2002年2月7日号

2002.02.07

私が担当する恩給法入門。

明治初頭の佐賀の乱、台湾出兵などを背景に、軍人の退職、又は死亡後の補償として、明治八年に恩給制度が発足。
昭和二十年九月二日、ミズーリ艦上の降伏文書署名をもって、恩給制度では終戦となる。
昭和二十一年マッカーサーの指示で恩給制度については、重度障害者の傷病恩給を除いて廃止。
昭和二十八年軍人恩給復活。
昭和三十四年国家公務員の年金は恩給から共済年金に移行。

恩給の対象者は、共済制度移行前の退職文官、旧軍人とその遺族。
具体的には、
文官(最短恩給年限十七年)
公立学校の職員(同十七年)
警察警部補以下、監獄副看守長以下、消防士補以下(同十二年)
神宮司庁職員、地方道路技師など(同十七年)
旧軍人(兵−大将)(同兵・下士官十二年、准士官以上十三年)
恩給年限とは、実際に勤務した期間に、戦地での勤務など特殊な勤務を割り増しして評価する加算年を合計したもの(後述)。最短年限に達した者が恩給の対象となる。
公務の傷病による場合や公務のために死亡した場合には、最短年限に達していなくとも恩給の対象となる。

加算年
戦地戦務加算 戦争に際し職務で戦務に服したとき 
実際に一ヶ月勤務した場合、三ヶ月までの加算がある。地域と年月日で細かく決められている。
例えば、マレー半島の場合、昭和十六年十二月八日から終戦(昭和二十年九月二日)まで、一ヶ月の勤務に三ヶ月が加算
される。香港の場合、昭和十六年十二月八日から十七年七月三十一日までは加算年三ヶ月、八月一日から終戦までは加算年二ヶ月。
満州の場合、例えば東安省虎林を例に取ると(地名は当時の呼称)
昭和六年九月十八日から十二年七月六日までは戦地戦務加算三ヶ月、七日から十五年三月三十一日までは擾乱地加算二ヶ月、四月一日から二十年八月八日までは国境警備加算二ヶ月、九日から終戦(九月二日)までは再び戦地戦務加算三ヶ月、以後復員まで抑留加算一ヶ月。

海外抑留加算 終戦以降引き続き海外にあったとき
一ヶ月につき一ヶ月加算

航空勤務加算 職務で航空勤務にあったとき
一ヶ月につき二ヶ月以内

潜水艦勤務加算 職務で潜水艦勤務にあったとき
一ヶ月につき一ヶ月

戦車勤務加算 職務で戦車勤務にあったとき
一ヶ月につき半月以内
等々。

恩給の種類
普通恩給−最短年限に達した者に支払われる(本人が亡くなると遺族に対し、普通扶助料が支払われる)
増加恩給−公務の傷病により重度の障害を有する者に支払われる(公務で亡くなると公務扶助料、その他の場合は増加非公死扶助料が遺族に)
傷病年金−公務の傷病で増加恩給には達しないが、一定以上の障害を有する者に支払われる(公務で亡くなると公務扶助料、その他の場合は傷病者遺族特別年金が遺族に)
特例傷病恩給−昭和十六年十二月八日以降、内地、朝鮮半島、台湾などで職務に関連して結核性疾患などに罹り一定以上の障害を有する者に支払われる(職務関連で亡くなると特例扶助料、その他の場合は傷病者遺族特別年金が遺族に)

現在、恩給受給者の平均年齢は八十一歳。対象者数百四十万人、恩給費総額一兆二千億円。



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