ベースロード電源市場なるまやかし

2016.12.12

経産省が、核燃料サイクルについて、国民に欺瞞に満ちた説明を繰り返してきたことには、これまでも触れてきました。

経産省の嘘は、それだけではありません。

福島第一原発の事故処理の費用が膨らむと同時に、こんどは、ベースロード電源市場なるものが急浮上してきました。

経産省の理屈はこうです。

一、石炭火力や大型水力、原子力などの安価なベースロード電源については大手電力会社が大部分を保有しており、新電力のアクセスは極めて限定的。

二、その結果、新電力はベースロード需要をLNG等のミドルロード電源で対応せざるを得ず、大手電力会社と比して十分な競争力を有しない状況が生じている。

三、このため、新電力も大規模なベースロード電源へアクセスすることを容易にするための新たな市場(ベースロード電源市場)を創設し、ベースロード電源を売買できるような実効的な仕組みを導入することで、事業者間競争を更に活性化することとしてはどうか。

もし、これにそうだそうだというならば、経産省が作った「電力システム改革貫徹のための小委員会」のメンバーは、御用学者ばかりということになります。

市場は、現在でも存在します。何も「ベースロード電源市場」なる胡散臭い新しい市場を作る必要はないのです。

2009年より日本卸売電力取引所(JEPX)で先渡市場取引が開始されました。

24時間の間一定の出力の電気を受け渡す全日型取引と午前8時から午後6時の間一定の出力の電気を受け渡す昼間型取引の二通りがあります。

全日型の取引市場が既に存在しているのに、ベースロード電源市場を立ち上げるというのはまやかしです。

つまり新電力に、ベースロード電源市場を作ってそこへのアクセスをさせてあげるかわりに福島第一原発の賠償の負担をちょっとしてねというバーターです。

特に再生可能エネルギーにこだわらず、顧客ベースが比較的大きくなった新電力の中にはこれに乗るところが出るかもしれません。

しかし、再生可能エネルギーを供給することを売り物にする新電力にしてみれば、原子力から石炭まで入った「ベースロード電源」など買えないので、賠償の負担を取られて買うものはなしというひどい目にあいます。

なぜ、現在の先渡市場が活性化していないのかといえば、大手電力会社が売り惜しみをしているからです。

八田達夫氏や安田陽氏をはじめ多くの専門家が、競争担保規制の導入を訴えてきました。

つまり、毎月、大手電力会社に保有する発電機を限界費用の順に並べさせ(メリットオーダーといいます)、それぞれの実際の発電量を規制当局に報告させる必要があります。

規制当局はそれを見て、もし、大手電力会社が先渡市場での価格が15円の時に限界費用が10円の発電機が稼働していなければ、売り惜しみをしていることがわかります。

規制当局は、大手電力会社が電力自由化に反する行為をしていないかを常に監視する必要があります。

それを怠ってきて、今頃になってベースロード電源市場などと口走るのは、下心みえみえです。

また、電力の卸売りを専門に行う電源開発は、1700万kWの発電設備容量を持っています。

これを市場に出せるようなルール変更をすれば、現在でも市場にかなりの厚みをもたらすことができます。

とくに電源開発の水力発電はコストが極めて安いので、かなり安い電力が新電力に供給されることになります。

また、地方公共団体が持っている水力発電も、市場に出せるようにすれば、さらに供給は増えていきます。

現在の仕組みを活性化すればよいのです。

ベースロード電源市場はイカサマです。



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