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新日米地位協定改定案(議員連盟・渉外知事会合同案)


 新日米地位協定改定案
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域
並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(案)
第一条 (用語の定義)
(a) 「合衆国軍隊の構成員」とは、日本国の領域にある間におけるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍に属する人員で現に服役中のものをいう。
(b) 「軍属」とは、合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に居住する者及び第十六条1に掲げる者を除く。)をいう。この協定のみの適用上、合衆国及び日本国の二重国籍者で合衆国が日本国に入れたものは、合衆国国民とみなす。
(c) 「家族」とは、次のものをいう。
(1) 配偶者及び二十一才未満の子
(2) 父、母及び二十一才以上の子で、その生計費の半額以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属に依存するもの
第二条 (現16条からの移動)(日本法令の尊重義務)
日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である。
第三条(現2条)(施設・区域の提供と返還)
1.  合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十八条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。
2. 日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。 また、合衆国政府(合衆国軍隊)は10年毎に使用目的・範囲・条件等を明示した使用計画書を提出し、日本政府はこの計画書を審査する。審査の際、日本政府は知事、関係地方自治体の長の意見を聴取し、その意向を尊重する。
3. 新しく施設・区域が提供される場合、両国政府の定める手続きを経なければ使用協定を合同委員会にかけることができない。合同委員会の合意内容は公表するものとする。使用協定締結協議の際には知事、関係自治体の長の意見を聴取する。
4. 合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。
5. (a) 合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとって有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。
(b) 合衆国軍隊が一定の期間を限って使用すべき施設及び区域に関しては、合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。
第四条(現3条)(施設・区域に関する合衆国の権利)
1. 合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があったときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。合衆国も、また、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。
2. 合衆国は、1に定める措置を、日本国の領域への、領域からの又は領域内の航海、航空、通信又は陸上交通を不必要に妨げるような方法によっては執らないことに同意する。合衆国が使用する電波放射の装置が用いる周波数、電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、両政府の当局間の取極により解決しなければならない。日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置を関係法令の範囲内で執るものとする。
3. 合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。
2. (a) 米軍の基地使用に対して基地内において日本国の利益を保護するために、日本当局が、環境法令をはじめとした日本国内の法令に基づいて、必要な措置を執ることができるように、米軍は保証する。必要な措置には、事前通知後の基地立ち入りも含まれる。ただし、その場合には軍事上の機密、とりわけ機密扱いの区域、設備及び文書の不可侵性を尊重しなければならない。
(b) 緊急の場合、および危険が長引いている場合、通報のみで立入ることができる。
(c) 日本当局には政府、県、市町村の統轄当局が含まれる。
第五条(現4条)(施設・区域の返還のさいの無補償)
1. (a) 合衆国は、この協定の終了の際又はその前に日本国に施設及び区域を返還するに当たって、当該施設及び区域をそれらが合衆国軍隊に提供された時の状態に回復し、又はその回復の代りに日本国に補償する義務を負わない。
(b) 日本政府は、提供された施設・区域の返還の際、原状回復義務を負う。
2. 日本国は、この協定の終了の際又はその前における施設及び区域の返還の際、当該施設及び区域に加えられている改良又はそこに残される建物若しくはその他の工作物について、合衆国にいかなる補償をする義務も負わない。
3. 前項の規定は、合衆国政府が日本国政府との特別取極に基づいて行なう建設には適用しない。
4. 米軍が使用している施設及び区域の返還にあたっては、事前に日米両政府共同調査を行わなければならない。調査の結果、環境汚染、環境破壊等が確認された場合、汚染除去・環境浄化作業計画の策定を行い、実施する。汚染除去・環境浄化作業計画に関し、米国政府は協力義務を負う。
第六条(現5条)(公の船舶・航空機の出入国、施設・区域への出入権)
1. 合衆国及び合衆国以外の国の船舶又は航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運行されているものは、日本国内の法令に従って日本国の港、又は飛行場に出入りすることができる。但しその際、入港料、着陸料を課されない。
