濃縮ウランの問題

2011.06.18

日本の原発の燃料である濃縮ウランは、国内では日本原燃が作っている。

日本原燃のウラン濃縮工場は1992年から稼働し、一時は設備容量を1050トンまで拡大した。

しかし、遠心分離機の回転胴部分にウランが付着してだんだんと回転がアンバランスになり、運転開始後8年から12年で次々と停止し、昨年末に全ての遠心分離器が止まった。

現在、日本では国内で濃縮ウランを生産することはできない状態にある。

しかし、だからといって危機的状態にあるわけではない。

原発の燃料になる濃縮ウランは、世界的に寡占状態にある。

ロシアのROSATOMが世界シェアの40%、英蘭独のURENCOが23%、アメリカのUSECが20%、フランスのAREVAが15%とほぼこの四社で市場を押さえている。

中国のCNNCが2%、そして日本の日本原燃は、わずかに世界シェアの0.3%を生産しているに過ぎない。これは、国内需要の約2%にあたる。

日本原燃では、カーボンナノチューブを使った回転胴を取り入れた新型分離機が今年の9月から稼働する予定だったが、おそらく震災の影響は免れないだろう。

日本原燃製の濃縮ウランはAREVAから購入するより二、三割高いといわれているが、経産省も電力会社の濃縮ウランコストを把握していない。そして誰もチェックしないまま、電力会社の言い値が総括原価に反映される。

濃縮ウランコストが不明なのだから、原子力の発電コストも正確なところがわかるはずがない!

そして、こうしたコストの議論がないままに、日本原燃の設備容量は今後10年間にどんどん増やされる予定だ。現在、年間4600トンSWUの濃縮ウランを使っているが、10年後をメドに日本原燃はその三割の濃縮ウランを生産する予定になっている。

経産省は、エネルギーセキュリティ上、国内でのウラン濃縮は必要だというが、コストも公開されず、総括原価方式だから、全くコストベネフィットの議論もないままにほぼ勝手に設備が増強され、勝手に料金に反映される。

バックエンド同様に、フロントエンドの議論も見直す必要がある。



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