なぜA案なのか

2009.05.22

Q1 A案は、「脳死を一律に人の死」とするのですか
A 違います。
A案は、「脳死を人の死と考えない」人のために、法的脳死判定を拒否することを認めています。
ドナーカードで臓器提供を拒否している人、脳死を人の死と考えない意思を表明している人および脳死状態に陥った人の家族が脳死を人の死と考えない場合は、法的脳死判定は行われません。
法的脳死判定が行われなければ脳死にはなりませんので、心臓が止まるまでその人は生きています。

Q2 A案以外の改正案ではだめなのでしょうか
A A案以外の改正案では意味がありません。

B案のように意思表示の年齢を12歳まで引き下げても、乳幼児には臓器提供を行うことができませんし、移植を待つ成人患者の問題(Q3)は何ら解決されません。

C案では、移植医療は後退してしまいます。

D案では、脳死と判定された子供は、脳死判定の時点では死亡したことにはならず、臓器提供をする場合のみ死亡したことになります。
ご両親が臓器提供を承認すると、その子供が死亡することになります。言わば親に子供の命を絶たせることになりますので、現実には15歳未満のこどもからの臓器提供はほとんど行われないでしょう。
B案同様に、移植を持つ成人患者の問題はなにも解決されません。

Q3 移植を待つ成人患者にとって、なぜ現行法の改正が必要なのですか
A 現在の臓器移植法が制定されてから十二年が経ちました。その間、日本国内で行われた脳死下からの臓器提供による臓器移植はわずか81件です。

それに対して、拡張型心筋症などの心臓病で移植を待ちながら亡くなっている患者の数は毎年400名を超えています。心臓病患者の多くは、現行法では全く希望がないので、移植待ちの登録すらしていません。
アメリカでは重い心臓病で、移植待ちの登録をして人工心臓を装着しながら待つと約40日で移植を受けることができます。日本では、同じ状況で約400日待って力尽きてお亡くなりになります。

日本国内に数百万人のキャリアがいると言われるC型肝炎ウィルスによる肝硬変などで肝移植を待っている患者の2000名以上が毎年移植を受けられずに亡くなっています。心臓病と同様に、希望のない移植待ちの登録をしない人が多数います。

諸外国と比べ、日本では、臓器移植法が壁となって、移植を受けることができる人の数があまりに少ないのが現状です。現行法は『臓器移植禁止法』だと揶揄されているほどです。

日本国内で有効なドナーカードを保持している割合は1%程度です。
一年間に日本国内で、約3000人の方が残念ながら脳死になっています。そのうち有効なドナーカードを保持している方もその1%、約30人です。現行法では、3000人の脳死者のうち、ドナーカードを持っている1%、30人だけが臓器提供の可能性があります。この30人のうち、脳死判定を行うことができる四類型の病院に搬送され、法的脳死判定が行われ、遺族が拒否しない場合に臓器提供につながり、その数は約10人程度です。

どの国にも、脳死下での臓器提供をしたくない方が三分の一はいらっしゃいます。
日本国内の脳死者3000人のうち、三分の一は臓器提供を断るとすると、A案では、のこりの2000人が臓器提供する可能性があります。四類型の病院に搬送され、家族が法的脳死判定を拒否せず、遺族が臓器提供を拒否しないというケースが10%だとしても年間200人から臓器提供を受けることができます。現在の約20倍です。

B案、D案では現行法通りですから、年間10件程度にとどまることになります。

脳死下での臓器提供があまりにも少ないため、肝臓や腎臓、肺、小腸、膵臓などの臓器を健康な家族からもらう生体移植が日本国内で急増しています。
生体肝移植ではドナーの二人に一人に後遺症が出ることがわかっています。肝臓以外の臓器は、再生しませんのでドナーは一生、身体重大な障害を負うことになります。それでも家族の命を助けるために健康な身体にメスを入れて臓器を摘出する生体移植が行われているのです。

Q4 A案では、本人や家族の意思を尊重するのですか
A A案は、すべての人の意思表示を尊重します。
脳死下での臓器提供をしたくない人からは臓器の提供は行われません。脳死を人の死と思わない人は、脳死判定を行われることはありません。家族が臓器提供をしたくない場合や脳死を人の死と思わない場合も同じです。A案では、本人または家族が、意思に逆らって何かを強制されることはありません。

Q5 脳死下での臓器提供をする場合、本人の遺志は必要ないのですか
A 本人または家族が、脳死を人の死であることに異議を唱えず、脳死下での臓器提供に反対していない場合、A案では、家族の判断で臓器提供することができます。

あなたのご家族が脳死状態になった時を想像して下さい。もし、あなたが脳死を人の死と受け入れないのであれば、法的脳死判定を拒否するでしょう。ご家族が亡くなっていないとあなたが思うならば、臓器提供をすべきではありません。

もし、あなたが脳死が人の死であることを納得しているならば、法的脳死判定で脳死と判定されたあなたのご家族は、お亡くなりになっています。ご遺体をどう取り扱うかは遺族が決めなければなりません。

現在では、本人の遺志があろうがなかろうが、亡くなった人は荼毘に付されます。
本人の遺志がなくとも火葬にはするが、臓器の提供は本人の遺志がなければならないというのは矛盾しています。



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