岡田大臣、ありがとう!

2010.03.10

密約についての外務省と有識者委員会の調査報告書が提出された。

火曜日に行われた岡田外務大臣の記者会見に私も出席したいと記者クラブに申し入れたが、拒否された。記者証を持った記者と実績のある記者のみしか出席できないとの記者クラブ幹事からの返答。

それは記者クラブのルールだから、仕方がないのかもしれないが、(もちろん記者クラブの問題は別として)それならば、そこで発表すべきなのだろうか。有識者委員会の調査の発表のしかたとしていかがなものか。

今回の調査は、自民党が本来行わなければならなかった。それができなかった旧い自民党の体質を大いに反省しなければならない。
なぜ、この密約を公開できなかったのかを自民党が明らかにすべきだ。

岡田大臣が調査したことに最大限の敬意と賞賛をおくりたい。

岡田大臣が調査をしたことに最大限の敬意と賞賛をおくるという大前提で、しかも、本来、調査すべきだった自民党がそれをしなかったという恥ずかしい現実を認めた上で、いくつか、問題を指摘したい。

まず、今回の調査のやり方に問題がある。嘘をつき続けた外務省が自ら『内部調査』としてまず調査を行っている。これは泥棒に金庫の中を掃除させているようなものだ。

外部の有識者委員会のメンバーが、忙しい本務を抱えながら、献身的な作業を長期間続けられたことを賞賛すると共に、感謝を申し上げたい。有識者の皆さんがすばらしい活動をされたという大前提の上で、これからもあるであろうこうした調査のあり方に一言、申し上げたい。

本来、独立した外部の委員会を設置し、そこが独自の事務局を持って、外務省及び関係の文書の調査や聞き取りを全て独自に行い、調査の結果を発表すべきだった。外務省はあくまでも調査対象であって、外務省を調査に関与させたのは間違いだった。

さらに外部委員会の座長が、外務省のポジションを務めたことがある、いわば外務省の関係者でもあり、中立性、独立性に疑念を持たれかねない。
属人的に今回の座長がどうかということではない。座長のことは私もよく存じ上げ、尊敬申し上げている。

道路保全技術センターのでたらめな調査に関する第三者委員会を国土交通省が設置したときに、委員長にセンターと関係のある人物をつけようと役所が画策をした。それは無事阻止されたが、こうした政府の問題を調査する委員会のメンバー選定にあたっては、座長および委員が身内ではないかと疑われるようなことは原則論として避けるべきだ。

李下に冠を正さず、瓜田に沓を入れずでやるべきだと申し上げたいのだ。今回の座長のご努力と成果には、敬意を払いたい。

さいごに有識者委員会の記者ブリーフ用の概要を作成したのも外務省である。もっとも読まれるであろうこの概要の作成を外務省の手にゆだねてしまったところに、この委員会の独立性、中立性に対する認識の低さがうかがえる。
仮にこの概要の内容に問題がないとしても、各委員が非常に忙しい方であるにしても、委員会が出す文書に外務省の手を出させるべきではない。

もちろん、今までは調査すらしなかったのだから、それに比べれば月とすっぽん、雲泥の差以上の違いであることに変わりはない!
いくつかの気になる点があるとしても、有識者委員会の活動がすばらしいものであったことに、もちろん変わりはない。

ただ、こうした調査は、各国で行われていて、いかに委員会の独立性、中立性を担保するかがとても大事なことなのだ。

道路保全技術センターの第三者委員会の運営など、国土交通省は全くデタラメにやろうとし、委員長が身体をはった場面が何回もあった。政府の問題を調査する委員会の設置、運営は気をつけなければならない。

さて、この密約を公開することができなかった自民党は、深く反省すると同時に、歴代の外務大臣を外交部会に参考人招致して、この問題を徹底討論すべきだ。

非を認めるところは認め、同時に、時代的に、これらが密約にならざるを得なかったかもしれないし、こうした政策のおかげで平和が保たれてきたわけだから、きちんと主張するべきところは主張すればよい。

で、調査内容にはいくつかの疑問がある。
密約を広義と狭義にわけているところなど、密約はないと言い続けてきた外務省の立場をかばおうとしているようにも思える。
日本の首相とアメリカの大統領が署名した文書の存在を確認しながらも密約ではない、と結論づけているところは腑に落ちない。

外務省の調査というならば、その過程や結論に、大臣をはじめとする政務三役の判断がどれだけ入っているのだろうか、という点ももう少し明確にしていきたい。

そして最大の問題点は...長くなったので別項にする。

いずれにしろ、岡田外相と有識者委員会のメンバーに感謝申し上げたい。



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