議院内閣制を考える

日本の国会の本会議では、起立採決で誰が起立し、誰が起立しなかったかは、誰も見ていないし、記録にも残らない。

本会議前の議運で、各会派の理事が、我が党は賛成すると言えば、その会派の所属議員は本会議で全員賛成したことになる。

だから去年の会期延長の採決で、私と岩屋代議士が賛成し、処分されたが、衆議院の公式記録には、この2人が賛成したという記録は何も残っていない。「自民党は反対」という記録だけが公式に残っている。それで処分されるんだから、たまったものではないが。

本来、議院内閣制の下では、政府に入った議員は連帯責任を負う。つまり、閣僚や副大臣、政務官は、いかなる閣法にも賛成しなければならない。反対するならば、その政府の職を辞してから反対する必要がある。

しかし、政府に入っていない与党議員には、本来、連帯責任はないはずだ。

だから、議院内閣制での政府の仕事は、まず与党議員を説得し、政府案に賛成させることだ。

イギリスの議員の日記を読んでいると、しょっちゅう与党議員の造反のことが出てくる。メージャー政権で保守党の国対を務めていたGyles Brandrethの’Breaking the Code’を読むと、過半数をわずかに超える保守党政権で、保守党議員の造反で閣法が否決される様子がよくわかる。

日本では、自民党の長期政権のもとで、派閥の領袖が大臣を次から次に取り替えて、しかも大臣でない立場で党から政府の政策をコントロールしようとして、与党の事前審査と党議拘束という、非民主的なシステムを作り上げた。

日本では、これがあたりまえになっているが、議院内閣制での与党の事前審査と党議拘束は、決してあたりまえではない。

政権交代して、民主党は小沢幹事長の下、与党の政府の政策決定への口出しは封じたが、本会議での党議拘束は残した。つまり、自分に都合のよいシステムを入れただけだ。

そろそろ日本の国会を、正しい議院内閣制に戻そうとする試みが必要だ。今のままでは民意をきちんと反映した国会をつくることができない。



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