医療保険の問題

我が国の健康保険制度は、おおざっぱに言うと、国民健康保険(市町村国保)、協会けんぽ、健保(組合健保)、共済組合、後期高齢者医療制度に分けられる。
健保と国保を比べてみると、健保は若く、医療費が安く、所得が高く、国保は、定年退職して健保を抜けた人が国保に入ることから、平均年齢が高く、そのため医療費が高く、年金受給者が多く平均所得は低い。
だから国保は構造的に赤字になりやすい。
国保と健保を比較すると、国保の平均年齢が50歳に対して健保は34歳。加入者に占める65歳から74歳までの割合は国保31%に対し健保は3%。加入者1人あたりの医療費は国保が30万円に対し健保は14万円。
加入者1人あたり平均所得は国保で84万円、健保で195万円。加入者1人あたり平均保険料は国保で8.1万円、健保9.3万円。その結果、保険料負担率は国保9.7%、健保4.8%。
2010年度の国保加入世帯の23%は「所得なし(給与収入が65万円以下、年金収入120万円以下)」、26%が「所得100万円未満」。
国保の保険料納付率も年々低下し、2010年度には88.6%まで下がった。
市町村合併の影響で、2010年9月には国保の保険者は1723にまで減り、その約4分の1の417は被保健者が3000人未満と、財政運営が不安定だ。
2010年度の全国の国保の実質的な単年度収支は3900億円の赤字で、もはや自治体が支えられるレベルではない。
国保の1人あたり保険料は、全国平均が81,021円だが、北海道の猿払村では平均141,650円にもなり、秋田県の大潟村でも平均127,645円。
反対に、沖縄の粟国村では平均が31,242円、鹿児島の三島村では34,238円。
長野県では、国保の保険料が一番安い大鹿村が36,807円に対して、南牧村では101,496円と県内の格差が実に2.8倍にもなる。
そろそろ健保、国保、協会けんぽ、共済組合、後期高齢者医療制度といった縦割り、横割りの制度から、職業を問わず一本の制度にまとめる時期にきているのではないか。
企業の中でも、同じ職場で、健保に加入している社員もいれば、国保に加入しているパートやアルバイトもいるというように、混在している。職域での連帯といった健保本来の状況ではもはやない。
既得権を守りたい厚労省は反対だろうが、そろそろ健保だ、国保だではなく、国民みんなで一つの制度にすべきではないか。
もちろん、一つの制度の中で、保険者を複数つくり、医療費が安いところは保険料も安いという競争が必要だ。
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