2003年12月8日号-2

2003.12.08

イラクへの自衛隊派遣の基本計画に関して、非常に多くのご意見を頂きました。
代表的なご意見とそれに対する私の意見を述べさせて頂きます。

Q−時代遅れの憲法・法律や、過去の経緯に囚われない自由な発想で決断すべきときは決断するのが真の政治家ではないでしょうか。
Q−「法律」の一言一句にとらわれるのは愚かなことです。
太−派遣賛成派の方からこうした意見を多く頂きました。ちょっと驚いています。我が国は法治国家ですから、法律に基づかないことを政府は行えません。政府が恣意的に活動できる国家がどんなものかお隣の金さんや戦争前のイラクを見ればわかります。特に軍隊を動かす場合には法律に基づいたシビリアンコントロールをしっかりと維持しなければなりません。
イラク特措法という法律を国会で制定したのですから、今回の自衛隊派遣はこの法律に基づかなくてはなりません。

Q−自由民主党員としてイラク特措法成立に賛成されたかと思いますが、その方がこの期に及んで反対を唱えるのはおかしい。
太−特措法で定めた要件(要員の安全確保、非戦闘地域)を満たしていない基本計画が出された以上、その計画に反対するのは当然です。法律の再審議をしているのではなく、基本計画の審議をしているのです。

Q−代議士として党に属しているのなら党の論を議論すべきときに堂々と反対を唱え敗れれば党の議決に従うか離党すると言うのが正しいあり方だと思う。
太−議院内閣制の根本的なルールは、政府の一員になっている議員(つまり大臣・副大臣・政務官)は政府の決定に縛られるということです。
自民党の長期政権が続いた日本では、マスコミも含め政府・与党という言葉が使われ、自民党が全ての法案に党議拘束をかけているという状況下でこのルールが誤解されていることが多いのですが、そろそろきちんとするべきです。政府内での議論は決まればそれにきっちり従うか、従えないならば政府の役職を辞任するしかありません。
一方、党で決まったことは全てそれに従えというのは民主集中制というソ連共産党式のやり方で、欧米の民主国家の非共産党の政党でこの方法をとっているところはありません(日本の各政党はこれに近いものがありますが)。

Q−総理は、はっきりと、危険は百も承知の上で派兵する、隊員の命の保証はできないというべきです。
太−この特措法ではそれはできません。法律が定める要件では、派遣先は非戦闘地域に限られ、要員の安全確保ができければ派遣できないことになっていますから、危険は承知だと言えば、法律に抵触し、基本計画は承認されません。

Q−どうして中立ではいけないのか理解に苦しんでいます。局外中立は立派な外交手段です。
Q−イラク戦争に大義があったのかどうかご意見を聞かせて下さい。
太−テロとの戦いに日本が中立であるべきではないと思います。日本は明らかに反テロの側に立つべきです。
しかし、このイラク戦争の大義であった大量破壊兵器がどうなっているのか、日本はアメリカにきちんと説明を求め、政府は国民に説明する責任があると思います。
フセイン政権下でのイラク国民は幸せでなかったと思います。だからといって勝手に戦争を仕掛けて良いとは言えません。それを認めたら例えば女性の権利が制限されているサウジアラビアはどうなのか、レバノンを影響下においているシリアを放置するのかという議論になるでしょうし、パレスチナに侵攻しているイスラエル政府を放置して良いのか、テロリストの跳梁跋扈を許しているパレスチナ自治政府を作りかえろと言う議論にもなってきます。イラク戦争の正しさを確認する作業は今一度必要です。
テロとの戦いはイラクだけで起きているのではありません。インドネシアでの治安維持、サウジアラビア王家の安定確保、中央アジアへのテロリストの浸透阻止、パレスチナ和平の推進など日本が関わるべき問題は山積みです。日本は積極的にこうした問題に取り組んでいくべきです。

Q−わたくしは、河野さんとは違い憲法改定は一切反対です。
太−憲法あるいは集団的自衛権に関する憲法解釈をどうするかということが本当の争点です。賛否両論あると思いますが、これを正面から議論するべきだと思います。来年の参議院選挙の一番の争点にすべきだと思います。

Q−アメリカや日本、先進国の考える民主主義がどれほどいいものなのでしょうか。それをどの国にも当てはめることが、果たして幸せなことなのでしょうか?
太−私は民主主義がよいと思いますが、イスラム国家にもこれに従えというのが良いか、疑問に思うこともあります。(たぶん女性の人権の問題など、イスラム教の国々にも働きかけるべきことはあると思いますが)イラクの将来をどうするのか、宗教の位置づけをどう考えていくのか非常に難しい問題です。これはイラク国民に任せるしか方法がありません。そういう意味でも占領行政から早くイラク国民による統治に切り替えなければなりません。その際に治安維持などをどうしていくのかという問題を議論しなければなりません。

Q−自衛隊員は国土防衛ということで自衛隊に入ったので、その人達をイラクに送るのはおかしい。
太−イラクに派遣される隊員は意思の確認を受けてから派遣されるはずですし、PKO法など海外に自衛隊を派遣する法律はこれまでにありますから、もし自衛隊が正当に特措法に基づいて派遣されるのであれば、この議論は成り立たないと思います。

Q−小泉純一郎さんも、石波防衛庁長官も、ご自身および、ご子息同伴で、現地に長期赴任されては如何でしょうか。
太−お気持ちはよくわかりますが、こういう感情論では物事は解決しません。きっちりと国益を議論し、政策論、法律論を戦わせなければなりません。



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