2. 1.に掲げる船舶又は航空機、合衆国政府所有の車両並びに合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、日本国の法令に従って合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入りし、これらのものの間を移動し及びこれらのものと日本国の港又は飛行場との間を移動することができる。合衆国の軍用車両の施設及び区域への出入り並びにこれらのものの間の移動には、道路使用料その他の課徴金を課さない。
3. 1.に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。その船舶は、強制水先を免除される。もっとも、水先人を使用したときは、応当する料率で水先料を支払わなければならない。
第七条(訓練等に関する原則)
1. 合衆国軍隊による訓練、演習等の活動は、原則として提供施設又は区域内で行わなければならない。合衆国軍隊はその際、日本国の環境法等の法令を最大限に尊重し、その影響を提供施設又は区域外に及ぼさないように務める。
(a) 合衆国軍隊による訓練、演習等のもたらす環境への影響調査を日米両国政府及び当該地方自治体、日米合同で3年毎に行うこととする。
(b) 環境影響調査は日米両国の環境基準により、両者のうち、より厳しい方を採用するものとする。
(c) 上記の調査結果が出た場合は、日米両国政府は環境改善プログラムを策定し、それに基づいて改善を実行する。
(d) 基地内において米軍の新たな施設を建設する場合等には、合衆国政府(軍隊)は日本の法令を遵守し、環境アセスメントを実施する義務を負う。
2. 合衆国軍隊による訓練、演習等の活動の場所が例外的に提供施設又は区域外に及ぶ場合には、日本国当局との協定、ないし個別の同意を必要とし、日本国法令に従わなければならない。
第八条(現6条)(航空・通信体系の協調)
1. 航空管制業務に関して、米軍は提供された基地の飛行場管制のみを行うものとする。
第九条(現7条)(公共役務の利用優先権)
合衆国軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、日本国政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業及び公共の役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を享有するものとする。
第十条(現8条)(気象業務の提供)
日本国政府は、両政府の当局間の取極に従い、次の気象業務を合衆国軍隊に提供することを約束する。
(a) 地上及び海上からの気象観測(気象観測船からの観測を含む。)
(b) 気象資料(気象庁の定期的概報及び過去の資料を含む。)
(c) 航空機の安全かつ正確な運航のため必要な気象情報を報ずる電気通信業務
(d) 地震観測の資料(地震から生ずる津波の予想される程度及びその津波の影響を受ける区域の予報を含む。)
第十一条(現9条)(軍隊構成員等の出入国)
1. この条の規定に従うことを条件として、合衆国は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族である者を日本国に入れることができる。
2. 合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される。合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される。ただし、日本国の領域における永久的な居所又は住所を要求する権利を取得するものとみなされない。
3. 合衆国軍隊の構成員は、日本国への入国又は日本国からの出国に当たって、次の文書を携帯しなければならない。
(a) 氏名、生年月日、階級及び番号、軍の区分並びに写真を掲げる身分証明書
(b) その個人又は集団が合衆国軍隊の構成員として有する地位及び命令された旅行の証明となる個別的又は集団的旅行の命令書
合衆国軍隊の構成員は、日本国にある間の身分証明のため、前記の身分証明書を携帯していなければならない。身分証明書は、要請があるときは日本国の当局に提示しなければならない。
4. 軍属、その家族及び合衆国軍隊の構成員の家族は、合衆国の当局が発給した適当な文書を携帯し、日本国への入国若しくは日本国からの出国に当たって又は日本国にあるその間の身分を日本国の当局が確認することができるようにしなければならない。
5. 1.の規定に基づいて日本国に入国した者の身分に変更があってその者がそのような入国の資格を有しなくなった場合には、合衆国の当局は、日本国の当局にその旨を通告するものとし、また、その者が日本国から退去することを日本国の当局によって要求されたときは、日本国政府の負担によらないで相当の期間内に日本国から輸送することを確保しなければならない。
6. 日本国政府が合衆国軍隊の構成員若しくは軍属の日本国の領域からの送出を要請し、又は合衆国軍隊の旧構成員若しくは旧軍属に対し若しくは合衆国軍隊の構成員、軍属、旧構成員若しくは旧軍属の家族に対し退去命令を出したときは、合衆国の当局は、それらの者を自国の領域内に受け入れ、その他日本国外に送出することにつき責任を負う。この項の規定は、日本国民でない者で合衆国軍隊の構成員若しくは軍属として又は合衆国軍隊の構成員若しくは軍属となるために日本国に入国したもの及びそれらの者の家族に対してのみ適用する。
7. 人、及び動植物の検疫に関しては日本の国内法を適用する。
第十二条(現10条)(運転免許・車輌)
1. (a) 日本国は、合衆国が合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対して発給した運転許可証若しくは運転免許証又は軍の運転許可証を運転者試験又は手数料を課さないで、有効なものとして承認する。
(b) 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、日本の運転規則に関する講習を受けなければならない。受講済み証明書を付与され、携帯するものだけが、基地外での運転を認められる。
2. 合衆国軍隊及び軍属用の公用車両は、それを容易に識別させる明確な番号標又は個別の記号を付けていなければならない。
3. 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両は、日本国民に適用される条件と同一の条件で取得する日本国の登録番号標を付けていなければならない。
第十三条(現11条)(関税)
1. 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、この協定中に規定がある場合を除くほか、日本国の税関当局が執行する法令に服さなければならない。
