東芝する内閣府

2015.07.30

内閣府が財政に関する新たな中長期試算を発表した。

いくつかの技術的な見直しが入っている。

まず、原油安を受けて、2015年度の名目経済成長率を2.7%から2.9%に引き上げた。

これは原油安による輸入物価の低減により、貿易黒字が増え、結果として名目の成長率が上がるだろうということによる。

2016年度から2023年度の平均経済成長率は、名目、実質とも変わっていない。

さらに2014年度の決算が出て、国と地方の税収が合計1.5兆円増えた。

これを発射台とすれば、2015年度以降、当初試算よりも1.5兆円ずつ税収が増えることになる。

さらに、2020年度の歳出の見通しを1.8兆円減額させた。

これは昨日発表された年央試算によると、もともと歳出の伸びを物価上昇分とおいていたのに対し、2015年度の歳出の伸びが物価の半分にとどまり、それを2016年度にも横滑りさせた。これにより1.2兆円の歳出減。

土台が1.2兆円下がったので、これ以降の各年度の歳出が1.2兆円下がる。

さらに復興予算への繰り入れを5年間で2.4兆円行うことになっているが、毎年0.6兆円ずつ繰り入れると4年で繰り入れが終わることになり、2020年度には0.6兆円の繰り入れがいらなくなる。

ということを組み合わせると、2020年度には歳入が1.5兆円増え、歳出が1.8兆円減額し、あわせて3.3兆円のプライマリーバランスの改善になる。

ということで、前回の中長期の試算では9.4兆円とされていた2020年度のプライマリーバランス赤字の大きさが、6.2兆円まで縮小することになった。(0.1兆円の四捨五入による誤差あり)

しかし、それでも2020年度にはプライマリーバランスの赤字が残る。

さらに2015年度の名目経済成長率は2.7%から2.9%へと上方改定されたが、内閣府がメインシナリオとして推す「経済再生ケース」の2016年度、2017年度の名目成長率は、前回の試算よりも早くも下方修正されている。

平均の成長率を維持するために、後年度の成長率が少しずつ調整されている。

とてもこれを見て歳出削減を緩められることにはならない。

また、今回の試算でも政府の債務残高対GDP比は2023年度までしか計算されていない。2024年度からは一転して悪化するのがわかっているのに、その前年で切るというのは、東芝しているといわれても仕方がない。

この中長期試算を見て、日銀は、政府の財政再建への取り組みが弱いとはっきり言うべきではないか。



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