ウイーン・ミュンヘン出張

2018.02.21

ダボス会議と並びヨーロッパの要人、特に安全保障の関係者が集まることで有名なミュンヘン安保会議に参加しました。

また、その前日にはウイーンで安全保障に関連する国際機関に立ち寄りました。

2月14日
23:25 宿舎発

2月15日
00:55 羽田発

05:20 フランクフルト着

06:50 フランクフルト発

08:10 ウイーン着

11:30 グレミンガーOSCE事務総長との会談@OSCE事務局本部

OSCEは、冷戦時に発足し、東西間の信頼醸成を担ってきました。冷戦が終結した後、欧州だけでなく中央アジアやコーカサスなどでも信頼醸成を通じた平和構築のための機関として活躍しています。

日本は1992年にアジアで初めてのパートナー国となり、2000年にアジアで初めての共催会議を河野洋平外相の下、東京で開きました。

2019年に再び、この会議を東京で開催する予定です。

日本は、ウクライナにおけるOSCE特別監視団や様々な選挙監視ミッションに人的、財政的に貢献しています。

12:30 昼食会@ウイーン代表部大使公邸

ウイーンには、日本の駐オーストリア大使(コソボを兼轄しOSCEも担当します)とウイーンにある数多くの国際機関(おそらく15以上あるでしょう)を管轄する日本代表部があり、それぞれに大使がいます。

国によっては、OSCEに専任の大使を置いているところもあり、そういう国はウイーンに大使が3人いることになります。

14:00 日IAEA五輪協力覚書署名式@IAEA

2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおける核テロ対策のためにIAEAと核セキュリティに関する覚書を結び、様々な支援を受けられるようにしました。

14:05 天野IAEA事務局長との会談

IAEA事務局長として3期目の天野事務局長と会談で、IAEAが用意している北朝鮮担当部局の準備状況とイランの核合意(JCPOA)に関する意見交換をしました。

北朝鮮が核を放棄し、査察を受け入れるという決断をした場合は、IAEAが中心となって、査察が行われることを確認しました

北朝鮮の受け入れ表明後、直ちに査察チームが入れるように、人材や機材の準備が進められています。私からは、IAEAが北朝鮮での活動を再開する場合の人員や機材等にかかる初期コストを支援する用意がある旨お伝えしました。

天野事務局長との意見交換の一環として、北朝鮮担当部局からブリーフィングを受けました。

かつて北朝鮮の核施設に査察に入っていた専門家からは、北朝鮮国内での宿舎では暖房が切られていて、冬はセーターを何枚も着ないと寝られなかったなど、生々しい話もありました。

15:20 ぶら下がり取材

日本での締め切りの関係もあり、メディアの要請でCTBTO訪問の前に記者会見を行いました。

15:40 CTBTO担当部局から説明@CTBTOオペレーションルーム

核実験禁止条約(CTBT)は、まだ発効していませんが、発効までに検証体制の準備を担当するCTBTO(CTBT機関準備委員会)の暫定技術事務局内に設けられた核実験を検知する検証センターはすでに活動をしています。

世界中に張り巡らされた地震計、核実験によって起こる微気圧の波から発生する人間には聞こえない音を拾うシステムや海中の重低音を探知するシステム、放射性希ガスを検知するシステムなどを駆使して、隠れて行われる世界中の核実験を検知します。

また、このシステムを利用した津波情報などを出すこともできます。

これまでの北朝鮮での6回の核実験の検知についてのブリーフィングを受けました。

16:20 原爆展視察@国連広報サービス展示スペース

ウイーンの国際機関が集まっているウイーン国際センター内に、広島や長崎で実際に原爆に被災した物を展示してあります。

ウイーンを中心に、多くの子供たちが見学に訪れています。

18:30 国際機関邦人職員との意見交換@ホテルザッハー

IAEA、UNODC、UNIDO、CTBTOといった在ウイーンの国際機関で働く日本人幹部職員にお集りをいただき、どうやったら日本人職員を増やすことができるか、また国際機関における日本人の幹部職員を増やすためにはどのような情報発信が必要か、政府として何をやるべきか、忌憚ないご意見をいただきました。

市内を移動中に「第三の男」にも出てくる観覧車も見えたので、ペンギンブックスの”The Third Man”を入手して、夜、雰囲気に浸りながら、久しぶりに読みふけりました。

2月16日
09:25 ウイーン発

10:25 ミュンヘン着

11:50 打ち合わせ@宿舎

12:40 日EU外相電話会談

モゲリーニEU外相と会談の予定でしたが、先方、急遽ミュンヘンに来られなくなり、電話会談。

日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA:Strategic Partnership Agreement)交渉の合意を確認しました。

13:00 昼食会@ツム・フランツィスカーナー

54年の歴史を誇るミュンヘン安保会議は、冷戦期にロシアとヨーロッパの間の安保を議論する場として有名になりました。

今回もラヴロフ露外相をはじめ、ヨーロッパの外相、国防相が数多く集まります。

ミュンヘン安保会議のセッションと並行して様々な外相会談を設定しました。

特に総理が訪問時に立ち上げたバルト、西バルカン諸国との対話・協力のメカニズムをフォローアップすると同時に、なかなか外相会談ができていないコーカサス各国との会談を重視しました。