2. 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関又は第十七条に定める諸機関が合衆国軍隊の公用のため又は合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の使用のため輸入するすべての資材、需品及び備品並びに合衆国軍隊が専用すべき資材、需品及び備品又は合衆国軍隊が使用する物品若しくは施設に最終的には合体されるべき資材、需品及び備品は、日本国に入れることを許される。この輸入には、関税その他の課徴金を課さない。前記の資材、需品及び備品は、合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関又は第十七条に定める諸機関が輸入するものである旨の適当な証明書(合衆国軍隊が専用すべき資材、需品及び備品又は合衆国軍隊が使用する物品若しくは施設に最終的には合体されるべき資材、需品及び備品にあっては、合衆国軍隊が前記の目的のために受領すべき旨の適当な証明書)を必要とする。
3. 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に仕向けられ、かつ、これらの者の私用に供される財産には、関税その他の課徴金を課する。ただし、次のものについては、関税その他の課徴金を課さない。
(a) 合衆国軍隊の構成員若しくは軍属が日本国で勤務するため最初に到着した時に輸入し、又はそれらの家族が当該合衆国軍隊の構成員若しくは軍属と同居するため最初に到着した時に輸入するこれらの者の私用のための家具及び家庭用品並びにこれらの者が入国の際持ち込む私用のための身回品
(b) 合衆国軍隊の構成員又は軍属が自己又はその家族の私用のため輸入する車両及び部品
(c) 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私用のため合衆国において通常日常用として購入される種類の合理的な数量の衣類及び家庭用品で、合衆国軍事郵便局を通じて日本国に郵送されるもの
4. 2.及び3.で与える免除は、物の輸入の場合のみに適用するものとし、関税及び内国消費税がすでに徴収された物を購入する場合に、当該物の輸入の際税関当局が徴収したその関税及び内国消費税を払いもどすものと解してはならない。
5. 税関検査は、次のものの場合には行なわないものとする。
(a) 命令により日本国に入国し、又は日本国から出国する合衆国軍隊の部隊
(b) 公用の封印がある公文書及び合衆国軍事郵便路線上にある公用郵便物
(c) 合衆国政府の船荷証券により船積みされる軍事貨物
6. 関税の免除を受けて日本国に輸入された物は、日本国及び合衆国の当局が相互間で合意する条件に従って処分を認める場合を除くほか、関税の免除を受けて当該物を輸入する権利を有しない者に対して日本国内で処分してはならない。
7. 2.及び3.の規定に基づき関税その他の課徴金の免除を受けて日本国に輸入された物は、関税その他の課徴金の免除を受けて再輸出することができる。
8. 合衆国軍隊は、日本国の当局と協力して、この条の規定に従って合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に与えられる特権の濫用を防止するため必要な措置を執らなければならない。
9. (a) 日本国の当局及び合衆国軍隊は、日本国政府の税関当局が執行する法令に違反する行為を防止するため、調査の実施及び証拠の収集について相互に援助しなければならない。
(b) 合衆国軍隊は、日本国政府の税関当局によって又はこれに代わって行なわれる差押えを受けるべき物件がその税関当局に引き渡されることを確保するため、可能なすべての援助を与えなければならない。
(c) 合衆国軍隊は、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族が納付すべき関税、租税及び罰金の納付を確保するため、可能なすべての援助を与えなけばならない。
(d) 合衆国軍隊に属する車両及び物件で、日本国政府の関税又は財務に関する法令に違反する行為に関連して日本国政府の税関当局が差し押えたものは、関係部隊の当局に引き渡さなければならない。
第十四条(現12条)(調達)
1. 合衆国は、この協定の目的のため又はこの協定で認められるところにより日本国で供給されるべき需品又は行なわれるべき工事のため、供給者又は工事を行なう者の選択に関して制限を受けないで契約することができる。そのような需品又は工事は、また、両政府の当局間で合意されるときは、日本国政府を通じて調達することができる。
2. 現地で供給される合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て、調達しなければならない。
3. 合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が適当な証明書を附して日本国で公用のため調達する資材、需品、備品及び役務は、日本の次の租税を免除される。
(a) 物品税
(b) 通行税
(c) 揮発油税
(d) 電気ガス税
最終的には、合衆国軍隊が使用するため調達される資材、需品、備品及び役務は、合衆国軍隊の適当な証明書があれば、物品税及び揮発油税を免除される。両政府は、この条に明示していない日本の現在の又は将来の租税で、合衆国軍隊によって調達され、又は最終的には合衆国軍隊が使用するため調達される資材、需品、備品及び役務の購入価格の重要なかつ容易に判別することができる部分をなすと認められるものに関しては、この条の目的に合致する免税又は税の軽減を認めるための手続について合意するものとする。
4. 現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十七条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。
5. 所得税、地方住民税及び社会保障のための納付金を源泉徴収して納付するための義務並びに、相互間で別段の合意をする場合を除くほか、賃金及び諸手当に関する条件その他の雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。
6. 合衆国軍隊又は、適当な場合には、第十七条に定める機関により労働者が解職され、かつ、雇用契約が終了していない旨の日本国の裁判所又は労働委員会の決定が最終的のものとなった場合には、次の手続が適用される。
(a) 日本国政府は、合衆国軍隊又は前記の機関に対し、裁判所又は労働委員会の決定を通報する。
