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河野太郎の指摘 「日本のエネルギー政策」シリーズ1 原子力発電

現在の日本のエネルギー政策には、様々な問題があります。その具 体的な事例を、河野太郎が指摘していくシリーズです。第1弾は「 原子力発電」がテーマです。
 
視聴された方が動画の文字おこしをして下さいました。
テキストで全文を掲載いたします。 2011年5月追記
▼以下テキスト版

河野太郎の指摘「日本のエネルギー政策」シリーズ1 原子力発電
みなさん、こんにちは。河野太郎です。
今日は日本のエネルギー政策の致命的な問題を、みなさまにご理解いただきたいと思っております。少し長くなるかもしれませんが、10分弱ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
日本は今、ウランを加工して、ウラン燃料を原子力発電所で燃やしています。私たちが使っている電力の3割から4割は、この原子力発電でまかなわれています。
ウランを原子力発電所で燃やすと、使用済み核燃料と呼ばれる核のゴミが出ます。薪をストーブで燃やすと炭になる、そういう関係です。ウランを原子力発電所で燃やせば、必ず使用済み核燃料という物が出て来ます。
この使用済み核燃料と呼ばれている物を再処理すると、使用済み核燃料の中からプルトニウムを取り出すことができます。再処理という言葉をみなさんも聞いたことがあるかもしれません。
今、青森県の六ヶ所村に作られたのが、この再処理をするための工場です。
ウランを原子力発電所で燃やして、使用済み核燃料が出て来る。それを再処理という化学処理をすると、使用済み核燃料からプルトニウムが取り出され、残った物は高レベル放射性廃棄物と呼ばれる、もう最後のどん詰まりの核のゴミがプルトニウムと分離されます。
そしてこのプルトニウムという核物質を、高速増殖炉と呼ばれる特殊な原子炉で燃やすと、発電をしながら、電力を取り出しながら、投入した以上のプルトニウムが取り出される。そういうことになります。プルトニウムがよりたくさんのプルトニウムを生み、それがまたこの高速増殖炉の燃料になる。
このウランから始まって高速増殖炉に到る、これを核燃料サイクルと呼んでいます。
もう30年以上前に日本が原子力発電を始めた時に、ウランを原発で燃やして使用済み核燃料にして、それを再処理してプルトニウムを取り出して、高速増殖炉で燃やして、投入した以上のプルトニウムを得ながら、発電をする――ここまで核燃料サイクルをきっちりやろうということで、日本は原子力発電をスタートしました。約30年前に、30年後にこの高速増殖炉が完成をする、そういう予定でした。
しかし、30年たった今、現実にこの高速増殖炉は、残念ながら実用化にはほど遠いのが現実です。今、日本政府の公式見解は、早くとも西暦2050年より前には、高速増殖炉は商業的に使われることにはならないだろう――これが日本政府の公式見解です。つまりあと40年以上、この高速増殖炉は現実的には使うことができません。
ところが今、日本の国はプルトニウムを45トン保有しています。このプルトニウムのかなりの部分は、実は再処理をヨーロッパ――イギリス、フランスにお願いをしていますから、日本が保有しているプルトニウムのかなりの量は、ヨーロッパにあります。しかし、それでも日本が45トンのプルトニウムを持っている、この現実に変わりはありません。
プルトニウムというのは、みなさんご存じの通り核爆弾の、核兵器の材料になる、そういう核物質です。隣の北朝鮮が、わずか50キログラムのプルトニウムを持っているだけで大騒ぎになり、6ヵ国協議が始められました。日本は45トン、つまり北朝鮮の1000倍近いプルトニウムを保有していることになります。
プルトニウムは核兵器の材料ですから、利用目的の定まらないプルトニウムを、日本は保有することは本来できないはずです。
それだけではありません。青森県の六ヶ所村に作られた再処理工場は、きちんと稼働すると1年間に8トンのプルトニウムを生み出す能力があります。
45トン、プルトニウムを持っていながら、プルトニウムを燃やす高速増殖炉はあと40年以上実用化されません。そして、再処理工場から8トンずつプルトニウムが出て来る。大変おかしな状況になっています。
そして、あと40年以上高速増殖炉ができないということがわかりながらも、何十兆円のお金をかけてこの再処理のための工場を作り、環境を整備しようとしてまいりました。
そして今、プルトニウムがどんどん増えてしまうものですから、経済産業省と電力会社は、プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料というものを作って、MOX燃料を原子力発電所で燃やす、プルサーマルということを始めようとしています。プルサーマルという言葉をお聞きになったことがあるかもしれません。いよいよ佐賀県を始め、日本のいくつかの原子力発電所で、ウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料を燃やす、プルサーマルがスタートしようとしています。
なぜこんなことをするかといえば、本来高速増殖炉で燃やすためのプルトニウムが、どんどん溜まってしまう、しかし高速増殖炉ができない。苦肉の策として、プルトニウムとウランを混ぜて原子力発電所で燃やして、少しでもプルトニウムを消費しようというのが、プルサーマルです。
電力会社と経済産業省は、プルサーマルをウラン資源の再利用だというふうに宣伝をしています。
しかし実際このMOX燃料は、ウランが9に対してプルトニウムが1の割合で混ぜられています。プルサーマル計画によって、ウランを9、プルトニウム1の割合で混ぜたMOX燃料を燃やすわけですから、ウラン燃料の1割の節約になるだけです。そのためにMOX燃料を作る工場にまた何兆円ものお金をかけて、新しく工場を作る。こんなことをするお金があるのだったら、ウランの鉱山をその何兆円のお金で買ってしまった方が、はるかに安上がりです。
今、日本のエネルギー政策、特に原子力政策は、高速増殖炉ができない、そしてプルトニウムがどんどん溜まってしまう、このプルトニウムを消費するためのプルサーマル計画で、さらにまた何兆円のお金をかけようとしています。
私は、ウランを原子力発電所で燃やして出て来る使用済み核燃料、ここで一度線を引いて、使用済み核燃料を中間貯蔵、つまりしばらく使用済み核燃料の状態で持っているということにすべきだと思います。そして2050年、本当に高速増殖炉が実用化されるのか、それを見極めて、本当に実用化されるならプルトニウムを取り出して高速増殖炉で燃やす、そういう道を歩めばいいと思います。しかし高速増殖炉が何らかの理由で実用化されないならば、プルトニウムを取り出さず、使用済み核燃料のまま持っているべきです。
原子力発電所でウランを燃やせば、使用済み核燃料、あるいは高レベル放射性廃棄物、どちらかの形の核のゴミが必ず出ます。両方とも非常に強い放射能を持った物質です。地下数百メートルの所に100年、200年、きちんと埋めて管理をする、そしてその後、人間社会から完全に切り離す、地層処分という処分をしなければなりません。
残念ながら今、日本の国の中で、使用済み核燃料であっても高レベル放射性廃棄物であっても、この核のゴミを処分する場所は見つかっていません。ウランを原子力発電所で燃やす、そういう電力の取り出し方をする以上、核のゴミはどんどん増えていきます。
私たちは核のゴミをどう処分するのか、あるいは高速増殖炉を本当に実現するのか、溜まってしまったプルトニウムをどう処理するのか――こうした問題を解決しなければなりません。
今の日本の原子力政策は間違っています。
私は、使用済み核燃料の状況で中間貯蔵をして、高速増殖炉が本当にできるのかどうか、そこを見極めた上で再処理をするかどうかを決めるべきだと思います。
ぜひ一人でも多くの国民のみなさまに、今の日本の原子力政策がどう誤っているのか、しっかりご理解をいただきたいと思います。
ご視聴ありがとうございました。



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