2002年12月13日号-2

2002.12.13

外務省とNGOを党本部に招いて、イラクにおけるクルド民族問題に関するバトルトーク(塩崎代議士談)。
国連の経済制裁を受けているイラクでは、人道支援のための資金を捻出するために、国連の監視下で石油を販売して、人道支援に必要な物資を購入するオイルフォーフード(Oil for Food)というプログラムがあります。イラク北部には、イラクのフセイン政権と対立しつつ自治を維持しているクルド人の自治区があります。ここの生活をまかなっているのはこのプログラムで得た資金。今日のテーマはこの問題。
会議のテーブルにA4二ページの資料が二つ。とにかくまず、資料AとBに目を通してください。そして、その先の問題提起をお読みください。

資料A(要約)
このプログラムの問題は四つ。
第一、このプログラムによる全ての事業の実施にイラク政府の承認が必要なため、クルド自治区の発展を促す事業(地雷除去、教育)の実施がイラク政府により妨害される。
第二、この事業の国連承認は、現地(クルド自治区)−在バグダッド国連事務所−国連本部−国連経済制裁委員会という国連の中の官僚的なプロセスを経由するため、計画から実施まで二年かかる。
第三、事業期間は六ヶ月ごとなので、調査が十分できず、無駄遣いが多い。例えば四十億円かけて火力発電所を建設したが、石油購入の資金が無く、未だ稼働できない。
第四、イラク中央政府の圧力により、このプログラムにNGOが関与することができない。

起こりうる問題
一、米イラク戦争が起きれば、クルド自治区外に住む200万人のクルド系イラク人がクルド自治区に流入する可能性が高いが、既に自治区には80万人の避難民が存在し、これ以上の大量避難民に対し、十分な支援を自治区政府はできない。
二、自治区の住民に必要な物資の調達は全てこのオイルフォーフードプログラムで行われているが、開戦時にはこのプログラムは停止される可能性が高く、自治区の市民生活に多大な影響が出る。
三、自治区周辺でクルド人が多く住むキルクークなどの油田地帯にある大都市(人口100万人以上)は、開戦後、紛争地となる可能性が高く、空爆などによる行政の麻痺はさらなる悲劇を生む。

緊急に備えて
一、周辺国支援よりもクルド自治区などへの直接支援が必要になる。
二、イラクは石油もあり、長期的な復興支援より、危機発生直後からの短期間でインパクトがある支援をすることが肝心。
三、現地で活動する本邦のNGO団体を通じての支援も可能。

資料B(原文のまま一部抜粋)
一、95年4月採択の安保理決議986により導入された。
二、同計画下での輸出限度額は当初180日で20億ドルであったが、イラクの人道上の需要に鑑み、その後累次採択された安保理決議により期間の延長及び輸出量の拡大がなされ、99年12月採択の安保理決議1284により石油の輸出限度額が撤廃された。
三、また、イラク向け輸出が許可される人道物資の対象も、食料、医薬品にとどまらず、民生インフラ資機材や石油増産用資機材を含むものへと拡大している。
四、2001年11月には、いわゆるスマート制裁実施のためのグッズ・レビュー・リスト(GRL:制裁の対象となる品目のリスト)及び輸出申請手続き案の採択を決定。
五、2002年5月14日採択された安保理決議1409は、GRL及びその申請手続きの採用を決定。軍事産品・製品若しくはGRL記載品目以外は、制裁委員会の審査なしに短期間で輸出が承認されることになった。
六、GRLの早急な改訂を巡り意見が集約せず、第12フェーズを9日延長した後、安保理決議1447(2002年12月4日採択)で、GRLとその実施手続きを30日以内に改訂するために必要な調整を検討すること、フェーズ終了前に購入品目の公平な分配の確保状況について報告を提出することを決定。(以下略)

さて、資料AとB、お読みいただきましたか。
資料AはNGOが用意した資料、Bは外務省です。この二つの資料を読み比べると外務省の問題がよくわかります。
資料A、A4二ページを読むと、オイルフォーフードとクルド自治区の問題がざっとわかり、今後の展開と取るべき手段まで提案されています。原文を読むともっとよくわかります。同じA4二ページでも、資料Bはなにやら学者の論文の抜粋でも読んでいるようです。
何が問題で、これからどうなって、どうしたいのかなどということは何もありません。この問題について議論しますよと言って出てくる資料がこんなものですから政策のレベルもこんなものでしょう。
はっきり言ってNGOの方が問題を的確に認識し、情勢をしっかり見ています。対策も考えられています。
しかも、今、世界で話題になっているイラクに関することでこの程度です。話題になっていない国々に関する政策はいったいどうなっているのか。
外務省改革関係の提案の中で、NGOとの人事交流等という言葉を見かけると、頭にきます。人事交流ではなく、人事をすべきなのです。
外務省以外の人間を、外務省に入れて責任ある地位につける人事が外務省を改革するためには必要です。



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