脆弱な電力取引基盤

2011.06.16

日本卸電力取引所というものがある。

この取引所のスポット市場では、翌日分の電力を、1日を30分刻みに48コマにわけて入札する。

毎朝8時から9時半の間に翌日分の電力の入札が行われ、9時半に取引が成立する。(正確には5日前から入札ができるのだが、現実には前日の朝にほとんどの入札が行われる)

この3月11日までは、ほぼ毎日、1500万kWhから2000万kWhの電力がスポットで取引されていた。

金曜日は、朝9時半に土曜日分が、11時半に日曜日分が、そして13時半に月曜日分の入札が確定する。

3月11日の地震が起きた時には翌週月曜日分が確定していた。約2000万kWh近い量だ。結局、その大半は震災が原因で、不履行になった。

問題は、その後だ。

3月14日に、この取引所の東京電力管内のスポット取引が突然中止になった。東京電力が取引された電力の託送を中止したからだ。

理由は、計画停電の作業をする際に、スポット取引された電力が混じっていると作業が困難になるからだそうだ。

日経新聞が、このことを記事にしている。その際に、経産省に確認すると、スポット取引は止まっていないという返答が来た。エネ庁は、何が起きているのか把握していなかったか、意図的にスポット取引を東電が止めたことを隠していたかどちらかだ。

この事件で、東電任せの送電網を使った電力の取引の基盤が極めて脆弱だということが露呈した。東京電力の作業が、どれだけ煩雑なものになったのかは経産省に確認しても、全く把握していない。

東電が恣意的にスポット取引された電力の託送を止めてしまい、監督官庁がその事実すら把握していない(あるいは隠蔽していた)というのはインフラとして大きな問題だ。

やはり、発電と送電を分離して、きちんと公明正大に送電網が提供されるということが大事であり、現在の電力が、発電と一体としてこれを運用するやり方は大きな問題をはらんでいる。

ちなみに5月13日に、東電のこの夏も計画停電を行わないという発表を受けて、6月1日からスポット取引が再開されている。それまでの700万kWhが一気に1400万kWhに跳ね上がった。



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