。
二つ目の問題は、関係閣僚会議が、事務方が決めた案を追認するだけのものになっている可能性です。これではJSCが設置した有識者会議と何ら変わることはありません。
一度、国民から信を失った国立競技場計画に関して、再び、国民の信頼を取り戻すことは大変に困難です。そのためにも関係閣僚会議の運営は、実際的かつ実務的に行われなければなりません。
つきましては、自由民主党行政改革推進本部として、下記の事項を関係閣僚会議に求めます。
議長のご配慮をよろしくお願い申し上げます。
記
一、 「再検討に当たっての基本的考え方」が事前にリークされた経緯を調べ、責任者を処分すること。
二、 今後、関係閣僚会議の内容が事前に漏れることがないよう、十分な体制を構築すること。
三、 関係閣僚会議の議事録、資料を遅滞なく公開すること。
四、 関係閣僚会議では、複数の選択肢がそれぞれの長所、短所とともに提示され、会議での議論の上、決定が行われるような運営が行われること。
五、 自由民主党から提言された、ゼロオプション、何をつくるかに関する二つのオプション、どうつくるかに関する三つのオプションに関して、どのような議論が行われ、最終的な決定に至ったか、資料とともに議事録を公開すること。
以上
しかし、JSCが実施した国際デザインコンペは、予算だけでなくいろいろと経緯がよくわからない。
検証作業を進めると余計混乱してきたような気がする。
例えば、国際コンペの募集要項には新競技場を建設する敷地、面積、区画について範囲指定があったはずだが、ザハ案はこの指定範囲をオーバーしたものになっているのではないかというこちらからの質問に対する答え。
「 『新国立競技場基本構想国際デザイン競技募集要項』では、デザイン提案条件の計画対象範囲において、『計画対象範囲は、スタジアムの施設建築敷地及び国立競技場の改築にあたってスタジアムと一体的な空間として、周辺駅からのバリアフリールートを確保する』こととしている。
また、『計画対象範囲北側の道路(都道414号)についても、位置及び幅員は変更できないが、道路上空に人口地盤、高架歩道等を設けることにより、スタジアム来場者等が円滑に往来できるよう提案して良い。』としていた。
ザハ氏からの提案は、対象範囲を超えたJRより北側からのバリアフリールート提案となっているが、設計段階で調整出来るものとして審査の対象とし、最終的にザハ氏に変更を許諾するとの確認を得た上で最優秀賞とした。」
ようするに、コンペの前提条件を超えていたが、良いことにしましたということらしい。
これでコンペになっていたのだろうか。