(b) 合衆国軍隊又は前記の機関が当該労働者を就労させることを希望しないときは、合衆国軍隊又は前記の機関は、日本国政府から裁判所又は労働委員会の決定について通報を受けた後七日以内に、その旨を日本国政府に通告しなければならず、暫定的にその労働者を就労させないことができる。
(c) 前記の通告が行なわれたときは、日本国政府及び合衆国軍隊又は前記の機関は、事件の実際的な解決方法を見出すため遅滞なく協議しなければならない。
(d) (c)の規定に基づく協議の開始の日から三十日の期間内にそのような解決に到達しなかったときは、当該労働者は、就労することができない。このような場合には、合衆国政府は、日本国政府に対し、両政府間で合意される期間の当該労働者の雇用の費用に等しい額を支払わなければならない。
7. 軍属は、雇用の条件に関して日本国の法令に服さない。
8. 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、日本国における物品及び役務の個人的購入について日本国の法令に基づいて課される租税又は類似の公課の免除をこの条の規定を理由として享有することはない。
9. 3.に掲げる租税の免除を受けて日本国で購入した物は、日本国及び合衆国の当局が相互間で合意する条件に従って処分を認める場合を除くほか、当該租税の免除を受けて当該物を購入する権利を有しない者に対して日本国内で処分してはならない。
第十五条(現13条)(租税)
1. 合衆国軍隊は、合衆国軍隊が日本国において保有し、使用し、又は移転する財産について租税又は類似の公課を課されない。
2. 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、これらの者が合衆国軍隊に勤務し、又は合衆国軍隊若しくは第十五条に定める諸機関に雇用された結果受ける所得について、日本国政府又は日本国にあるその他の課税権者に日本の租税を納付する義務を負わない。この条の規定は、これらの者に対し、日本国の源泉から生ずる所得についての日本の租税の納付を免除するものではなく、また、合衆国の所得税のために日本国に居所を有することを申し立てる合衆国市民に対し、所得についての日本の租税の納付を免除するものではない。これらの者が合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族であるという理由のみによって日本国にある期間は、日本の租税の賦課上、日本国に居所又は住所を有する期間とは認めない。
3. 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、これらの者が一時的に日本国にあることのみに基づいて日本国に所在する有体又は無体の動産の保有、使用、これらの者相互間の移転又は死亡による移転についての日本国における租税を免除される。ただし、この免除は、投資若しくは事業を行なうため日本国において保有される財産又は日本国において登録された無体財産権には適用しない。この条の規定は、私有車両の保有及び道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではない。
第十六条(現14条)(指定契約者の地位)
1. 通常合衆国に居住する人(合衆国の法律に基づいて組織された法人を含む。)及びその被用者で、合衆国軍隊のための合衆国との契約の履行のみを目的として日本国にあり、かつ、合衆国政府が2の規定に従い指定するものは、この条に規定がある場合を除くほか、日本国の法令に服さなければならない。
2. 1.にいう指定は、日本国政府との協議の上で行なわれるものとし、かつ、安全上の考慮、関係業者の技術上の適格要件、合衆国の標準に合致する資材若しくは役務の欠如又は合衆国の法令上の制限のため競争入札を実施することができない場合に限り行なわれるものとする。

前記の指定は、次のいずれかの場合には、合衆国政府が取り消すものとする。
(a) 合衆国軍隊のための合衆国との契約の履行が終わったとき。
(b) それらの者が日本国において合衆国軍隊関係の事業活動以外の事業活動に従事していることが立証されたとき。
(c) それらの者が日本国で違法とされる活動を行なっているとき。
3. 前記の人及びその被用者は、その身分に関する合衆国の当局の証明があるときは、この協定による次の利益を与えられる。
(a) 第六条 2.に定める出入及び移動の権利
(b) 第十一条の規定による日本国への入国
(c) 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族について第十三条3に定める関税その他の課徴金の免除
(d) 合衆国政府により認められたときは、第十七条に定める諸機関の役務を利用する権利
(e) 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族について第二十条2に定めるもの
(f) 合衆国政府により認められたときは、第二十一条に定めるところにより軍票を使用する権利
(g) 第二十二条に定める郵便施設の利用
(h) 雇用の条件に関する日本国の法令の適用からの除外
4. 前記の人及びその被用者は、その身分の者であることが旅券に記載されていなければならず、その到着、出発及び日本国にある間の居所は、合衆国軍隊が日本国の当局に随時に通告しなければならない。
5. 前記の人及びその被用者が1に掲げる契約の履行のためにのみ保有し、使用し、又は移転する減価償却資産(家屋を除く。)については、合衆国軍隊の権限のある官憲の証明があるときは、日本の租税又は類似の公課を課されない。
6. 前記の人及びその被用者は、合衆国軍隊の権限のある官憲の証明があるときは、これらの者が一時的に日本国にあることのみに基づいて日本国に所在する有体又は無体の動産の保有、使用、死亡による移転又はこの協定に基づいて租税の免除を受ける権利を有する人若しくは機関への移転について日本国における租税を免除される。ただし、この免除は、投資のため若しくは他の事業を行うため日本国において保有される財産又は日本国において登録された無体財産権には適用しない。この条の規定は、私有車両のの保有及び道路の使用について納付すべき租税の免除を定めるものではない。
7. 1.に掲げる人及びその被用者は、この協定に定めるいずれかの施設又は区域の建設、維持又は運営に関して合衆国政府と合衆国において結んだ契約に基づいて発生する所得について、日本国政府又は日本国にあるその他の課税権者に所得税又は法人税を納付する義務を負わない。この項の規定は、これらの者に対し、日本国の源泉から生ずる所得についての所得税又は法人税の納付を免除するものではなく、また、合衆国の所得税のために日本国に居所を有することを申し立てる前記の人及びその被用者に対し、所得についての日本の租税の納付を免除するものではない。これらの者が合衆国政府との契約の履行に関してのみ日本国にある期間は、前記の租税の賦課上、日本国に居所又は住所を有する期間とは認めない。
