2001年12月10日号

2001.12.10

衆議院の外務委員会をずっと務めてきたが、外務委員会の主な仕事が条約、国際協定の批准になっている。もちろんこれは、大事な仕事ではあるが、やや、今の外務委員会の内容は、これにかけるウェートが大きくなりすぎていると思う。
審議にかかる条約は、通常国会で三本未処理になったという例外もあるが、九割方、対決もない、スムースなもの。たぶん、どの条約の批准をスピードアップしていくか、をこれからは、きちんと議論していかなければならないだろう。

批准をスピードアップすべき物の一つが、1977年発効の原子力損害の民事責任に関するウィーン条約と1997年に採択された同条約の改正議定書である。
ウイーン条約は、原発で事故が起きたときに、国際的な損害賠償をどうするかを定めたもので、まず、被害者による賠償の請求先を原発の運営者(電力会社など)に集中させ、仮に運営者に過失が無くても責任を取らせる無過失責任原則を定めている。さらに、武力紛争や内乱などの場合を除き、全ての事故の責任が運営者にかかってくるようにしている。天候不順なども例外ではない。
もちろん、国が、国内法で、この運営者をバックアップすることは可能であるが、被害者が相手先を特定しやすくなるための規定になっている。
さらに改正議定書では、最低賠償金額が462億円と規定されている。
日本は、もとのウイーン条約にも、改正議定書にも入っていない。今のままでもし原発の事故が起き、海外に被害が及ぶと、原発の被害に関する賠償について定めた現行の原賠法が国外にも適用されるか、定かではない。もし、裁判所の判決が否となると、海外の被害者は民法による裁判を起こさなくてはならず、立証責任は被害者側に発生する。とても、原発事故の過失責任の立証はできないだろう。
それよりも、日本の周辺に、原発が増える傾向があり、KEDOの枠組みで、北朝鮮にも新たな原発ができる。日本の周辺国は、ほとんどこの条約に加入していないため、まず日本が率先して入り、中国、韓国、あるいは台湾、北朝鮮にも加盟を促す必要があるだろう。

遺伝子組み換えをめぐるカルタヘナ議定書をはじめ、日本にとって重要だが、批准がまだ、という条約がいろいろと残っている。重要な積み残し条約の批准準備を促していくのも外務委員の重要な仕事になってくるだろう。もちろん、それを進めなければいけない外務省の人員の問題も解決していかなければならないが。



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