税方式の主張 その2

2011.01.22

税方式の年金は、世代間の格差を是正するためにも必要です。

保険料方式の年金では、保険料を負担する世代と年金を受給する世代がはっきりと区別されます。しかし、世代間格差を是正するためには、年金受給者にも年金の財源をご負担いただかなければなりません。

税方式ならば、年金を受給する方々にも消費税をご負担いただきますので、現役世代の負担は軽減されます。

なお、政権交代前の与野党7人による合意案では、基礎年金の六万六千円に対する消費税の増税分、われわれの想定では引き上げ幅5%分三千三百円は、基礎年金に上乗せされます。基礎年金の支給額は月七万円となり、年金に対応した消費税増税分は負担増になりません。それ以外の支出に関しては、ご負担をいただくことになります。

現役世代は月々約一万五千円の一律負担はなくなり、消費に応じた年金の財源負担となります。

さらに、基礎年金を最低保障年金と位置づけることによって、一定以上の所得のある高齢者への基礎年金を減額することによって、さらなる世代間格差の是正ができます。

年金以外の所得が一定額以上の者には最低保障年金である基礎年金を支給しないというルールにすることにより、基礎年金の支払いに必要な金額も少なくてすみ、その定め方によって消費税率の上げ幅を小さくすることが可能になります。

税方式への移行にあたって一番大きな問題となるのは、それまでに支払われた保険料の扱いです。

選択肢は三つあります。一つは、それまでに未納となった年金保険料相当分を基礎年金から減額するやりかたです。しかし、これは税方式のすべての六五歳以上の日本人に満額の基礎年金を支払うというメリットをぶちこわすことになりますので、私は反対です。

基礎年金を減額された人が他に収入がなければ、現在と同じように生活保護を受けることになります。生活保護の上限額を基礎年金の上限額とあわせるのは当然として、本来なくなるはずの六五歳以上の生活保護の制度も残さざるを得なくなります。それならば給付を年金に一本化するほうが行政のコストから考えても効率的です。

次の選択肢は、現在の国民年金の積立金をこれまでの保険料の納付状況に応じて還付するというものです。財政への負担を避けるために、還付金額の合計の上限は国民年金の積立金の金額となります。

還付金額は最大でも数十万円程度になると思います。これまでに支払った保険料と比べて微々たるものになりますが、それでもきちんと保険料を支払ってきた人に対して何らかを報いることになります。ある程度の公平性は保たれますし、精神衛生上もよいかもしれません。デメリットとしては、還付するための行政コストがかかります。

3番目の選択肢は、もっともドラスチックです。税方式に変更することにより、基礎年金は最低保障年金となり、給付と負担の関係がなくなります。消費税をたくさん払う人も少し払う人も同じ金額の年金をもらう、あるいは所得制限にかかればたくさん消費税を払ってもこの最低保障年金はもらえないことになるわけですから、それまでに支払った保険料と年金の関係も無くなったと宣言します。

極めて不公平で、精神衛生上よくない選択肢でありますが、行政コストは全くかかりません。国民年金の積立金は、国債の償還に充てる、あるいは賦課方式の厚生年金を積立方式に移行するときの二重の負担の財源の一部に充てる(厚生年金については今後、改めて説明します)などが考えられます。

税方式の年金制度に移行することを選んだなら、最低保障年金の所得制限額をどうするか、どの方式で移行するか、議論した上で決める必要があります。

さらに税方式で議論が必要なのは、海外に長く在住した日本人および日本に帰化した人の年金受給要件です。数年間海外に転勤していましたというならば年金の受給資格に問題はないと思いますが、五十年以上海外に在住して六十四歳で帰国しましたという人は受給資格があるのか、六十二歳で日本に帰化して日本人になりましたという場合はどうなのか。日本国内での在住年数を要件にするのか等、細かいルール設定が必要です。

基礎年金の財源はすべて消費税とするとして、消費税を基礎年金のためだけに使うのか、年金分プラスアルファの税率にするのかという議論も必要です。

所得制限をかけて年金に必要な消費税率を低く抑えた上で、追加分の消費税率で医療や介護の財源を出すのか、追加分は地方消費税として、道州制の下、各地域に地方消費税率を設定してもらうのかなどの議論も必要になります。

いずれにせよ現在の保険料方式では、現役時代の所得が低いと保険料を支払うことができず、保険料を免除されると将来の年金額が低くなってしまい、最低保障にならないという大きなデメリットがあります。

また、保険料を徴収する以上、単に払い忘れであったり、故意に支払わなかったり、必ず未納問題が発生します。保険料が未納になれば将来の年金がやはり減額され、最低保障になりません。

老後の最低保障をするのが基礎年金であるとするならば、選択肢は税方式になります。



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