8. 日本国の当局は、1.に掲げる人及びその被用者に対し、日本国において犯す罪で日本国の法令によって罰することができるものについて裁判権を行使する第一次の権利を有する。日本国の当局が前記の裁判権を行使しないことに決定した場合には、日本国の当局は、できる限りすみやかに合衆国の軍当局にその旨を通告しなければならない。この通告があったときは、合衆国の軍当局は、これらの者に対し、合衆国の法令により与えられた裁判権を行使する権利を有する。
第十七条(現15条)(販売所等の諸機関)
1. (a) 合衆国の軍当局が公認し、かつ、規制する海軍販売所、ピー・エックス、食堂、社交クラブ、劇場、新聞その他の歳出外資金による諸機関は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の利用に供するため、合衆国軍隊が使用している施設及び区域内に設置することができる。これらの諸機関は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、日本の規制、免許、手数料、租税又は類似の管理に服さない。
(a) 合衆国の軍当局が公認し、かつ、規制する新聞が一般の公衆に販売されるときは、当該新聞は、その頒布に関する限り、日本の規制、免許、手数料、租税又は類似の管理に服する。
2. これらの諸機関による商品及び役務の販売には、1.(b)に定める場合を除くほか、日本の租税を課さず、これらの諸機関による商品及び需品の日本国内における購入には、日本の租税を課する。
3. これらの諸機関が販売する物品ないし提供する役務は、これらの諸機関から購入又は提供を受けることの許されない者に対して、日本国内において処分又は提供してはならない。

ただし、日本国及び合衆国当局が、相互間で合意する条件に従って処分又は提供を認める場合は、この限りでない。
4. この条に掲げる諸機関は、日本国の当局に対し、日本国の税法が要求するところにより資料を提供するものとする。
第十八条(現17条)(刑事裁判権)
1. この条の規定に従うことを条件として、
(a) 合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服するすべての者に対し、合衆国の法令により与えられたすべての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有する。
(b) 日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対し、日本国の領域内で犯す罪で日本国の法令によって罰することができるものについて、裁判権を有する。
2. (a) 合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服する者に対し、合衆国の法令によって罰することができる罪で日本国の法令によっては罰することができないもの(合衆国の安全に関する罪を含む。)について、専属的裁判権を行使する権利を有する。
(b) 日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対し、日本国の法令によって罰することができる罪で合衆国の法令によっては罰することができないもの(日本国の安全に関する罪を含む。)について、専属的裁判権を行使する権利を有する。
(c) 2.及び3.の規定の適用上、国の安全に関する罪は、次のものを含む。
 当該国に対する反逆
 (ii) 妨害行為(サボタージュ)、謀報行為又は当該国の公務上若しくは国防上の秘密に関する法令の違反
3. 裁判権を行使する権利が競合する場合には、次の規定が適用される。
(a) 合衆国の軍当局は、次の罪については、合衆国軍隊の構成員又は軍属に対して裁判権を行使する第一次の権利を有する。
 もっばら合衆国の財産若しくは安全のみに対する罪又はもっばら合衆国軍隊の他の構成員若しくは軍属若しくは合衆国軍隊の構成員若しくは軍属の家族の身体若しくは財産のみに対する罪
 (ii) 公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪
(b) その他の罪については、日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。
(c) 第一次の権利を有する国は、裁判権を行使しないことに決定したときは、できる限りすみやかに他方の国の当局にその旨を通告しなければならない。第一次の権利を有する国の当局は、他方の国がその権利の放棄を特に重要であると認めた場合において、その他方の国の当局から要請があったときは、その要請に好意的考慮を払わなければならない。
4. 前諸項の規定は、合衆国の軍当局が日本国民又は日本国に通常居住する者に対し裁判権を行使する権利を有することを意味するものではない。ただし、それらの者が合衆国軍隊の構成員であるときは、この限りでない。
5. (a) 日本国の当局及び合衆国の軍当局は、日本国の領域内における合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の逮捕及び前諸項の規定に従って裁判権を行使すべき当局へのそれらの者の引渡しについて、相互に援助しなければならない。
(b) 日本国の当局は、合衆国の軍当局に対し、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の逮捕についてすみやかに通告しなければならない。
(c) 日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、日本国により公訴が提起されるまでの間、日本国の当局が設置した日本国及び合衆国が共同して管理する拘禁施設において行う。
(d) 日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被告人の拘禁は、日本国により公訴が提起された後は、日本国が行なう。ただし、合衆国が日本国及び合衆国が共同して管理する拘禁施設における拘禁を要請した場合には、日本国はその要請に好意的考慮を払う。
6. (a) 日本国の当局及び合衆国の軍当局は、犯罪についてのすべての必要な捜査の実施並びに証拠の収集及び提出(犯罪に関連する物件の押収及び相当な場合にはその引渡しを含む。)について、相互に援助しなければならない。ただし、それらの物件の引渡しは、引渡しを行なう当局が定める期間内に還付されることを条件として行なうことができる。