14:20 日露外相会談@バイエリッシャーホーフ

ラヴロフ外相と北方四島における共同経済活動を進めるための準備活動を加速化させることで合意しました。

ミュンヘン安保会議では、バイ会談のスペースは三十分刻みで予約できます。

ドイツらしく、終了二分前になるとドアがノックされ、時間になると係員が追い出しにきます。

日露外相会談は時間が延びましたが,重要な会談なので,じっくりと議論しました。

15:10 日ジョージア外相会談

今回のミュンヘン安保会議には、コーカサスの各国からも外相が参加しています。

国際会議の場を使って、こうした国々との関係を深めていきたいと思います。

民主主義、法の支配、基本的人権といった価値観を共有するジョージアとの二国間関係をさらに深めていくことで合意しました。

18:00 ブルキナファソ大統領表敬@先方宿舎

ブルキナファソにはアフリカ連合の場における協力に関し,大統領に直接お礼を申し上げました。大統領からは2018年に訪日を行いたいとの意向が述べられ,大統領の訪日が実現した際のビジネスセミナーなどへの支援について意見交換しました。

ブルキナファソは、北朝鮮からの数億円規模の機材の輸入が発覚したこともあり、北朝鮮との貿易の全面的な禁止を徹底しました。

19:00 夕食@宿舎

深夜セッションがあるので、簡単なサンドイッチを食べながら、セッションの準備をしました。

22:30 深夜セッション「挑戦されるリベラルな国際秩序」(-23:45)
@バイエリッシャーホーフ

ミュンヘン安保会議では、日が変わる直前まで続く深夜のセッションがあります。

今回は、オランダのルッテ首相、カナダのフリーランド外相、スペインの外相、ヒューマンライツウォッチのロス代表とともに、この深夜セッションのパネリストを務めることになりました。

テーマは戦後社会の基調となったリベラルな国際秩序への挑戦です。

まず、NPTへの挑戦ということで北朝鮮を取り上げました。最新のベリーズ船籍のタンカーと北朝鮮のタンカーによる瀬取りの写真を見せながら経済制裁の強化を訴えました。

一方的な現状変更の試みが行われているという例として、東シナ海、南シナ海を取り上げ、また、現状変更の試みは軍事的な圧力によるものだけでなく、財政的、経済的、社会的な圧力も試みられていることを紹介しました。

また、かつては経済成長が民主化につながると言われてきましたが、ここ最近の著しい途上国の経済成長が民主化につながっていないことへの危機感について述べました。

資本主義の発展は中間層を創り出し、豊かになった中間層は民主化を望むというシナリオは、国家資本主義による経済成長にはあてはまりません。

国家資本主義による経済発展は、政府との関係の深い中間層を生み出します。

そうした中間層にとって民主化は、政権交代によって自分たちの既得権を手放すことに繋がりかねず、望ましいものではありません。

だから国家資本主義による経済発展は、民主化につながるとは言えないのです。

戦後の国際秩序を維持するために大きな責任と負担を背負ってきたアメリカを支えていくためには日欧が協力していかなければなりません。

このセッションの始まりに、アメリカのバイデン前副大統領が基調講演しましたが、終始ロシア批判でした。講演後、バイデン前副大統領は退席してしまいましたが、中国にはまったく触れなかったため、セッションの質問時間では中国に関する質問が多く出されました。

2月17日
08:00 同行記者団との懇談@宿舎

昨日とはうって変わって雪が深々と降っています。

10:35 日ラトビア外相会談@バイエリッシャーホーフ

日本とラトビア、エストニア、リトアニアのバルト三国との関係を強化するための日バルト協力対話をフォローアップするために、外相会談を行いました。

ヨーロッパの多くの国は、北朝鮮の核開発は国際的な脅威であるという立場を明確にしていますが、ラトビアは、EUや国連安保理決議に基づく対北朝鮮制裁に加えて、さらに独自の制裁を課しています。

11:00 日アルバニア外相会談

ヨーロッパも西ヨーロッパ、V4諸国、バルト諸国、西バルカン諸国,南東欧等が様々な形で発展し、重層化、複雑化しています。

こうした中で、日本と様々なヨーロッパとの関係をしっかりと深めていく必要があります。

日本と西バルカンの国々との関係を強化するための枠組み「西バルカン協力イニシアティブ」を具体化していきます。

11:45 昼食@レストラン・シュバーテン

13:00 日マケドニア旧ユーゴスラビア共和国外相会談

マケドニア旧ユーゴスラビア共和国を最後に訪問した日本の外務大臣は、1999年の河野洋平外相でした。

先方から早期の訪問を要請されました。

マケドニア旧ユーゴスラビア共和国は国内にマケドニア地方を抱えるギリシャとの間に国名問題がありますが、現政権はこの問題の解決に向け努力し,EU及びNATOへの早期加盟を目指しています。

14:00 日アルメニア外相会談

この会談の三日前に日アルメニア投資協定が署名されました。

アルメニアは世界最古のキリスト教国といわれます。

人口約三百万人のアルメニアですが、アルメニア人は様々な時期に世界中に広がり、アルメニア・ディアスポラと呼ばれるアルメニア国外のアルメニア人は八百万人以上と言われ、ウィリアム・サローヤン、シェール、アンドレ・アガシなど様々な分野で活躍しています。

14:30 日南スーダン外相会談

内戦からの復興に向けて、日本も様々な支援を行っています。

首都のジュバ市内では「スマートシティ」と呼ばれるイスラエルの技術の監視カメラを使った治安対策が始められていて、日本にも参画の要請が来ています。

15:15 ぶら下がり記者会見

23:05 ミュンヘン発

雪でミュンヘン発が三時間以上遅れました。

2月18日
18:40 羽田着



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