医療保険の問題2

健康保険には国民健康保険、協会けんぽ、健保組合等様々な種類があります。
4人家族で(妻は専業主婦、子供2人という「モデル」世帯)、収入が500万円の世帯の場合、全国平均で、それぞれの保険料がどうなるかを計算したのが下記です。
衆議院の厚労委員会調査室の計算です。
市町村国保(平成22年度)
年収500万円
所得控除後345.7万円
基礎控除後312.7万円
所得割(7.76%)24.3万円
資産割1.5万円
均等割11.2万円
平等割2.7万円
世帯の保険料39.7万円
協会けんぽ(平成24年度)
年収500万円
保険料率10.0%
本人負担25万円
世帯の保険料25万円
健保組合(平成24年度)
保険料率8.31%
本人負担20.8万円
世帯の保険料20.8万円
同じ条件でも、健保組合と市町村国保で保険料負担が19万円近く違います。
市町村国保は地域単位での共助、健保組合は職域単位での共助だといってきました。
しかし、今、本当に職域単位の共助が成り立っているでしょうか。
サラリーマンが自営業になり、自営業からまた被用者になりと、職場が変わることのほうが多くなりました。職業ごとに医療保険を分ける必要性、必然性があるでしょうか。
そしてもう一つの問題は、同じ職場の中に、正規雇用で健保組合に加入している人と、非正規雇用で市町村国保に加入している人が混在するようになったことです。
職場の中で隣同士に座っている人が、オレは健保組合、オマエは市町村国保と別々な医療保険に入っているのです。これで職域の共助といってもうまくいくでしょうか。
企業を退職した方も加入する市町村国保の加入者の平均年齢は、49.7歳、1人あたりの年間医療費は29.9万円になります。それに対して、どちらかといえば若くて健康なものが集まっている健保組合の加入者の平均年齢は34.0歳、年間医療費は1人あたりで13.8万円にしかなりません。
そして加入者の平均年齢が81.9歳にもなる後期高齢者医療制度の年間医療費は1人あたり90.5万円です。
いずれにせよ少子化、高齢化が進み、現役世代と比べて高齢者の割合が高くなっていく日本では、健康保険の抜本的な制度改正が必要です。
その際、職域による共助を廃して、地域による共助一本に絞り、保険料負担は、職業や年齢にかかわらず、収入に応じて負担していただくべきだと思います。
もちろん少子化対策の一環として、18歳以下の子供の保険料を社会全体で負担していく必要はあるでしょう。
制度を一つに統合したうえで、人口二、三百万人ずつの地域に一つずつ保険者をつくり、高齢化率に応じた財政調整はしながらも、医療コストをきちんとマネジメントできたところは保険料が安くなるという保険者の努力がきちんと反映される仕組みにするべきです。
そのときに、二、三百万人ずつの単位にするのではなく、もっと規模の経済を考えて、二、三千万人ずつに一つ保険者をつくった方がよいという議論もあるかと思います。
これまでの職業別の健康保険の制度を廃止して、地域の共助を生かした新制度に速やかに変更する議論も、今回の税と社会保障の一体改革の中でしなければなりません。
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