原発がなくとも電力は足りるか

2011.10.26

原発の再稼働に関して、様々な声が出ている。

ハードウェアのストレステストだけでなく、オペレーションなどのソフトウェアの確認と隠蔽体質の経営を変えるための経営陣の総退陣などが必要だと申し上げてきたが、もう一つ、原発の再稼働の必要性そのものの議論も必要だ。

数日前の毎日新聞が、この冬、電力が足らなくなるという飛ばし記事を一面トップで書いたりしていたが、原発が全て止まっても、この冬に電力が足らなくなることはなさそうだし、来年の夏も原発なしで電力が足りるかもしれない。

この冬の電力状況と政府の需給予測の問題点をISEPのレポートでみてみると:

北海道電力 原発なしでも冬の需要を上回る供給力がある。

東北電力  政府は需要を過大に見積もると同時に他社受電を内容不明に低下させている。

東京電力  政府は需要を過大に見積もると同時に、冬の需要期に火力発電所を三基定期検査する想定。これをずらせば200万kW以上の供給力が出てくる。自家発電の受電を、意味なく削減している。さらに100万kW以上の火力発電の出力低下が組み込まれている。

中部電力  政府の供給予測では、火力発電が300万kW以上出力低下することになっている。火力発電所を需要期に定期検査するのか。

北陸電力  原発なしでも冬の需要を上回る供給力がある。

関西電力  政府の予測は火力発電が100万kW以上出力低下する想定になっている。自家発電の受電を夏よりも減らしている。揚水発電の供給を大幅に減らしている。中国電力からの受電余力がある。

中国電力  原発なしでも冬の需要を上回る供給力がある。政府の予測は火力発電の出力を100万kW以上減らしている。

四国電力  政府予測は火力発電の出力低下等を想定すると同時に関西電力への電力融通をそのまま残している。余力がある中国電力からの融通に切り替えれば、四国電力は供給に余裕が出る。

九州電力  政府予測は火力発電の出力を低下させている。中国電力からの融通も可能なはず。

経産省は、あれだけの事故の後も国民に対する説明責任を果たしていない。この他に需要期の電力料金の引き上げを行えば自家発電からの融通は増えるし、契約量ごとに需給調整契約の締結やピークタイムプライシング等の手法で需要を削減できる。こうした手法をとらず、情報の開示も不十分であり、この状態で原発の必要性をきちんと説明したことにならない。

今や日本の原発は、54基どころかその半分も必要ないことは明白であり、経産省は、情報公開をした上で、何基の再稼働が必要なのか、きちんと説明する必要がある。

再稼働しなくとも電力は足りる可能性が大きい。

自民党の電力族は、原発を止めても電力が足りると主張する者がその根拠をきちんと示していないなどと発言しているが、その前に経産省と電力会社に情報を正しく開示させるべきだ。未だに頭の切り替えができていないようだ。



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