2000年12月4日号

2000.12.04

自民党の税調小委員会。
国王がむやみやたらと税金を取らないようにということで、議会という制度が始まったと学校で習ったことがあるが、この党税調を見る限り、現実は全く違う。

党本部の701号室に自民党の議員がぎっちりと詰め込まれ、遅れていくと座る場所もない。入室すると、部会からあげられた税制改正の要望をまとめた電話帳と呼ばれる一覧表が渡される。
席を見つけて座る。アイスティーにもありつく。たばこの煙、うへっ。

電話帳を開くと、税制改正要望の項目ごとに八種類の記号がついている。
丸は、その要望を受け入れるということ。
丸に政の字が入った記号はマルセイとよばれ、政策的課題として検討する、を表す。
三角は、検討し、後日報告する。
二重三角は、長期検討とする。
バツは、今年はその要望事項はお断りする。
三角に法の字は、法案の内容を見て検討する。
三角に事の字は、事務当局で検討し、後日報告する。
丸に済の字は、措置済み。

で、小委員長の司会のもと、大蔵省の役人が、一ページごとに、一項目ごとに、これはバツです、これは三角です、これはマルセイですと読み上げる。大蔵省の役人が!!
税金というのは、国民が選んだ議員が議会で決めて、行政がそれに従って徴収するものではないのか。

で、さらに情けないのは、一ページが終わるごとに、小委員長が、それではご発言をと言うやいなや、国会議員がマイクを奪い合って、この何番は、どーしてもお願いをしたいと、お願いをする。

もっと情けないのは、その発言の多くは、事前にその項目を担当する役所が、自民党の国会議員のところを回って、この項目のところで、このようにご発言をお願いしますと頼んで回った結果であること。ご発言の要旨なる紙が配られ、それをそのまま読み上げている議員すらいる。中には役所から依頼された紙が多ければ、それだけ役所に重要視されていると思っている代議士もいる。

環境庁などは、PCBの処理のことで、とか、フロンの回収装置の、とか、こっちが多少関心を持っていることを発言してほしいといってくるが、郵政省などは、若手議員に勝手に向こうで割り当てをして、あなたはこれ、あなたはそれをお願いします、とやる。役所の中には、政務次官室で昼食を用意して、税制改正の勉強会を開くところもある。勉強会とは名ばかりで、発言のお願い。

この減税措置が必要だ、と叫んでいる議員に、それで減税額はいくらときいたら、答えられない人が少なくないだろう。電話帳にも減税額は書いていない。二年前に、小委員会の始まる直前に、委員長、これはおかしいではないか、と発言したら、それは部会でやってくれと言われておしまい。

自民党税調というのは、一部の税調幹部と大蔵省が、それと自治省が、密室で決め、自民党の国会議員が他の役所の代理人となってごねる、というもの。財政の大きなフレームワークをどうしようとか、税の考え方はどうするとか、税金をもらって予算をつけるのか、どういう優先順位でいくのか、などということは関係なし。さらにこの一ヶ月間、役所だけでなく、業界団体、圧力団体が、陳情をもって議員会館をまわり、税調当日は、党本部でおしくら饅頭をしながら、ナントカ先生お願いします、と叫ぶ。
政策の議論なんてものは関係なし。思えば、四年前に当選した直後、この税調に出て、驚いたのが、私の政治不信のはじまり。

始まってすぐ、ばかばかしいから俺帰る、とでかい声を出して席を立って帰った。稲葉さんやら浜田さんが、にやっと笑ってる。半分以上本音だが、実は大蔵政務次官に呼ばれていたため、大蔵省に急ぐ。
よく考えると、大蔵大臣以下の大蔵省幹部である政治家が、一番税制を考え、提案をしなければいけないはずだが、大臣はともかく、政務次官は蚊帳の外。だって明日クビなんだから。税調や政調会のような権限や責任が無いものが、内閣を差し置いて、政策に口を出すことが当たり前になっているのが、今の日本の政治の悲劇。それを政治主導などといっているのは、...。

七条政務次官が、自分の任期中にと、世界銀行への大蔵省からの出向者リストの作成を命じてくださっていた。担当の課長が不在のため、審議官からレクを受けるが、その最中に、世銀の汚職事件の時に幹部だった職員がリストに載っていないことがわかる。結局、そのリストは、すでに退官した人間は載っていないことがわかる。もう、この何年間か、これの繰り返し。最初に窓口になった大村課長から数えて、課長も四人替わった。政務次官立ち会いのもと、すべて網羅したリストを作成してもらうことを確認。あーあ。

電話帳に戻ると、発言があると、バツが三角になったり、三角がマルセイになったりする。
同じことを何人も言うとうざったいので、はい、それはわかったから次っ、と声がかかるが、役所に頼まれたとか、業界に頼まれたという議員は、俺がちゃんと発言したから、バツが三角になったとかいいたいために、発言する。誰かが議事録をとっていて、それが後で必ず出回る。若手の議員を族議員、政治屋に堕落させる養成機関のようなものだ。こんな状況を許してきた党の幹部にも責任はあると思うが。

ちなみに、今日の電話帳で丸印は、非常に数少ないが、たとえば建設部会からの要望で、道路特定財源諸税の堅持。ジョーダンじゃねえよな、と思うが。
マルセイは、たとえば、生命保険料の所得控除限度額の引き上げ、とか、特定の居住用財産の書き換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の拡充及び適用期限の延長、とか、中小企業者の事業承継負担を軽減、とか。
三角はいっぱいあって、独立行政法人航空大学校について授業開始を年四回と改めた後における授業料などに係る非課税措置の承継、とか、予防接種法改正案による改正後の二類疾病に係る健康被害救済給付に関する非課税措置、とか、税理士制度の見直しとか。
二重三角は、地球温暖化対策としての環境税について来年度以降の具体化に向けて早期に検討、とか、緑資源公団の事業遂行に必要な土地に係る登記の非課税措置の創設、とか。
バツはたくさんあって、地震保険の保険料控除制度の創設、とか、電子計算機の耐用年数の短縮、とか、公害防止用設備の特別償却制度へのフロン回収装置の追加、とか、...。
三角法は、特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の改正に伴う税制上の措置、とか。

税制改正と財政の改革が、内閣主導でできる政治の仕組みを作らないと構造改革なんてできません。
ぜひ、マスコミ諸君には、森総理の発言が、なんていうレベルではなく、今の仕組みのどこがどうおかしいのか、きちっと書いていただきたい。
この党税調を実況生中継したら、自民党政権は一日でひっくり返る。



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