(b) 日本国の当局及び合衆国の軍当局は、裁判権を行使する権利が競合するすべての事件の処理について、相互に通告しなければならない。
7. (a) 死刑の判決は、日本国の法制が同様の場合に死刑を規定していない場合には、合衆国の軍当局が日本国内で執行してはならない。
(b) 日本国の当局は、合衆国の軍当局がこの条の規定に基づいて日本国の領域内で言い渡した自由刑の執行について合衆国の軍当局から援助の要請があっときは、その要請に好意的考慮を払わなければならない。
8. 被告人がこの条の規定に従って日本国の当局又は合衆国の軍当局のいずれかにより裁判を受けた場合において、無罪の判決を受けたとき、又は有罪の判決を受けて服役しているとき、服役したとき、若しくは赦免されたときは、他方の国の当局は、日本国の領域内において同一の犯罪について重ねてその者を裁判してはならない。ただし、この項の規定は、合衆国の軍当局が合衆国軍隊の構成員を、その者が日本国の当局により裁判を受けた犯罪を構成した作為又は不作為から生ずる軍紀違反について、裁判することを妨げるものではない。
9. 合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族は、日本国の裁判権に基づいて公訴を提起された場合には、いつでも、次の権利を有する。
(a) 遅滞なく迅速な裁判を受ける権利
(b) 公判前に自己に対する具体的な訴因の通知を受ける権利
(c) 自己に不利な証人と対決する権利
(d) 証人が日本国の管轄内にあるときは、自己のために強制的手続により証人を求める権利
(e) 自己の弁護のため自己の選択する弁護人をもつ権利又は日本国でその当時通常行なわれている条件に基づき費用を要しないで若しくは費用の補助を受けて弁護人をもつ権利
(f) 必要と認めたときは、有能な通訳を用いる権利
(g) 合衆国の政府の代表者と連絡する権利及び自己の裁判にその代表者を立ち会わせる権利
10. (a) 合衆国軍隊の正規に編成された部隊又は編成隊は、第三条の規定に基づき使用する施設及び区域において警察権を行なう権利を有する。合衆国軍隊の軍事警察は、それらの施設及び区域において、秩序及び安全の維持を確保するためすべての適当な措置を執ることができる。
(b) 前記の施設及び区域の外部においては、前記の軍事警察は、必ず日本国の当局との取極に従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。
11. 相互協力及び安全保障条約第五条の規定が適用される敵対行為が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府のいずれの一方も、他方の政府に対し六十日前に予告を与えることによって、この条のいずれの規定の適用も停止させる権利を有する。この権利が行使されたときは、日本国政府及び合衆国政府は、適用を停止される規定に代わるべき適当な規定を合意する目的をもって直ちに協議しなければならない。
12. この条の規定は、この協定の効力発生前に犯したいかなる罪にも適用しない。それらの事件に対しては、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定第十七条の当該時に存在した規定を適用する。
第十九条(現18条)(請求権・民事裁判権)
1. 各当事国は、自国が所有し、かつ、自国の陸上、海上又は航空の防衛隊が使用する財産に対する損害については、次の場合には、他方の当事国に対するすべての請求権を放棄する。
(a) 損害が他方の当事国の防衛隊の構成員又は被用者によりその者の公務の執行中に生じた場合
(b) 損害が他方の当事国が所有する車両、船舶又は航空機でその防衛隊が使用するものの使用から生じた場合。ただし、損害を与えた車両、船舶若しくは航空機が公用のため使用されていたとき、又は損害が公用のため使用されている財産に生じたときに限る。
2. (a) いずれか一方の当事国が所有するその他の財産で日本国内にあるものに対して1に掲げるようにして損害が生じた場合には、両政府が別段の合意をしない限り、(b)の規定に従って選定される一人の仲裁人が、他方の当事国の責任の問題を決定し、及び損害の額を査定する。仲裁人は、また、同一の事件から生ずる反対の請求を裁定する。
(b) (a)に掲げる仲裁人は、両政府間の合意によって、司法関係の上級の地位を現に有し、又は有したことがある日本国民の中から選定する。
(c) 仲裁人が行なった裁定は、両当事国に対して拘束力を有する最終的のものとする。
(d) 仲裁人が裁定した賠償の額は、5(e)(i)、(ii)及び(iii)の規定に従って分担される。
(e) 仲裁人の報酬は、両政府間の合意によって定め、両政府が、仲裁人の任務の逐行に伴う必要な費用とともに、均等の割合で支払う。
(f) もっとも、各当事国は、いかなる場合においても千四百合衆国ドル又は五十万四千円までの額については、その請求権を放棄する。これらの通貨の間の為替相場に著しい変動があった場合には、両政府は、前記の額の適当な調整について合意するものとする。
3. 1.及び2.の規定の適用上、船舶について「当事国が所有する」というときは、その当事国が裸用船した船舶、裸の条件で徴発した船舶又は拿捕した船舶を含む。ただし、損失の危険又は責任が当該当事国以外の者によって負担される範囲については、この限りでない。
4. 各当事国は、自国の防衛隊の構成員がその公務の執行に従事している間に被った負傷又は死亡については、他方の当事国に対するすべての請求権を放棄する。
5. 公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、日本国において日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権(契約による請求権及び6.又は7.の規定の適用を受ける請求権を除く。)は、日本国が次の規定に従って処理する。
(a) 請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。
(b) 日本国は、前記のいかなる請求をも解決することができるものとし、合意され、又は裁判により決定された額の支払を日本円で行なう。
(c) 前記の支払(合意による解決に従ってされたものであると日本国の権限のある裁判所による栽判に従ってされたものであるとを問わない。)又は支払を認めない旨の日本国の権限のある裁判所による確定した裁判は、両当事国に対し拘束力を有する最終的のものとする。
