2004年1月13日号-3

2004.01.13

六ヶ所村さらに続き。

電力会社、特に東京電力は、自らの都合で六ヶ所村の再処理工場を稼働させたがっている。
原子力発電所は、運転すればかならず燃やしたウランが使用済み核燃料となって出てくる。日本の原発が抱えている直近の課題は、この使用済み核燃料を貯蔵するスペースが無くなりつつあるということだ。
とくに東電の福島第二では、この使用済み核燃料の貯蔵スペースが後二年分程度しかない。日本の原発トータルで見ても、今のままならばあと七、八年で貯蔵スペースがなくなる。
そこで、2010年をめどに、青森のむつに、中間集中貯蔵施設を造ることになっている。ところが、これはあくまでも中間貯蔵であって最終的な処分では無いということになっている。そのために、六ヶ所村の再処理工場を稼働させることにより、中間貯蔵しているものも再処理してよそへ持っていきますということで、むつの施設を認めてもらっている。だから電力会社は、六ヶ所村の再処理工場を稼働させないと原発の稼働が止まってしまうので、あせっている。
しかし、再処理工場などにかかるコストを誰が負担するのかということが明確に合意されない限り、この費用は電力会社の経営の命取りになりかねない。

原子力発電所はいいことだけではない。使用済み核燃料という核のゴミがどんどん出てきているのだ。
これを処理する方法は二つある。ひとつは、ウランを燃やした時に出てくる使用済み核燃料、つまり今、原発からでている核のゴミをそのまま処分する方法。
もう一つは、再処理をしてプルトニウムを取り出す方法。再処理をしてプルトニウムを取り出すと、使用済み核燃料は高レベル放射性廃棄物と呼ばれるタチの悪いゴミに代わる。再処理をするとTRU(トランスウラニウム)と呼ばれるコバルトやストロンチウムよりも毒性が強くしかも半減期が何万年、何十万年と非常に長い物質が出てくるのだ。
再処理を推進しようとする経産省などは、再処理をすると処分しなければならない量が減るから(1トンの使用済み核燃料を再処理すると0.7トンの高レベル放射性廃棄物になる)、処分しやすいと主張する。これは大きな間違いだと思う。なぜならば処分すべき核のゴミは三割減るかもしれないが、TRUを作り出してしまえばTRUそのものの量の何倍もの体積のTRUに汚染された廃棄物が生まれる。処分の難しさは重さではなく体積で決まる。だから重さは三割減っても、処分すべき体積は何倍にもふくれあがる。
経産省の見積もりではTRUの処理に8100億円かかる。この見積もりは甘いと僕は思う。再処理工場本体の見積もりが三倍以上にふくれあがったように、このTRUの処理コストも何倍にもなると僕は考えている。
そして、この高レベル放射性廃棄物の最終処理場所は決まっていない。
(六ヶ所村でたしか40年間の中間貯蔵をすることになっているが、その後どうするかは未定である。経産省はその後、数百年間にわたり、地層処分、つまり地中深く穴を掘って埋めると主張している。問題はどこに、ということだ。)
いずれにせよ、今のずさんな見積もりと国民に対する説明責任もあいまいなまま、再処理工場を稼働させ、再処理をして燃やし方も決まらない大量のプルトニウムを取り出して、高レベル放射性廃棄物を最終処分するか、再処理を当面凍結し、使用済み核燃料の中間貯蔵期間を伸ばす方策を考え、その間に再処理が必要なのかどうかを検討し、コストを精査して、国民的な議論をきっちりとやるかの分かれ道に立っている。



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