世界は金融機関を中心に回る?

2011.06.15

東電の賠償金の支払いスキームについて、党本部で、日本の金融機関から話を伺う。

日本の金融機関の危機感がにじみ出る、というか、なりふりかまわず助けてくれっ、というプレゼンテーションだった。

プレゼン資料のなかに、『損害賠償負担の適性配分』という項目があり、そこには

一、国(原賠法に基づく賠償措置額:1200億円)
二、東電(コスト削減・資産売却などによる自助努力)
三、東電株主(配当削減、減資・希薄化負担)
四、電力利用者(電力料金値上げ負担)
五、国民(税負担による国の援助)

とある。

なんか違和感を感じて、よくみると、「債権者」が抜けている。
(東電の経営陣の退陣も抜けているが。)

と、次の項目が「債権者(社債権者・金融機関)負担の是非」とある。社債5兆円、融資4兆円の合計9兆円は、全額守られるべきとの主張だ。

電力料金の値上げや税金の引き上げはするが、債権者は全額守られるべきという理屈は何なのか。「国内金融市場の混乱・機能不全の回避」だそうだ。

本来ならば、社債5兆円と融資4兆円は貸し手責任を問うべきだ。そしてその分、国民負担が減ることになる。

しかし、枝野官房長官発言や浜岡原発停止『要請』などをみると、海外から日本は法の安定が欠けると思われかねない。だから、一般担保がついている電力債は、一般担保の範囲内で優先弁済もやむを得ないと思う。

融資にはそのような仕組みはないので、責任が問われる。いや、問われねばならない。

社債市場が混乱すると国債にも影響が出ます、中国が既に日本国債を買い始めていますがこれは将来危ない等のコメントが出るが、自民党本部だから中国が攻めてくるといえば何でもOKにはなる、ということはない。

金融にシステミックリスクが出るというならば、金融機関の経営陣が責任をとって退陣し、公的資金を注入すればよいだけだ。

金融機関は、東電の上場維持が大切だと力説するが、賠償金と廃炉費用でどうにもならない企業の上場を維持することにどんな意味があるのか。

「債権の全額保護・東電の資金調達力確保、東電の信用格付けを回復させ、今後の資金調達に資本市場を活用」だって!!

Moody'sとS&PはそれぞれAAからBBBへ、AA-からBB+へと格付けを下げたが、R&IとJCRは役所からの働きかけでまだA-、A+を維持していると力説。(おいおい、役所の働きかけが格付けを左右していいのか!)

これがAAに戻るためには、「東電に対する公的サポートが法的枠組みの中でこれまでと同様の内容で確保されること」「東電の自己資本が元の水準に戻ること」「東電の損害賠償額に上限が設定されること」が必要だ。政治がそれをやってくれ!

日本の金融機関は、金融危機から進歩していないのか。

会議後にマスコミから、自民党の長老の中にはこのスキームを支持する人もいるようですよと耳打ちされる。自民党も進化しきれていないのか。



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