(d) 日本国が支払をした各請求は、その明細並びに(e)(i)及び(ii)の規定による分担案とともに、合衆国の当局に通知しなければならない。二箇月以内に回答がなかったときは、その分担案は、受諾されたものとみなす。
(e) (a)から(d)まで及び2の規定に従い請求を満たすため要した費用は、両当事国が次のとおり分担する。
 合衆国のみが責任を有する場合には、裁定され、合意され、又は裁判により決定された額は、その二十五パーセントを日本国が、その七十五パーセントを合衆国が分担する。
 (ii) 日本国及び合衆国が損害について責任を有する場合には、裁定され、合意され、又は裁判により決定された額は、両当事国が均等に分担する。損害が日本国又は合衆国の防衛隊によって生じ、かつ、その損害をこれらの防衛隊のいずれか一方又は双方の責任として特定することができない場合には、裁定され、合意され、又は裁判により決定された額は、日本国及び合衆国が均等に分担する。
 (iii) 比率に基づく分担案が受諾された各事件について日本国が六箇月の期間内に支払った額の明細書は、支払要請書とともに、六箇月ごとに合衆国の当局に送付する。その支払は、できる限りすみやかに日本円で行なわなければならない。
(f) 合衆国軍隊の構成員又は被用者(日本の国籍のみを有する被用者を除く。)は、その公務の執行から生ずる事項については、日本国においてその者に対して与えられた判決の執行手続に服さない。
(g) この項の規定は、(e)の規定が2に定める請求権に適用される範囲を除くほか、船舶の航行若しくは運用又は貨物の船積み、運送若しくは陸揚げから生じ、又はそれらに関連して生ずる請求権には適用しない。ただし、4の規定の適用を受けない死亡又は負傷に対する請求権については、この限りでない。
6. 日本国内における不法の作為又は不作為で公務執行中に行われたものでないものから生ずる合衆国軍隊の構成員若しくは被用者(日本国民である被用者を除く。以下、この項において同じ。)又はそれらの家族に対する請求権は、日本国が5の(a)(b)(c)の規定に従って処理する。
(a) 日本国が支払いをした各請求は、その明細並びに(b)(i)及び(ii)の規定による分担案とともに、合衆国の当局に通知しなければならない。2箇月以内に回答がなかったときは、その分担案は、受諾されたものとみなす。
(b) 前記の請求を満たすために要した費用は、両当事国が次のとおり分担する。
 合衆国軍隊の構成員若しくは被用者又はそれらの家族のみが損害について責任を有する場合には、裁定され、合意され、又は裁判により決定され、又は裁判により決定された額の25パーセントを日本国が、その75パーセントを合衆国が分担する。
 (ii) 合衆国軍隊の構成員若しくは被用者又はそれらの家族及びそれ以外の者が損害について責任を有する場合には、裁定され、合意され、又は裁判により、決定された額は、両当事国が均等に分担する。
 (iii) 5(e)(iii)の規定は、この項の分担の支払いについて準用する。
(c) この項の規定は、日本国のした支払いがその請求を完全に満たすものとして行われたものでない限り、前記の作為又は不作為により損害を受けたものが合衆国軍隊の構成員もしくは被用者又はそれらの家族に対する民事の訴えその他の請求権の行使をすることを妨げるものではない。
7. 合衆国軍隊の車両の許容されていない使用から生ずる請求権は、合衆国軍隊が法律上責任を有する場合を除くほか、6の規定に従って処理する。
8. 合衆国軍隊の構成員又は被用者の不法の作為又は不作為が公務執行中にされたものであるかどうか、また、合衆国軍隊の車両の使用が許容されていたものであるかどうかについて紛争が生じたときは、その問題は、2.(b)の規定に従って選任された仲裁人に付託するものとし、この点に関する仲裁人の裁定は、最終的のものとする。
9. (a) 合衆国は、日本国の裁判所の民事裁判権に関しては、5.(f)に定める範囲を除くほか、合衆国軍隊の構成員又は被用者に対する日本国の裁判所の裁判権からの免除を請求してはならない。
(b) 合衆国軍隊が使用している施設及び区域内に日本国の法律に基づき強制執行を行なうべき私有の動産(合衆国軍隊が使用している動産を除く。)があるときは、合衆国の当局は、日本国の裁判所の要請に基づき、その財産を差し押えて日本国の当局に引き渡さなければならない。
(c) 日本国及び合衆国の当局は、この条の規定に基づく請求の公平な審理及び処理のための証拠の入手について協力するものとする。
10. 合衆国軍隊による又は合衆国軍隊のための資材、需品、備品、役務及び労務の調達に関する契約から生ずる紛争でその契約の当事者によって解決されないものは、調停のため合同委員会に付託することができる。ただし、この項の規定は、契約の当事者が有することのある民事の訴えを提起する権利を害するものではない。
11. この条にいう「防衛隊」とは、日本国についてはその自衛隊をいい、合衆国についてはその軍隊をいうものと了解される。
12. 2.及び5.の規定は、非戦闘行為に伴って生じた請求権についてのみ適用する。
13. この条の規定は、この協定の効力発生前に生じた請求権には適用しない。それらの請求権は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定第十八条の規定によって処理する。
第二十条(現19条)(外国為替管理)
1. 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、日本国政府の外国為替管理に服さなければならない。
2. 1.の規定は、合衆国ドル若しくはドル証券で、合衆国の公金であるもの、合衆国軍隊の構成員及び軍属がこの協定に関連して勤務し、若しくは雇用された結果取得したもの又はこれらの者及びそれらの家族が日本国外の源泉から取得したものの日本国内又は日本国外への移転を妨げるものと解してはならない。
3. 合衆国の当局は、2.に定める特権の濫用又は日本国の外国為替管理の回避を防止するため適当な措置を執らなければならない。
第二十一条(現20条)(軍票)
1. (a) ドルをもって表示される合衆国軍票は、合衆国によって認可された者が、合衆国軍隊の使用している施設及び区域内における相互間の取引のため使用することができる。合衆国政府は、合衆国の規則が許す場合を除くほか、認可された者が軍票を用いる取引に従事することを禁止するよう適当な措置を執るものとする。日本国政府は、認可されない者が軍票を用いる取引に従事することを禁止するため必要な措置を執るものとし、また、合衆国の当局の援助を得て、軍票の偽造又は偽造軍票の使用に関与する者で日本国の当局の裁判権に服すべきものを逮捕し、及び処罰するものとする。
