国民年金が危ない

2011.05.09

国民年金が危ない。

2010年度の国民年金の納付率が2月末の時点で58%と、60%を切り、史上最低となった。

しかし、この国民年金の納付率はインチキである。この納付率の計算では、所得が低いために国民年金の保険料を免除された人たちが計算の対象から除かれている。免除された人たちを対象から外すことによって、納付率を見かけ上高く見せることができるからだ。

厚労省は、年金保険料を免除された人も対象にして、納付率を計算している。この数字は、2010年度に40%を割り込むかもしれない。つまり、国民年金対象者のおよそ3人に1人しか年金保険料を支払っていない。

年金保険料が免除されると、その期間分は国庫負担分、つまり以前は三分の一、現在なら二分の一しか年金が支給されない。

国民年金は満額で66000円だから、満額に満たない支給額の場合、他に収入がなければ、生活保護を受けることになりかねない。

問題は、生活保護の生活扶助費のほうが国民年金の満額支給額よりも多かったりすることだ。しかも、生活保護だと家賃扶助や医療扶助も受けられる。

まじめに国民年金の保険料を支払った人たちは、生活保護よりも少ない年金をもらい、しかも、自分が納める税金の中から、年金保険料を支払わずに生活保護をもらうことになった人たちの生活保護費が支払われることになる。

その一方で、第三号被保険者と呼ばれるサラリーマンの妻は、国民年金保険料を支払わずに満額の基礎年金がもらえる。

第三号被保険者の配偶者の厚生年金保険料に、第三号被保険者の年金保険料が含まれるわけではない。厚生年金保険料を支払う人たちみんなで第三号被保険者の年金保険料を負担していることになる。

フルタイムで働く女性は、専業主婦の年金保険料を負担していることになる。

双子の女性の1人がサラリーマンと結婚して専業主婦になると年金保険料は免除され、もう1人が自営業者と結婚して専業主婦になると国民年金保険料の支払い義務が発生する。なぜそうなるのかを説明するのは、高速増殖炉がないのに再処理をする日本の核燃料サイクルの合理性を説明するのと同じぐらい難しい。

国民年金ならば、月収が5万円でも50万円でも全く同じ金額の年金保険料を支払わなければならない。収入が10倍違うのに。

このままでは、もはや年金不信に歯止めがかからない。

基礎年金は消費税でまかなうべきだ。

消費税ならば、全ての日本人が買い物をするたびに納めることになり、未納問題は発生しない。日本人全員が65歳になった時に満額の基礎年金をもらうことができるようになる。消費額が収入額にほぼ比例することを考えれば、消費税は収入に合わせて負担をしてもらうことになり、現在の一律の年金保険料よりも公平性が高くなる。第三号被保険者という制度そのものもなくなる。生活保護の金額が年金よりも高くなるということも防ぐことができる。

原発問題も大事だが、年金改革も今、始めなければならない。



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