東京電力の値上げに問題あり2

政府が認めた東京電力の値上げのなかには、本来、消費者に値上げとして転嫁されるべきでないコストまで含まれている。
こうしたコストは、総括原価に組み入れられるべきではなく、東京電力が自己負担するべきものだ。そして、その負担ができないならば、東京電力の企業体を破綻処理して、新しい枠組みで再出発するべきだ。
日本原子力発電という会社がある。東海第二原発と敦賀一号機、二号機を保有する原子力専業の発電会社だ。
敦賀一号機は2011年1月26日に運転を停止し、敦賀二号機は2011年5月7日に、東海第二は2011年5月21日にそれぞれ運転を停止した。
この会社は3月決算だ。
2010年3月期の電力料収入は1441億円。
2011年3月期の電力料収入は1736億円。
2012年3月期の電力料収入は1443億円。
2011年5月21日に東海第二原発が停止して、この会社の発電は全て止まった。
2010年3月期の発電量は136億kWh。
2011年3月期の発電量は170億kWh。
2012年3月期の発電量は10億kWh。
前々年の14分の1の発電量で、電力料収入はほぼ同じ。
2012年3月期の日本原子力発電の原子力発電コストは、144円/kWhになる。太陽光発電の固定価格42円の3倍以上だ。
なぜこんなことになるかというと、日本原子力発電は電力会社との契約で、発電しようがしまいが「基本料金」にあたるお金がもらえる。
2013年3月期は、発電量はおそらく0。しかし、売上は2012年3月期とほぼ変わらない。原子力発電のコストは無限大!
原子力はコストが安いと言ったのは誰だ!
そして、東京電力は、おそらく年間400億円を超える金額を日本原子力発電に支払うことになる。
2011年4月から9月に、東京電力は232億円、関西電力220億円、中部電力195億円を支払っている。
いや、正確に言うと、東電が支払っているのではない。この年間四百数十億円は、東電管内の企業と世帯に東京電力が請求する電気代に含まれている。
kWhあたり144円というギャグのような原子力コストを消費者は選択の余地なく支払わされたのだ。
そして、日本原子力発電は、九電力と電源開発、日立製作所、みずほコーポレート銀行、三菱重工が作った会社で、東京電力は28.23%の株式を保有している。
売るものがない東電の子会社から東電は四百億円以上の買い物をして、請求書をあなたにまわした。そしてあなたが支払った電気代であげた日本原子力発電の利益の4分の1は東電のものになるのだ。
では、あなたは電気代でいったいどんなもの、あるいはサービスを買ったのか。
電力会社と日本原子力発電の契約に基本料金が盛り込まれているならば、電力会社が基本料金を支払うが、それは電気代には含まれるべきではない。電力会社が身を削ってまかなうべきものだ。
本来ならば、売るものがない日本原子力発電が破綻して、株主である電力会社がその損失を負担すればよいだけの話だ。
また、最近、原発が動かないと化石燃料を余計に輸入するから電力コストが上がるなどという説明を電力会社がしたり顔でするが、そうではない。
原子力発電はほとんど今、止まっているが、九電力と日本原子力発電の原子力発電費用は、2011年4月から2012年3月の間に1兆5958億円もかかっている。このうち1兆3650億円は固定費なのだ。
東京電力の原子力関係の費用のうち、固定費は3489億円。ほぼこれにちかい費用が、原発が全く動いていない2013年3月期にも費用に計上される。
そして東電は胸を張って、この費用をあなたに請求する。
なぜ、動いていない原発の固定費を支払わなければならないのか。
それは東電が出した電力料金値上げの申請の中に、2013年から柏崎刈羽原発を動かしますということが盛りこまれているからだ。
柏崎刈羽は、本当に2013年に動くのだろうか。
原子力規制委員会が安全基準を作り直し、それに沿った審査が行われ、必要なバックフィットを実施していたら、まず当分は動かないだろう。
ということを認めれば、東電の持つ原子力関係設備は発電に寄与していないので、その維持にかかる費用は当然総括原価には盛りこまれない。
しかし、東電の計画には原発再稼働が盛りこまれているので、原発の維持コストも総括原価に盛りこまれ、あなたの電気代にそれを盛りこんで請求される。
日本原子力発電に支払う基本料金とこのほとんど発電に寄与していない原子力関係の固定費は電力会社が自己負担すべきだ。
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