(b) 合衆国の当局が、認可されない者に対し軍票を行使する合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族を逮捕し、及び処罰すること並びに、日本国における軍票の許されない使用の結果として、合衆国又はその機関が、その認可されない者又は日本国政府若しくはその機関に対していかなる義務をも負うことはないことが合意される。
2. 軍票の管理を行なうため、合衆国は、その監督の下に、合衆国が軍票の使用を認可した者の用に供する施設を維持し、及び運営する一定のアメリカの金融機関を指定することができる。軍用銀行施設を維持することを認められた金融機関は、その施設を当該機関の日本国における商業金融業務から場所的に分離して設置し、及び維持するものとし、これに、この施設を維持し、かつ、運営することを唯一の任務とする職員を置く。この施設は、合衆国通貨による銀行勘定を維持し、かつ、この勘定に関するすべての金融取引(第二十条2に定める範囲内における資金の受領及び送付を含む。)を行なうことを許される。
第二十二条(現21条)(軍事郵便局)
合衆国は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族が利用する合衆国軍事郵便局を、日本国にある合衆国軍事郵便局間及びこれらの軍事郵便局と他の合衆国郵便局との間における郵便物の送達のため、合衆国軍隊が使用している施設及び区域内に設置し、及び運営することができる。
第二十三条(現22条)(予備役編入と訓練)
合衆国は、日本国に在留する適格の合衆国市民で合衆国軍隊の予備役団体への編入の申請を行なうものを同団体に編入し、及び訓練することができる。
第二十四条(現23条)(安全確保のための措置)
日本国及び合衆国は、合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族並びにこれらのものの財産の安全を確保するため随時に必要となるべき措置を執ることについて協力するものとする。日本国政府は、その領域において合衆国の設備、備品、財産、記録及び公務上の情報の十分な安全及び保護を確保するため、並びに適用されるべき日本国の法令に基づいて犯人を罰するため、必要な立法を求め、及び必要なその他の措置を執ることに同意する。
第二十五条(現24条)(経費の負担)
1. 日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。
2. 日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権(飛行場及び港における施設及び区域のように共同に使用される施設及び区域を含む。)をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが合意される。
3. この協定に基づいて生ずる資金上の取引に適用すべき経理のため、日本国政府と合衆国政府との間に取極を行なうことが合意される。
第二十六条(事故合同調査委員会)
1. (a) 米軍の航空機、船舶の事故に関しては合同調査委員会を設置し、調査を行なう。
(b) 爆発等の基地内の事故で周辺住民に影響を及ぼしかねない事故に関しては合同調査委員会を設置し、調査報告を公表する。
第二十七条(災害時の相互応援)
 合衆国及び日本国は、各提供施設及びそれらの周辺地域において発生する可能性のある災害に対処し、相互に援助協力するため、日米両政府において包括的取り決めを行なう。また、日本国の地方自治体の長と米側に提供された施設の責任者は、その取り決めに基づき災害発生時や消防等の相互応援、広域避難場所としての提供施設の一部使用等について緊密な協議を行なうものとする。
第二十八条(現25条)(合同委員会)
1. (a) この協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関として、合同委員会を設置する。合同委員会は、特に、合衆国が相互協力及び安全保障条約の目的の遂行に当たって使用するため必要とされる日本国内の施設及び区域を決定する協議機関として、任務を行なう。
(b) 日米合同委員会の合意事項は速やかに公開する。
2. (a) 合同委員会は、日本国政府の代表者一人及び合衆国政府の代表者一人で組織し、各代表者は、一人又は二人以上の代理及び職員団を有するものとする。合同委員会は、その手続規則を定め、並びに必要な補助機関及び事務機関を設ける。合同委員会は、日本国政府又は合衆国政府のいずれか一方の代表者の要請があるときはいつでも直ちに会合することができるように組織する。
(b) 施設の返還または提供方法の変更等に、当該地方自治体に重大な影響を与える案件に関し、日米合同委員会の協議の際には当該地方自治体の意見を聴取するものとする。
(c) 日米両国は合同委員会の中に基地を有する地方自治体の代表者の参加する地域特別委員会を設ける。
3. 合同委員会は、問題を解決することができないときは、適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府にさらに考慮されるように移すものとする。
第二十九条(現26条)(国内法上の措置・効力発生)
1. この協定は、日本国及び合衆国によりそれぞれの国内法上の手続に従って承認されなければならず、その承認を通知する公文が交換されるものとする。
2. この協定は1に定める手続きが完了した後、相互協力及び安全保障条約の効力発生の日に効力を生じ、1960年1月19日に米国ワシントンDCにおいて署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定は、その時に終了する。
3. この協定の各当事国の政府は、この協定の規定中その実施のため予算上及び立法上の措置を必要とするものについて、必要なその措置を立法機関に求めることを約束する。
第三十条(現27条)(改正)
 いずれの政府も、この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる。その場合には、両政府は、適当な経路を通じて交渉するものとする。
第三十一条(現28条)(有効期間)
 この協定及びその合意された改正は、相互協力及び安全保障条約が有効である間、有効とする。ただし、それ以前に両政府間の合意によって終了させたときは、この限りでない。
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