税方式の主張

2011.01.21

日本の年金制度の根幹は、国民年金です。

もともと第1号被保険者とよばれる約二〇〇〇万人の農家や自営業者のために創設された制度ですが、その後、約四〇〇〇万人の厚生年金加入者もすべて国民年金に同時に加入することになり(第2号被保険者)、厚生年金保険料に国民年金保険料も含まれるようになりました。そして、サラリーマンの妻で専業主婦である一〇〇〇万人も、国民年金保険料を負担しない第3号被保険者として、国民年金に加わっています。

農家や自営業の方々は、毎月の年金保険料を欠かさず四〇年間納め続けると、六五歳から毎月六万六千円の年金が給付されることになります。

しかし、現実にはいくつもの問題があります。まず、六万六千円という年金額は、夫婦の老後の生活に最低限必要となるのが十三万二千円ということから設定された金額です。ですから本当は月六万六千円の年金額は最低限保証されていなければならないはずですが、そうなっていません。現在、国民年金の平均給付金額は月五万三千円にすぎません。しかも、この計算には、無年金になってしまった人は含まれていません。

どうして満額の年金がもらえないかといえば、四〇年の間に、年金保険料を未納にしたり、保険料が免除されたりすると、その分、年金額が減額されてしまうからです。

現在、国民年金の年金保険料の納付率は免除を入れても六割未満です。将来、月六万六千円の年金をもらえない人が多数出ることになります。老後の最低限の生活を保障するはずの国民年金では、現実的には、最低限の生活を保障できないのです。

もっと大きな問題もあります。毎月一万数千円の年金保険料を毎月欠かさず四十年間納めて初めて満額六万六千円の国民年金をもらうことになるのですが、まったく年金保険料を納めない人はどうなるのでしょうか。もちろん、六五歳で無年金になってしまいます。

しかし、こうした無年金の人が、六五歳で他に収入がないと、政府は生活保護を出さなくてはなりません。その生活保護の生活扶助費の額が、満額の国民年金を上回る金額になっています。まじめに四〇年間年金保険料を納めて六万六千円の国民年金を受け取るか、年金保険料をすべて未納にして六万六千円以上の生活扶助費を受け取るのかという選択であるならば、年金保険料を納めない若者を責められないのではないでしょうか。

しかも、生活扶助費は全額税金ですから、年金保険料を満額納めた人は、その他に無年金の方が受け取る生活扶助費も税金で負担することになってしまいます。

世帯ごとに受信料を納めていただくNHKすら受信料の納付率は一〇〇%にほど遠い現実のなかで、今後、今の制度で、すべての国民年金加入者から年金保険料を未納なく納めていただくことは不可能といわざるを得ません。そして、年金保険料の納付率は二十代では四割にまで低下しています。今の制度を続けながら、日本人の老後を安心できるものにするのはもう無理です。

一刻も早く、現在の国民年金制度を抜本的に改めて、年金保険料を集めることをやめるべきです。そして、皆様が買い物をするたびにお支払いいただいている消費税を年金目的税にして、年金保険料を納めていただく代わりに、消費税を財源にして年金をお支払いするようにしたいと思います。

今日、一億二千万人の日本人すべてが買い物をするたびに必ず消費税を支払っています。消費税を支払わなければ買い物をすることができないわけですから、年金保険料と違って、消費税は未納になることがありません。消費税を財源にする年金制度には、未納問題は起きないのです。そして、未納問題が起きない年金制度ということは、すべての日本人が六五歳になったときに、必ず満額の国民年金を支払うことができるということです。

消費税方式の年金制度の最大のメリットは、保険料方式の年金と違って、『すべての日本人に必ず満額の国民年金を六五歳から支払うことができる』ということです。

現在の保険料方式の国民年金では、第1号被保険者は、収入に関わらず、同じ年金保険料を負担しなければなりません。月の収入が五万円の方も五十万円の方も同じです。収入が十倍違っても負担金額は全く同じです。

消費税方式の年金にすれば、消費金額の大きい人はたくさん消費税を負担し、消費の少ない人は少しだけ消費税を支払うことになります。消費金額は収入金額に比例することを考えると、消費税方式の年金は収入に応じて年金の財源を負担することになります。

すべての日本国民に最低限の年金を保証する制度の財源負担方法としては、私は保険料方式よりも消費税方式のほうが優れていると思います。

現在の保険料方式の年金制度では、保険料を集めるための莫大なコストを負担しなければなりません。例えば、保険料の徴収に関わる七千人の職員の人件費が約六百五十億円かかっています。保険料を集めるのをやめて、消費税方式に切り替えれば、この人件費負担は必要なくなります。消費税は、国税庁と税務署のシステムで既に集めていますから、消費税を財源にして年金をお支払いすることにしても、今以上にコストはかかりません。

自営業者と結婚した女性は毎月、国民年金保険料を支払わなければならないのに、サラリーマンと結婚した女性は年金保険料の支払いが必要ないという現在の制度の矛盾も、消費税方式にすれば解決します。

こうしたことを考えれば、私は一刻も早く、国民年金を消費税方式に切り替えて、すべての日本人が六五歳になったら必ず満額の国民年金を支払うことができるようにすべきだと思います。



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