尖閣国有化

2014.05.10

自民党のAA研(アジア・アフリカ問題研究会)の訪中団で5月7日から9日まで北京を訪問しました。

唐家セン中日友好協会会長をはじめ、中連部、外交部の幹部との意見交換ができました。

(外交部は中国政府の外務省ですが、中連部は中国共産党の対外活動をつかさどる部署です。)

会談の内容については、野田毅団長が対外的なブリーフィングをされることになっていますので、それに譲りますが、いくつか気づいた点を報告します。

中国側は、これまで「尖閣の国有化」を批判してきました。

しかし、これはおかしな話です。

日本政府は、中国を慮って、尖閣諸島へのアクセスを日本人も含めて認めてきませんでした。

それに対して不満を持っていた石原慎太郎都知事が、東京都として尖閣諸島を購入しようとしているときに、それを防ぐために、時の野田政権が、国が購入することを決めました。

もし、国が購入せず、東京都が購入していれば、現状よりも中国にとっては不満の大きい状況になっていたのは明白であるにもかかわらず、事あるごとに、中国側の要人が「尖閣の国有化」を批判するのは、まったく筋が通らない話です。

この件については、土地の私有が認められていない中国では、土地を国が保有することイコール領土への編入ということになるので、国有化イコール日本の領有権の主張の強化とみなしているとか、

自治体がやろうとしていることを国が止められないということを中国側が理解できていないため、石原都知事と野田首相が裏でしめしあわせて国有化の筋書きを描いたと思っているとか、

胡錦濤主席が野田首相に、尖閣の国有化には反対すると明言した翌日にそのような決定が行われ、主席のメンツがつぶされたことに反発している

等という解説が日本ではよく行われています。

中国の一般大衆が、こうした誤解をすることは確かにあるかもしれませんが、中国大使館や外交部をはじめ、日本の事情に精通した人もたくさん中国政府にいるわけで、国の指導者がそんな単純な誤解をするはずはありません。

今回の訪中時に、中国共産党の幹部の一人に直接、この「尖閣の国有化」を中国側が批判することはおかしいではないかと尋ねることができました。

これに対して、中国側からは、「尖閣諸島については、現状を維持することが大切であった。野田首相も、石原都知事も、どちらも間違っている」というような返答がありました。

どちらも間違っているというのは、石原都知事の狙いを無視した答えであって、理屈に合いません。

中国側は、「尖閣の国有化」については、わかっていながらこれを奇貨として、行動を起こしてきたとみるべきだと思います。

「尖閣の国有化」に関しては、きちんと中国側の主張に理屈が通っていないことを説明しつつ、大臣レベル、幕僚長レベルのホットラインをしっかりと設け、危機管理ができる体制を築いていく必要があります。

今回行われた会談では、中国側が、ときには、書かれたメモを読み上げる形で中国側の公式見解を述べられていました。(これは私の個人的見解ですがとおっしゃっていましたが、そうでないことは明白です。)

同じ文書を通訳も持っていて、それを順次、日本語に通訳していました。

安倍首相のNATO及びOECDでの発言に対する批判も、盛り込まれていました。

なかには「戦略的互恵関係に戻るのではなく、日中共同声明をはじめとする四つの政治文書に戻る必要がある」といった発言もありました。

靖国参拝と尖閣国有化の二つがどの会談でも必ず強調されていました。

国交回復以来、最も困難な状況と繰り返し述べられていました。

それでも文化・青少年・地方・政党などの交流は積極的に続けていくべきだと交流の再開・活発化には非常に前向きな発言もありました。

また、中国から日本を訪れる観光客が増えてきています。お互いを見て、触れ合うことは大切だと思います。

外務省と外交部を中心とした官僚レベルでの話し合いではこの状況を打開していくのはなかなか難しく、政治レベルでの話し合いと決断がこれから必要になってきます。

お互い安易な相手の批判をするのではなく、将来を見据えて最善の決断をしていかなければなりません。



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